ちょうど、お客さんも途切れているので。
紙魚子さんと、りりィさんはカウンターを挟んで、話に熱が入っている。
「吸血鬼?それ、どういう事なんでしょう」
りりィさんの問いに、意味ありげにうなずく紙魚子さん。
「もちろん、例えですよ。ホントに血を吸う訳でもなくて」
そう言って、彼女はお店の中の、いろんな雑貨が並べられた棚を見渡した。
「いろんな、こういう雑貨とか、人形を作るデザイナーがいますよね」
そう言って、ため息をつく。
「紅スズメさんは、そういう“才能がある”人に取り付くんです」
●生気が、だんだんなくなっていく…
紙魚子さんはふと、椅子から立ち上がって、棚の方に歩いて行った。
そして並べられている、例の「リンリン・はっちゅーね」をひとつ、手に乗せて持ってきた。
「で、たとえば今回だったら、この人形で、プロモ・ビデオとか、イメージ広告とかを作るわけ、ですけど」
そういって、小さな“はっちゅーね”を抱いている、これまた小さなリンちゃんの頭を撫でる。
「その仕事の打ち合わせをしながら、リンちゃんと何度も会いますよね。そうしてるうちに…」
紙魚子さんは、話をやめて、リンちゃん人形の腰の部分を折って、うなだれている様な形にして、カウンターに置いた・
「だんだんその相手、たとえばリンちゃんが、元気というか、生気が無くなっていくんですって」
いぶかしげに目を丸くする、りりィさんに向かって、彼女は続ける。
「それで、それとまるで反比例するみたいに、その商品の人気が上がっていく、という噂よ」
カウンターの上に、腰を折ってうつ伏せになっている人形を、2人は見つめた。
●必ずヒットする…?
りりィさんは、ちょっとニガ笑いして言った。
「あら、誰がそんなお話を?それに、それじゃお仕事になりませんよね」
そう切り返されても、紙魚子さんはひるまずに続けた。
「もちろん、噂です。悪い噂、という感じの話です。けど、何回かそんなことを、聞きました。それも、それぞれ違う人たちから」
「今回の、“はっちゅーね”の話ではなく、他のときの事で?」
りりィさんの問いに、紙魚子さんはまたメガネを指で押し上げて、うなずく。
「ええ」
「でも、そんな方と一緒に仕事をされる方なんて、いなくなるんじゃないの?」
「ですよね。でも、不思議に…」
首をかしげる、りりィさんに向かって、紙魚子さんは眼鏡の奥の大きな目を見開いた。
「紅スズメさんと組むと、必ず…ほぼ100%という感じで、商品が大ヒットするんだそうですヨ」( ゜Д゜)
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