「向こうの世界...?」
ミクさんはつぶやくように繰り返して、考え込む表情になった。
紙魚子さんも、何かを考えているようだった。
少したって、2人はほぼ同時に口を開いた。
「それで」
お互い、目を見合わせた。
ひと呼吸おいて、ミクさんが切り出す。
「きょう、ここにお邪魔したのも、そのことを伺おうと思ったからなんです」
それを聞いて、紙魚子さんはうなずいた。
「うん、私もそう思ってました」
●良くないことが起きている?
ミクさんは、心配そうに言う。
「なにか、リンちゃんやその周りの人に、良くないことが起きているのかしら?」
紙魚子さんは、ちょっと考えて言った。
「そうね。でも、さし当たっては...。ちょっと待ってください」
彼女は、事務机の上の電話の受話器を取り上げ、プッシュボタンを押したた。
「あ、すいません。レイムさん?あの、今、お忙しい?」
しばらく小声で話をして、受話器を置くと、ミクさんに言う。
「いま、このデザビレの中にいる、レイムさんが来ます」
そう言うと、にやっと笑って指を立てた。
「レイムが、まだ騒ぎ出していない...ってことは、事態はまだそんなに、切羽つまってはいないと思うの」
●おかしな雲行きに…
彼女の言う意味は、よくわからなかったが、ミクさんはうなずいた。
紙魚子さんの表情を見て、少し安心したからだ。
「ちょっと、状況をまとめてみましょう」
紙魚子さんはそういうと、目の前にある紙に鉛筆で走り書きを始めた。
「ええと、まず。“はっちゅーね”というお人形。これは、ミクさんの作ってる製品ですね」
「はい。私とデザイナーのデフォ子さんで開発したものです」
「うん。では次に、“リンリン・はっちゅーね”という製品は…」
「ええ、それは“はっちゅーね”ブランドの新製品なんです。ハミングスという会社が作ってます」
「それは?」
「高校生ながら、ブロガーで人気のリンちゃんをドールにして、それが小さなはっちゅーねの人形を抱いている製品です」
紙魚子さんはうなずいて、メモを書きながら言った。
「ふんふん。その“リンリン・はっちゅーね”のPV、プロモーション・ビデオを、あの会社...月光企画が作ってるワケか」
「ええ、そうです」
「その、プロモ・ビデオの撮影までは、うまくいってたんですね。それが、ここにきておかしな雲行きになった」
彼女は鉛筆の端を頭につけて、眉をひそめた。
「何か、理由があるのかしら」
ミクさんは、うなずいた。
「はい。その原因、もしかしたら、私にあるのかなと思ってるんですよ」(・・∂)
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4/4 BPM133
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背、伸びてるね
知らないリングがお似合いね
ええ、感情論者の
言葉はすっかり意味ないもんね...ゼロトーキング(Lyrics)
はるまきごはん
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