たしかに、頭の中で声がした。サナギちゃんの声のようだった。
リンちゃんは、凍りついたようにそこに立っていた。
すると、不意にすごい眠気が襲ってきた。まるで、立っていられないくらいに。
「な…なんで?…」
彼女はその場に座りこむようにして、目を閉じてしまった。
さっき聞いた“開けちゃダメ”という声を、うっすらと思い出しながら。
●良かった、起きてくれて
「リンさん、リンさん」
深い霧のむこうから、小さく自分を呼ぶような声が聞こえる。
誰かが、体を揺さぶっている。
「リンさん!」
大きな声が耳もとで聞こえた。ハッとして彼女は、目を開けた。
横に、ベニスズメさんがいた。リンちゃんの肩を、抱き起こすようにささえている。
彼女が目を開いたので、ホッとしたような表情となった。
「ああ、良かった、起きてくれて」
「あれ、あたし…。眠っちゃたのかな?」
つぶやくリンちゃんの背中を支えながら、ベニスズメさんもつぶやくように言う。
「良かった。部屋を出ないでくれて」
●ドアの前に倒れていたの
だんだん、意識がはっきりしてきたリンちゃんは、思わず聞いた。
「いま…いま、いつですか」
「朝の9時よ」
うなずきながら言う彼女に、リンちゃんはさらに尋ねる。
「いつから、ここにいたの?」
「今、来たところなの。ホテルのフロントから、部屋に電話を入れても、全く反応がなくてね」
リンちゃんの手をとって、立上がるのを助けながら、ベニスズメさんは答えた。
「部屋に来て、さっきノックをしても返事がなくて。鍵が掛かっていなかったから、開けてみたの」
ベッドの上に座ったリンちゃんの、乱れた髪の毛を直しながら、彼女は続けた。
「そしたら、ドアの前に倒れていたのよ、部屋の中で。あなたが」
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