タグ:リン幼虫
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「いろいろ、なんか、お世話になりました!」
サナギちゃんとリンちゃん、そして駿河ちゃんは、ドアの前で、ツクヨミ少年たちに挨拶をする。
ニコニコ笑いながら、3人を見送る moonlit の人たち。
なにやら不思議な、あれこれがあったが、一件落着かな。
リンちゃんは、元気になった友達を見ながら、そう思っ...玩具屋カイくんの販売日誌(292) はっちゅーね新展開!?
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リンちゃんをモデルにした、はっちゅーねシリーズの人形、“リンリン・はっちゅーね”。
いま、売れ行き好調なこの新商品。
そして、リンちゃんとサナギちゃんが登場する、PV(プロモ・ビデオ)の制作をしたのが、月光企画だった。
そのビデオを作っている最中に、はっちゅーねの生みの親であり、ライセンスを行うミク...玩具屋カイくんの販売日誌 (287) あの夜の出来事!?
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古いマンションの一室に、いま、サナギちゃんがいるという。
リンちゃんは聞いた。
「あそこ、月光企画の部屋なんですか」
「ええと、その“関連会社”なのよ。Moonlit(ムーンリット)ってうんです」
続けて、駿河ちゃんは尋ねた。
「いま、サナギちゃん、そこで何をしてるんですか?」
ベニスズメさんは答え...玩具屋カイくんの販売日誌 (286) 月光企画、ベニスズメさんの話
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2人は、建物を見ながら、ベンチで話し合った。
「なんとなく、後をつけてきちゃったけど。何でもなかったら、どうしよう」
リンちゃんは、口をとがらせてつぶやく。
「わたしら、ただのストーカーだよね。そうだったら」
駿河ちゃんは、言う。
「でも、私とリンちゃんが2人とも、“何かある”と感じてるんだから.....玩具屋カイくんの販売日誌 (285) サナギちゃんは大丈夫 (ささげものの攻防 27)
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しばらくすると、向こうを歩くサナギちゃんは、古い建物のなかに入っていった。
まわりには、住宅地が広がり、近くには川も流れている、静かな一角だ。
「なんか、ずいぶん古そうな建物だね」
リンちゃんの言葉に駿河ちゃんもうなずく。
「この町に、こんな建物があるなんて、知らなかったよ」
それは、3階建てのマン...玩具屋カイくんの販売日誌 (284) サナギちゃんと古い建物
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街中の尾行なので、なかなか隠れるところが少ない。そこで...。
まっすぐな道の時は、十分に距離を取る。
そして、相手が角を曲がったっときに、その角の手前まで急ぐ。
そんな感じで、リンちゃんと駿河ちゃんは、後を追い続けた。
それでも、だんだんとサナギちゃんとの距離が出はじめている。
見晴らしがいい道な...玩具屋カイくんの販売日誌 (283) 彼女を操るやつ
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ずっと続く通りの向こうのほうに、サナギちゃんの背中が見える。
「行こう」
駿河ちゃんは言って、歩き出した。その少しあとを、リンちゃんが続く。
「ねえ。なんで駿河さんがここにいるの?」
彼女の姿を見失わないようにしながら、会話をする。
「あなたがコヨミさんへメールしたでしょ。それを聞いて。ま、後で説明...玩具屋カイくんの販売日誌 (282) 真昼の尾行
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「ねえ、お昼一緒に食べようよ」
昼食の時間。リンちゃんは、彼女の教室で座っているサナギちゃんに、入り口から呼びかけた。
「え?うん。いいよ」
彼女とリンちゃんは連れ立って、校舎の裏手の小さいベンチに腰かけた。
ふだんはリンちゃんは、クラスの友達と騒ぎながら、お昼の弁当を食べる。
一方、サナギちゃんは...玩具屋カイくんの販売日誌 (281) 追跡、開始!
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水曜日。
久しぶりに、学校に出てきたリンちゃん。
きのうはゆっくり眠れたし、家でレン君にいろいろ話しができて、気分的にもやっと落ち着いている。
「リン!元気?」
「ありがと」
「もう、風邪はいいの?」
「だいじょぶだよ。サンキュ」
声をかけてくれるクラスのみんなに、笑顔を見せる。
たいくつな古文の授...玩具屋カイくんの販売日誌 (280) 学校に来たサナギちゃん
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みんなは、ミクさんのカバンについた人形を見つめる。
「不思議ですね。実はボクのとこにも、そういうメールが届いたんですよ。地下鉄に乗ってたら」
「そう、それで、バスに乗り換えたワケね」
暦君のことばに、紙魚子さんがうなずく。
「ここ、わたしたちの方では、人形がしゃべって...。暦さんの方では、メールの...玩具屋カイくんの販売日誌 (277) よからぬ力?
