僕の目蓋に住まう夜を
切り取れる鋏があったなら
三日月の形を願うだろう
できるだけ細く
僕の目蓋に住まう夜を
掬い上げる匙があったなら
かき混ぜることを勧めるだろう
願わくは浅く
それだけの価値のある
夜を知っているのです
分かち合えないほどの
静かな夜を
何も聞こえない
何も語らない
何も騒がない
何もはぐれない
何も眠らない
何も目覚めない
何も生きていない
そんなこともない
僕の目蓋に住まう夜を
塗り潰すインクがあったなら
諦めるまで閉ざさずにいよう
睫毛を震わせ
それだけの意味のある
夜を抱いているのです
誰にも見せたくない
密かな碧を
誰も歌わない
誰も黙さない
誰も厭わない
誰も繋がない
誰も願わない
誰も壊さない
誰も哀しまない
そんなこともない
僕も悲しまない
そんなこともないけれど
何も聞こえない
何も語らない
何も騒がない
何もはぐれない
何も眠らない
何も目覚めない
何も知らない
そんなこともない
静かな夜を
抱いているのです
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