「お食事をお持ちしました」
ワゴンの横のボーイが、うやうやしく頭を下げて言う。
廊下に飛び出そうとしていたサナギちゃんは、出鼻をくじかれた感じで立ちすくんだ。
「失礼します」
ボーイはそう言うと、部屋の中にワゴンに乗った夕食を運びこみ、うやうやしく一例して部屋を出ていった。
「うわ。すごいよ、これ」
ワゴンの夕食を見て、リンちゃんは思わず声を上げた。
「ね、カモの肉料理じゃん。なんかソースかかってるし。あれ、冷たいポテト。クリームのソースだ」
運ばれてきた料理は、ホテルの豪華ディナーのようなメニューだった。
不服そうな顔をしていたサナギちゃんまで、思わず目を見張ってしまうほどだ。
「バニラアイスとフルーツの、デザートもあるね」
喜々として、はしゃぐリンちゃんだ。
●リンちゃん、夕食に陥落
「これ、食べてくの?」
横目で彼女を見て、サナギちゃんはつぶやく。
「あたし、もう帰りたいんだけどなぁ」
「んー、…せっかくだしさ、頂いていこうよ。もう結構、夜遅くなっちゃったしさ」
食いしん坊のリンちゃんは、ディナーに陥落した感じだ。
まだ、不服そうなサナギちゃんは、しばらく夕食のたくさんの皿を見渡していたが…
ふと、お盆の横に挟んであるものを見つけた。
「あれ、これ何?」
彼女がつまみ上げたものは、メモの書かれた紙だった。
「ん?なに…“ゆっくり食べて、ゆっくり寝てください”だって。これ、ベニスズメさんの字だよ」
サナギちゃんは読み上げながら、続けた。
「ええと、“できれば、夜明けまで部屋を出ないでくださいね”だって」
そう言いながら、リンちゃんの方を見ると。
すでに彼女はさっそく、ワゴンからお皿の乗ったプレートを下ろして、机に並べはじめていた。
●メモ書きの文字は…
「おいおい、聞いてんの?アタシの話を」
食いしん坊のリンちゃんはクロワッサンにカブリつきながら、サナギちゃんの言葉に適当にうなずいた。
「うん。ベニスズメさん、いい人じゃん。お!おいしい、このスープ!サナギも食べたら?」
ため息をつきながら、メモを自分の机の上に置くサナギちゃん。
しかしそこにまた、目を落としてつぶやいた。
「でも、何で部屋を出ちゃいけないの?変だな。それに…」
彼女はふたたび、メモ紙を手に取って見つめた。
「この字、ベニスズメさんの字…」
その字はなぜか、乱れた感じだった。なぐり書きをしたような感じだった。
「なんかすごく慌てて書いたみたい。なんかに怯えてるような感じ」 「(ーヘー;)
コメント0
関連動画0
オススメ作品
おはよう!モーニン!
全ての星が輝く夜が始まった!
ここは入り口 独りが集まる遊園地
朝まで遊ぼう ここでは皆が友達さ
さあ行こう! ネバーランドが終わるまで
案内人のオモチャの兵隊 トテチテ歩けば
音楽隊 灯りの上で奏でる星とオーロラのミュージック
大人も子供も皆が楽しめる
ほら、おばあさんもジェ...☆ ネバーランドが終わるまで
那薇
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
なんかいつもつまんなそうだし
なんかいつもヤバそうだし
なんかいつもスマホいじってるし
ホントはテンション高いのに
アタシといると超低いし...【歌詞】chocolate box
dezzy(一億円P)
気持ち悪い、普通じゃない、なんで普通になれないの?色んな事いっぱい言われたよ
私だって分からない、私だってなりたくてこんな呪いにかかってしまったんじゃない。
怒らないで、怒鳴らないで
難しい言葉とかあなたの話なんてどうでもいいの
ただ、強く抱き締めて頭を撫でてほしいだけなんだ
いつかこの呪いが解けま...肇
うに
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
小説版 South North Story
プロローグ
それは、表現しがたい感覚だった。
あの時、重く、そして深海よりも凍りついた金属が首筋に触れた記憶を最後に、僕はその記憶を失った。だが、暫くの後に、天空から魂の片割れの姿を見つめている自身の姿に気が付いたのである。彼女は信頼すべき魔術師と共に...小説版 South North Story ①
レイジ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想