タグ:栞と紙魚子
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レイムさんと紙魚子さんは、暦君たちと別れて、ニコビレの廊下を歩いていた。
「でも、そのサナギちゃんっていう子、大丈夫かな」
紙魚子さんは、つぶやく。
「うん、大丈夫だよ。ワタシの勘だけど」
横でうなずく、レイムさん。
「いつも、妙な自信があるね。あなたには」
そういって、レイムさんをみつめる。
「う...玩具屋カイくんの販売日誌 (279) “はっちゅーね”は、きっと、私たちの味方
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「ツクヨミの話になると、アナタは目の色が変わるのね」
ニガ笑いしながら、紙魚子さんが、レイムさんに向かって言う。
「そういう訳じゃないけど。でもね」
レイムさんは、人差し指を立てて言う。
「今回、ミクさんの“リンリン・はっちゅーね”の仕事が無くなった事。それは、ツクヨミの月光企画にとって、かなりな“...玩具屋カイくんの販売日誌 (278) はっちゅーねは、「育てる」もの
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みんなは、ミクさんのカバンについた人形を見つめる。
「不思議ですね。実はボクのとこにも、そういうメールが届いたんですよ。地下鉄に乗ってたら」
「そう、それで、バスに乗り換えたワケね」
暦君のことばに、紙魚子さんがうなずく。
「ここ、わたしたちの方では、人形がしゃべって...。暦さんの方では、メールの...玩具屋カイくんの販売日誌 (277) よからぬ力?
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暦君は、スマホの画面を見返した。
さっきの妙な着信の、履歴は無かった。
「おかしいなぁ。オレの勘違いだったのかな」
首をかしげながら、ポケットにしまう。
ともあれ、地下鉄は降りてしまった。はやく、ミクさんたちの所に向かわなければ。
あたりを見渡すと、向こうにバス停がある。
「そうだ、たしかこの辺から...玩具屋カイくんの販売日誌(276) ニコビレのみんな
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3人は顔を見合わせた。
ドールがしゃべった。
「しゃべったねえ」
おどけた調子で、ミクさんが言ったので、思わず皆は笑ってしまった。
「しっかし。こうヘンな事が続くと、もう驚かないよ」
つぶやくミクさんに、レイムさんが聞く。
「このキーホルダー、しゃべる機能ついてるの?」
「いえ。おなかを押すと、“は...玩具屋カイくんの販売日誌(272) はっちゅーねの予言
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ミクさんは、ぽかんとした顔で、レイムさんを見つめた。
「なんだか、不気味ねえ。ねえ、でも、サナギちゃんは、大丈夫なのかな」
そういって、腕時計に目をやる。
そして、ニガ笑いをしながら、紙魚子さんに向かって言った。
「きょうは、この話のほかに、これからの別の仕事のアイディアの、相談もしようかと思ってた...玩具屋カイくんの販売日誌(271) 行かない方がいいよ
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何度かの着信音の後に、「はい」と、リンちゃんの声がする。
「あ、リンちゃん」
ミクさんは話しを始める。
「そう、そうなの。うん、よかった」
うなずきながら、ホッとした表情になる。
「そう。でも、え?...うん、え?そうなの?」
スマホを耳に当て、ちょっと怪訝そうな表情になる彼女。
彼女の前で聞いてい...玩具屋カイくんの販売日誌(270) ちょんと切るぞ
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ミクさんは、聞き直した。
「ツクヨミ?」
「うん。社長より、エライ奴らしい。会長だか、名誉会長だか」
レイムさんは、意気込んで言う。
「じゃ、その人が、会社を仕切っているってワケね。月光企画を」
ミクさんが聞く。
すると、紙魚子さんが口をはさんだ。
「なんか、謎のヤツなんだよねー」
彼女は、かけてい...玩具屋カイくんの販売日誌(269) 月光企画の ツクヨミさん
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人の心を見透かすように話すレイムさん。
ミクさんは、少々面食らいながらも、思わず話にのめり込んで行った。
「事件が起こりそう、って...。いま、どんな感じなんですか」
問いかけるレイムさんに、説明するミクさん。
以前から、“勝手にしゃべりだす”とか、不思議なうわさがあった人形、“はっちゅーね”。
今...玩具屋カイくんの販売日誌(268) 謎の会社って?
