水曜日。
久しぶりに、学校に出てきたリンちゃん。
きのうはゆっくり眠れたし、家でレン君にいろいろ話しができて、気分的にもやっと落ち着いている。
「リン!元気?」
「ありがと」
「もう、風邪はいいの?」
「だいじょぶだよ。サンキュ」
声をかけてくれるクラスのみんなに、笑顔を見せる。
たいくつな古文の授業も、なんだかホッとするなごみ時間に思えてくる。
1時間目を終えて、廊下を歩いていると...
向こうの角を曲がって、こちらに歩いてきたのは。
「サナギ!」
ゆっくりと、制服を着たサナギちゃんが歩いてくる。
●どうしたの?
この何日か、まったく連絡が取れなかったサナギちゃん。
彼女が、何事もなかったように近づいてくる。
リンちゃんは、彼女のそばに駆け寄った。
驚いたように、リンちゃんを見る。
「あ。リン」
「どうしたの?ぜんぜん返事もなくて。みんな心配してるよ」
「あ、そうだね」
困惑したように答えて、笑う彼女。
リンちゃんは、思わず尋ねる。
「ね、あのホテルの部屋、出ていってさ、無事に帰れたの?」
サナギちゃんは、ちょっと考えるようにして、答えた。
「えー、部屋?ああ、うん。そう、そうだね。大丈夫だったよ」
「あんなに遅く。終電で帰ったの?」
「え?う、うん。そう、そうよ」
笑って答える彼女。
●ストラップが震えた
その時、2時間目の始業のチャイムが、廊下に鳴りわたった。
「あ。行かなくちゃ。あとでまた、連絡するわね」
そういうと、サナギちゃんは自分のクラスの教室に、入って行った。
リンちゃんも、自分の教室へと向かう。
そのとき、ポケットに入れていたスマホのジャックについている、
小さな“はっちゅーね”のストラップが、「ブルン」、と震えた。
次の授業を受けながら、リンちゃんはそっと机の下で、皆に連絡する。
サナギちゃんが、普通に学校に来てること。
元気そうだったこと。
それを、ミクさんやバンドのみんな、暦君たちに知らせた。
先生に見つかりそうになっって、あわててスマホをしまい、教科書に目を落とす。
ヨーロッパの国の産業を説明する、地理の授業を聞き流しながら。
彼女は思った。
「さっき。あの子、“あとでまた、連絡するわね”って、言ったな」
そして、眉をひそめる。
「あいつ。誰? サナギは“するわね”って、いわないもん」"o(-_-;*)
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