「これ、けっこう凝って撮ってますね」
「そうだねー」
2人連れの男女が、いろんなパネルを見ながら、自由に批評している。
「最近は、自分でモノを作る人が多いせいかしら。みんな、割とスルドイ目を持ってるな」
美里さんは思った。

東京・銀座にある「サンセット・ギャラリー」の本店。
ユウヒ化成が開いている“今注目するフォトグラファー100人展”の会場に、
ハミングスの美里課長がやってきた。

さっきから、てんでに作品を見ながら、しゃべっている2人連れ。
1人は若い女の子で、1人は先生風の、スーツを着た男性だ。
「カップルには見えないなあ」
と、美里さんは思った。


●絵画教室の経営者と教師

その時、広い会場の向こうから、画廊の責任者でキュレーターの、観月さんが歩いてきた。
「あぁ、これは。いらっしゃいませ」
着物を着た観月さんは、にこやかに挨拶する。
「こんにちは。お邪魔してます」
美里さんも挨拶を返す。

ちょうど、2人連れの男女がそばで止まって、こちらを見ている。
「あら、そうね、ご紹介しましょう。ミキさん、桧山さん!」
美月さんは2人に呼びかけた。美里さんもそちらを向く。

「こちら、桧山貴世照さんと、神戸ミキさん。うちの“絵画教室”の校長と、教師さんです。
こちら、株式会社ハミングスの美里編さん。うちの商品を、お世話になっているんですよ」
観月さんが、お互いを紹介した。


●雑貨業界にはいないタイプだなぁ

「はじめまして。みさと・あむ です」
「どーも、はじめまして!こーど・みきです。ユウヒ化成の絵画教室で、絵を教えています」
「初めてお目にかかります。ひやま・きよてるです。ユウヒ化成・絵画教室・日比谷校を経営しています」
3人は、それぞれ自己紹介する。

“へえ、礼儀正しい青年だなあ。スーツもパリッと決まって。あんまり、雑貨業界にはいないタイプね”
美里さんは思った。
それに比べて、ミキという女の子は、雑貨店でよく見る感じの、フランクで明るい感じに見えた。

観月さんが、美里さんに説明する。
「これまで、うちの会社の絵画教室は、東京近郊に数ヶ所、あったんですけど、こんど日比谷校が開講したんです」
彼女は2人をみやる。
「この2人が、そこに勤務します。ハミングスさんや、ナチュラル・ハウスさんとも、お付き合いするかもしれませんね」
「どうぞ、よろしく」
美里さんと2人は笑顔を交わした。


●よく眠れるんです

「え、ハミングスって、輸入雑貨の会社ですよね!ワタシ、リラックス・グッズ、使ってます」
神戸ミキさんが、目を輝かせて言う。
「まあ、そうですか。有難うございます」
美里さんは言う。
「あの、リラックス枕、ありますよね?いいですね、あれ。すごくよく眠れます」

笑いながら話すミキさん。
その頭をよく見ると、一束の髪の毛が元気よく立っている。そうやら、寝グセのようだ。

美里さんは、思わず微笑んだ。
「うれしいです、どうも有難う!」
(ホントに愛用してくれてるみたい。そのアホ毛、じゃない、寝グセを見ればわかるな)(⌒~⌒)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (92) ユウヒ化成の絵画教室 

アウトドアでちょっとスケッチとか、「大人の塗り絵」とか、絵を気軽に楽しむ人が、増えてますね。

閲覧数:118

投稿日:2011/02/20 11:51:42

文字数:1,290文字

カテゴリ:小説

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