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ミクさんとの通話を切って、暦君はスマホをしまった。
「コヨミさん、すみませんね。追い出しちゃうみたいで」
恐縮顔で言うオーナーに、彼は首を振った。
「いえいえ、いいんですよ。また明後日、お邪魔させてください」
「喜んで。お待ちしてます」
オーナーに挨拶をして、暦君たちは、スタジオの扉を出た。
いまま...玩具屋カイくんの販売日誌 地下鉄の着信(273)
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ミクさんは、ぽかんとした顔で、レイムさんを見つめた。
「なんだか、不気味ねえ。ねえ、でも、サナギちゃんは、大丈夫なのかな」
そういって、腕時計に目をやる。
そして、ニガ笑いをしながら、紙魚子さんに向かって言った。
「きょうは、この話のほかに、これからの別の仕事のアイディアの、相談もしようかと思ってた...玩具屋カイくんの販売日誌(271) 行かない方がいいよ
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何度かの着信音の後に、「はい」と、リンちゃんの声がする。
「あ、リンちゃん」
ミクさんは話しを始める。
「そう、そうなの。うん、よかった」
うなずきながら、ホッとした表情になる。
「そう。でも、え?...うん、え?そうなの?」
スマホを耳に当て、ちょっと怪訝そうな表情になる彼女。
彼女の前で聞いてい...玩具屋カイくんの販売日誌(270) ちょんと切るぞ
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「レイムさんはね、妙に“カン”がするどいというか、ちょっと変わってるの」
紙魚子さんは、メガネを指で直しながら言った。
ミクさんは、笑って言う。
「うん。でもね、私もそういう“オカルト”っていうのかな? それを信じてる、っていう訳じゃ、ないの」
そういうと、ちょっと目を斜め上に向けて、考えながら言っ...玩具屋カイくんの販売日誌(266) “はっちゅーね”をめぐるアレコレ
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「ふぅむ。ミクさんの部屋の人形が、しゃべったんですね」
紙魚子さんはメガネのふちを押さえながら、聞き返す。
「で、その人形って、どんな人形なの?」
ミクさんは答える。
「ええ、それが、“はっちゅーね”の人形なの」
「はっちゅーね?」
「うん。私が作ってる製品なの。部屋にはいっぱい、置いてあるんです。...玩具屋カイくんの販売日誌(263) おしゃべり人形
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月光企画という会社について、話し始めた紙魚子さん。
明るい日差しが窓から差し込んできて、おだやかなひと時だった。
でも、話の内容は、それとは似合わない、ちょっと不気味なものになった。
「いろんなとこで、今までよく、聞いてきたのよ。“神隠し”が起こるってこと」
メガネの奥の大きな目をしばたかせて、彼女...玩具屋カイくんの販売日誌(262) 彼女の行方
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「サナギが、行方...不明」
「そうなんですよ。バンドのみんなで、連絡を取ろうとしてて。ちょっと用事があってね」
コヨミ君は、困ったような声で言った。
「でも、昨日からどこにいるのか、わからないんだ。家にも、帰ってないみたいだし」
立ちつくすリンちゃん。コヨミ君は言う。
「何かわかったら、連絡します...玩具屋カイくんの販売日誌(261) 起こっちゃった!?
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通話の向こうで、ミクさんまであわて出したようなので、リンちゃんは変だな、と思った。
「そうね、紙魚子さんに聞いてみよう。何か、わかるかも」
ミクさんの、つぶやくような声が聞こえた。
リンちゃんは、聞いてみた。
「あのー、サナギが、どうかしたの?」
「うん」
はっきりとは答えずに、ミクさんは言った。
...玩具屋カイくんの販売日誌(260) リンちゃんは無事だ!
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けわしい表情のベニスズメさんは、リンちゃんの方を振り返って、言った。
「仕事、長いあいだ、お疲れ様でしたね。リンちゃん。気をつけて帰ってね」
そして、あたふたとホテルの部屋を出て行ってしまった。
ひとり取り残されたリンちゃんは、しばらくポカンと、ベッドの縁に座ったままだった。
さっきから、手に握った...玩具屋カイくんの販売日誌(259) ささげものの攻防
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ベッドに座るリンちゃんの顔をのぞき込みながら、ベニスズメさんは言う。
「よかった。出ないでくれて。無事で、よかった」
ぼんやりとする頭を、自分の片手で叩きながら、リンちゃんはつぶやいた。
「あたし、眠っちゃってたんだ…」
だんだん、頭がはっきりとしてくる。そして、少しずつ記憶がよみがえってきた。
「...玩具屋カイくんの販売日誌(258) 無事で、よかった…?
