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けわしい表情のベニスズメさんは、リンちゃんの方を振り返って、言った。
「仕事、長いあいだ、お疲れ様でしたね。リンちゃん。気をつけて帰ってね」
そして、あたふたとホテルの部屋を出て行ってしまった。
ひとり取り残されたリンちゃんは、しばらくポカンと、ベッドの縁に座ったままだった。
さっきから、手に握った...玩具屋カイくんの販売日誌(259) ささげものの攻防
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ベッドに座るリンちゃんの顔をのぞき込みながら、ベニスズメさんは言う。
「よかった。出ないでくれて。無事で、よかった」
ぼんやりとする頭を、自分の片手で叩きながら、リンちゃんはつぶやいた。
「あたし、眠っちゃってたんだ…」
だんだん、頭がはっきりとしてくる。そして、少しずつ記憶がよみがえってきた。
「...玩具屋カイくんの販売日誌(258) 無事で、よかった…?
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たしかに、頭の中で声がした。サナギちゃんの声のようだった。
リンちゃんは、凍りついたようにそこに立っていた。
すると、不意にすごい眠気が襲ってきた。まるで、立っていられないくらいに。
「な…なんで?…」
彼女はその場に座りこむようにして、目を閉じてしまった。
さっき聞いた“開けちゃダメ”という声を、...玩具屋カイくんの販売日誌(257) 一夜が明けて
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運ばれてきた食事を、夢中で食べるリンちゃんを尻目に、サナギちゃんは考え込んだ。
ベニスズメさんの伝言が書かれたメモに、じっと見入っている。
「どうしたの。冷めちゃうよ。早く食べなよ」
早くもデザートの皿を引き寄せて、サナギちゃんに声をかけるリンちゃん。
彼女は言われて顔を上げたが、ふたたび小首をかし...玩具屋カイくんの販売日誌(255) ホテルの夜 ~その2~
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「お食事をお持ちしました」
ワゴンの横のボーイが、うやうやしく頭を下げて言う。
廊下に飛び出そうとしていたサナギちゃんは、出鼻をくじかれた感じで立ちすくんだ。
「失礼します」
ボーイはそう言うと、部屋の中にワゴンに乗った夕食を運びこみ、うやうやしく一例して部屋を出ていった。
「うわ。すごいよ、これ」...玩具屋カイくんの販売日誌(254) スタジオでの出来事 ~ホテルの夜
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スタジオでの3日目の夜。
ここで仕事をしていることを知らないはずの、ミクさんからメールが来た。
リンちゃんと相棒のサナギちゃんが、首をかしげ、顔を見合わせているところに…
また、部屋の電話が鳴った。おずおずと、リンちゃんが受話器を取る。
「あ、ベニスズメさん? はい。え?」
さっきと同じように、何か...玩具屋カイくんの販売日誌(253) やっぱり帰ったほうが… ~スタジオでの出来事 5
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ハミングスから発売される、新商品の「リンリン・はっちゅーね」。
その商品宣伝の「プロモーション・ビデオ」の撮影を、スタジオにこもって続けさせられている、リンちゃん。
ついに3日目の夜。「きょうもここに泊まろうか」と、相棒と話しているところへ…
泊まっている部屋の内線電話が鳴った。
「はい。ええ、リン...玩具屋カイくんの販売日誌(252) リンちゃん、家に帰りなさい ~スタジオでの出来事 4
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「それで、その朝の10時過ぎまで、ヒュンダインさんを待ってたんだ」
リンちゃんは続ける。
「ふうん。で、一緒にビデオに出てくれたわけ?」
レンくんが聞く。
「うん!一緒に、ちょっとからむ感じでね。楽しかったよ」
リンちゃんは、ニコニコして言う。
「私とサナギが演奏してると、ドラムの影から急に、あの人...玩具屋カイくんの販売日誌(251) リンちゃんの3連泊! ~スタジオでの出来事 3
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「ふうん。それで、日曜の夜もそこに泊まったわけか」
レンくんはそう言って、自分もクッキーに手を伸ばした。
「でも、お前それで、月曜の朝には、うちに帰ってこなかったじゃないか」
リンちゃんはそう言われて、バツの悪そうな顔をした。
「うん。帰ろうと思ったけど。明け方になって、起きて帰る支度をしてたら」
...玩具屋カイくんの販売日誌(250) コラボの魅力!? ~スタジオの出来事 2
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リンちゃんの話をリビングで聞いていたレンくんは、思わず聞き返した。
「泊まっていけ、って…? そんなに、大げさな仕事だったの?」
リンちゃんは、口をとがらせて答える。
「うん。そこのスタジオに入ったのが土曜だったでしょ。アタシもサナギも、けっこう乗ってやってたからね」
そういって、コップのミルクを口...玩具屋カイくんの販売日誌(249) スタジオでの出来事
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4日ぶりに、わが家に帰ってきたリンちゃん。
心配していた兄のレンくんも、とりあえずホッと安心。
ちょうど両親とも出かけていたので、レンくんはリンちゃんを連れてリビングにおりてきた。
何となくお腹がすいている様子で、彼女はレンくんの出したクッキーを食べながら…
この数日の次第を、話し始めた。
それによ...玩具屋カイくんの販売日誌(248) リンちゃんと、紅スズメ
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ちょうど、お客さんも途切れているので。
紙魚子さんと、りりィさんはカウンターを挟んで、話に熱が入っている。
「吸血鬼?それ、どういう事なんでしょう」
りりィさんの問いに、意味ありげにうなずく紙魚子さん。
「もちろん、例えですよ。ホントに血を吸う訳でもなくて」
そう言って、彼女はお店の中の、いろんな雑...玩具屋カイくんの販売日誌(246) 大ヒットと、紅スズメ。
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「星を売る店・上海屋」にやってきた、ニコビレの紙魚子さん。
「ここ、座ってもいいですか?」
りりィさんの質問を聞いて、彼女は、売り場のカウンターの横にある椅子に腰掛けた。
「月光企画、についてですか?いま、あそこ、どこかと組んでやっているんですか」
メガネの縁をちょっと上げて、興味ありそうに聞く紙魚...玩具屋カイくんの販売日誌(245) 紙魚子さんの月光企画の話
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●このごろの漫画やアニメの作品を見てて、思うんですけれど…
もうちょっとブームは落ち着きましたが、「進撃の巨人」にしても。
この間、1クール目の放送が終わった「シドニアの騎士」でも。
その、お話の“設定”が、けっこうシビアなものが多いですよね。
そのどちらもが、人類が滅亡の危機の淵に立たされてて…
...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ 「淡々派」と「情熱派」。活路はどちらに??
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