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その時、部屋のドアを「トントン」とノックする音が。
「はぁい」
答えながら、紙魚子さんがドアに向かう。
部屋をのぞきこむように立っていたのは、レイムさんだった。
「ミクさん、こんにちは」
「お久しぶり、レイムさん」
椅子から立ち上がって、笑顔になるミクさん。
2人は、デフォ子さんがここに居たころに、...玩具屋カイくんの販売日誌(267) レイムさんの “カン” 冴える
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「レイムさんはね、妙に“カン”がするどいというか、ちょっと変わってるの」
紙魚子さんは、メガネを指で直しながら言った。
ミクさんは、笑って言う。
「うん。でもね、私もそういう“オカルト”っていうのかな? それを信じてる、っていう訳じゃ、ないの」
そういうと、ちょっと目を斜め上に向けて、考えながら言っ...玩具屋カイくんの販売日誌(266) “はっちゅーね”をめぐるアレコレ
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ミクさんの作った人形のブランド「はっちゅーね」。
その新製品のまわりで、何やら不思議な出来事が起き始めている...。
そんな予感をミクさんは抱いていた。
その思いを、彼女はいま目の前にいる紙魚子さんに、ぶつけてみることにした。
「原因が、ミクさんに?」
メガネをひとさし指で上げて、紙魚子さんは聞き返...玩具屋カイくんの販売日誌(265) 以前に、ひどい目に...
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「向こうの世界...?」
ミクさんはつぶやくように繰り返して、考え込む表情になった。
紙魚子さんも、何かを考えているようだった。
少したって、2人はほぼ同時に口を開いた。
「それで」
お互い、目を見合わせた。
ひと呼吸おいて、ミクさんが切り出す。
「きょう、ここにお邪魔したのも、そのことを伺おうと思...玩具屋カイくんの販売日誌(264)
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「ふぅむ。ミクさんの部屋の人形が、しゃべったんですね」
紙魚子さんはメガネのふちを押さえながら、聞き返す。
「で、その人形って、どんな人形なの?」
ミクさんは答える。
「ええ、それが、“はっちゅーね”の人形なの」
「はっちゅーね?」
「うん。私が作ってる製品なの。部屋にはいっぱい、置いてあるんです。...玩具屋カイくんの販売日誌(263) おしゃべり人形
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月光企画という会社について、話し始めた紙魚子さん。
明るい日差しが窓から差し込んできて、おだやかなひと時だった。
でも、話の内容は、それとは似合わない、ちょっと不気味なものになった。
「いろんなとこで、今までよく、聞いてきたのよ。“神隠し”が起こるってこと」
メガネの奥の大きな目をしばたかせて、彼女...玩具屋カイくんの販売日誌(262) 彼女の行方
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「サナギが、行方...不明」
「そうなんですよ。バンドのみんなで、連絡を取ろうとしてて。ちょっと用事があってね」
コヨミ君は、困ったような声で言った。
「でも、昨日からどこにいるのか、わからないんだ。家にも、帰ってないみたいだし」
立ちつくすリンちゃん。コヨミ君は言う。
「何かわかったら、連絡します...玩具屋カイくんの販売日誌(261) 起こっちゃった!?
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紙魚子さんの話を聞いたりりィさんは、首をかしげて腕を組んだ。
「ふぅん、不思議な、面白い噂ね。でも、仕事で一緒に組むと、必ずヒットするなんて…」
彼女はちょっと身を乗り出して、ニコッとした。
「クリエイターの人なら、ちょっと興味が沸く話ですね」
紙魚子さんは、ちょっと驚いたように目を見開いた。
「あ...玩具屋カイくんの販売日誌(247) クリエイターなら気になる…?
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ちょうど、お客さんも途切れているので。
紙魚子さんと、りりィさんはカウンターを挟んで、話に熱が入っている。
「吸血鬼?それ、どういう事なんでしょう」
りりィさんの問いに、意味ありげにうなずく紙魚子さん。
「もちろん、例えですよ。ホントに血を吸う訳でもなくて」
そう言って、彼女はお店の中の、いろんな雑...玩具屋カイくんの販売日誌(246) 大ヒットと、紅スズメ。
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「星を売る店・上海屋」にやってきた、ニコビレの紙魚子さん。
「ここ、座ってもいいですか?」
りりィさんの質問を聞いて、彼女は、売り場のカウンターの横にある椅子に腰掛けた。
「月光企画、についてですか?いま、あそこ、どこかと組んでやっているんですか」
メガネの縁をちょっと上げて、興味ありそうに聞く紙魚...玩具屋カイくんの販売日誌(245) 紙魚子さんの月光企画の話
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れおんさんのいる「ハミングス」1階のカフェ、「カフェ・ドナ」で。
ミクさんのはっきりとした言葉を聞いた、オサカモトさんは、黙って彼女の顔を見つめていた。
しばらく、2人は静かに見つめ合っている。
やがて、オサカモトさんは口元に少し、笑みを浮かべて、ミクさんとれおんさんに言った。
「わかりました。あな...玩具屋カイくんの販売日誌(244) “はっちゅーね”と、不思議な世界
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「ねぇねぇ、その、“リンリンはっちゅーね”と組む、“月光企画”って、どういう所なの?」
レイムさんは、興味ありげに聞いた。
「最近、紙魚子さん、話の中でときどき、口に出すよね。その会社の名前」
レイムさんの問いに、紙魚子さんは答えた。
「うん。変わった会社でね。このごろ、またあそこが動き出したのかな...玩具屋カイくんの販売日誌(238) 変わった会社
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「そうですか。テトさんの新商品、好評なんですね。私も頑張ろうっと」
レイムさんは、手に持った発注書を机の上でトントン、と揃えて言った。
その横で、紙魚子さんとりりィさんが微笑んで見ている。
ここは、レイムさんの入居する「ニコビレ」。
今日は彼女の事務所に、りりィさんが来ていた。
新作のアクセサリーを...玩具屋カイくんの販売日誌(237) はっちゅーねの新商品に?