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たしかに、頭の中で声がした。サナギちゃんの声のようだった。
リンちゃんは、凍りついたようにそこに立っていた。
すると、不意にすごい眠気が襲ってきた。まるで、立っていられないくらいに。
「な…なんで?…」
彼女はその場に座りこむようにして、目を閉じてしまった。
さっき聞いた“開けちゃダメ”という声を、...玩具屋カイくんの販売日誌(257) 一夜が明けて
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ベッドに横になったまま、リンちゃんはいつの間にか、眠り込んでしまっていた。
「あ、寝ちゃったか。うへ、服も着替えてないや」
身を起こして、部屋の時計を見る。
「あれ?」
リンちゃんの泊まっているホテルの部屋には、机の上にデジタル文字の時計がついている。
でも、その時計に文字は出ていなかった。
「時間...玩具屋カイくんの販売日誌(256) ホテルの夜 ~その3~
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運ばれてきた食事を、夢中で食べるリンちゃんを尻目に、サナギちゃんは考え込んだ。
ベニスズメさんの伝言が書かれたメモに、じっと見入っている。
「どうしたの。冷めちゃうよ。早く食べなよ」
早くもデザートの皿を引き寄せて、サナギちゃんに声をかけるリンちゃん。
彼女は言われて顔を上げたが、ふたたび小首をかし...玩具屋カイくんの販売日誌(255) ホテルの夜 ~その2~
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「お食事をお持ちしました」
ワゴンの横のボーイが、うやうやしく頭を下げて言う。
廊下に飛び出そうとしていたサナギちゃんは、出鼻をくじかれた感じで立ちすくんだ。
「失礼します」
ボーイはそう言うと、部屋の中にワゴンに乗った夕食を運びこみ、うやうやしく一例して部屋を出ていった。
「うわ。すごいよ、これ」...玩具屋カイくんの販売日誌(254) スタジオでの出来事 ~ホテルの夜
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スタジオでの3日目の夜。
ここで仕事をしていることを知らないはずの、ミクさんからメールが来た。
リンちゃんと相棒のサナギちゃんが、首をかしげ、顔を見合わせているところに…
また、部屋の電話が鳴った。おずおずと、リンちゃんが受話器を取る。
「あ、ベニスズメさん? はい。え?」
さっきと同じように、何か...玩具屋カイくんの販売日誌(253) やっぱり帰ったほうが… ~スタジオでの出来事 5
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ハミングスから発売される、新商品の「リンリン・はっちゅーね」。
その商品宣伝の「プロモーション・ビデオ」の撮影を、スタジオにこもって続けさせられている、リンちゃん。
ついに3日目の夜。「きょうもここに泊まろうか」と、相棒と話しているところへ…
泊まっている部屋の内線電話が鳴った。
「はい。ええ、リン...玩具屋カイくんの販売日誌(252) リンちゃん、家に帰りなさい ~スタジオでの出来事 4
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「それで、その朝の10時過ぎまで、ヒュンダインさんを待ってたんだ」
リンちゃんは続ける。
「ふうん。で、一緒にビデオに出てくれたわけ?」
レンくんが聞く。
「うん!一緒に、ちょっとからむ感じでね。楽しかったよ」
リンちゃんは、ニコニコして言う。
「私とサナギが演奏してると、ドラムの影から急に、あの人...玩具屋カイくんの販売日誌(251) リンちゃんの3連泊! ~スタジオでの出来事 3
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「ふうん。それで、日曜の夜もそこに泊まったわけか」
レンくんはそう言って、自分もクッキーに手を伸ばした。
「でも、お前それで、月曜の朝には、うちに帰ってこなかったじゃないか」
リンちゃんはそう言われて、バツの悪そうな顔をした。
「うん。帰ろうと思ったけど。明け方になって、起きて帰る支度をしてたら」
...玩具屋カイくんの販売日誌(250) コラボの魅力!? ~スタジオの出来事 2
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リンちゃんの話をリビングで聞いていたレンくんは、思わず聞き返した。
「泊まっていけ、って…? そんなに、大げさな仕事だったの?」
リンちゃんは、口をとがらせて答える。
「うん。そこのスタジオに入ったのが土曜だったでしょ。アタシもサナギも、けっこう乗ってやってたからね」
そういって、コップのミルクを口...玩具屋カイくんの販売日誌(249) スタジオでの出来事
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