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幕張メッセで開かれている、「ワンダーランド・ショウ」の会場で。
「ハミングス」のブースでは、リンちゃんを囲んでの、大騒ぎになっている。
その騒ぎの輪からそっと逃れて、ホールを抜け出し、通路のベンチに座ってホッと一息ついたのは、駿河ちゃんだった。
「フー、おっかけ君たちのパワーは、すげぇや」
彼女はつ...玩具屋カイくんの販売日誌(225) 2つの新製品
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「魔の会社…って、一体、何でしょうか?」
りりィさんは、紙魚子さんの言葉を聞いて、尋ねる。
「あ、ご免なさい。ちょっと冗談っぽく言ってしまいましたね」
紙魚子さんは、ちょっと頭を下げて答えた。
「“魔の”…なんてオーバーですけど。でも、その会社と仕事をするとします」
りりィさんの方に向き直って、彼...玩具屋カイくんの販売日誌(222) 業界のウワサ
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「え、出ちゃった?って、何が?」
テトさんに続いて、レイムさんも目を丸くして、尋ねた。
ぱみゅちゃん、りりィさんも、そろって紙魚子さんの顔を見る。
2×4=8。八つの目に見つめられて、さしもの紙魚子さんも、ちょっとタジタジとなった。
「ニコビレ」の一室には、早くも不思議な雰囲気が漂いはじめたようだ。...玩具屋カイくんの販売日誌(221) ドール、販売合戦開始!
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「あ、こんにちは、白堰嶺さん。どうしたんですか」
ニコビレの廊下で、足を止めて、紙魚子さんはレイムさんに言った。
「いま、ちょっと仕事で使う材料を、買いに行こうと思って」
「あ、お忙しいんですか」
ちょっと残念そうに、レイムさんは言った。
「いえ、そんなに急いでるわけじゃ…。何ですか?」
「はい、い...玩具屋カイくんの販売日誌(220) 不思議が、出ちゃった?
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「なんか、ちょっと変な話になってきたわね。マスター、これおかわり」
カウンターに座った霧雨さんは、身を乗り出すようにして、コーク・ハイのグラスを差し出した。
「強めに作ってね。酔わないと聞いてられないかもね」
そういって、彼女は笑った。
「カフェ・つんでれ」のマスター、吉さんの話が、なにやら不思議な...玩具屋カイくんの販売日誌(216) オカルト談義、白熱!?
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「おや、いらっしゃい」
入口のドアが開いて、「カフェ・つんでれ」に入ってきたのは、霧雨さんだった。
「どーも」
傘を閉じて傘立てに入れながら、彼女はそうつぶやいた。
「まだ、雨が降っていますか?」
マスターの吉さんが尋ねる。
「うん。まだ。大分小降りになってきたけど」
そういって彼女は、カウンターに...玩具屋カイくんの販売日誌(215) 「つんでれ」で、オカルト談義!
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さわやかな秋晴れの、日曜日。
公園の敷地いっぱいを使って開かれているのは、「アート&グッズ・フリーマーケット」。
手作り作品や自作のアートを、展示販売する催しだ。
「それ、いいですね」
「そう?安くしときますよ」
ホットドッグをほおばりながら言うレンくんに、ぱみゅちゃんが答える。
公園の一角に止まっ...玩具屋カイくんの販売日誌(214) 信じる者に、不思議は起こる?
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「よおし、と。これで終わり」。
引越し用の箱にテープを貼って、デフォ子さんは入口のルナさんに、手を挙げて挨拶した。
「おつかれ様。作業、終わった?」
ルナさんが聞く。
「うん。なんとか。引越し屋さんにも、連絡しといたし」
彼女は手をパンパンとはたきながら、立ち上がった。
ここは、デザイナー支援施設、...玩具屋カイくんの販売日誌(213) デフォ子さんのニコビレ卒業
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