ミクさんは、聞き直した。
「ツクヨミ?」

「うん。社長より、エライ奴らしい。会長だか、名誉会長だか」
レイムさんは、意気込んで言う。

「じゃ、その人が、会社を仕切っているってワケね。月光企画を」
ミクさんが聞く。
すると、紙魚子さんが口をはさんだ。
「なんか、謎のヤツなんだよねー」

彼女は、かけているメガネの縁を、指で押さえながらつぶやいた。
「でも、確かに、あの会社ではいちばん、“妙な人”だよ」


●仕事相手が寝込んだり...

それを聞いて、レイムさんは切り返す。
「人...なのかな。あいつ」

「なのかな、って?人じゃないの?じゃ、何?」
ミクさんは変な気持ちになって、首をかしげ、聞く。
「いったい、何をするヤツなの?その...ツクヨミさん?」

うなずいて、レイムさんは口を開こうとした。
すると、また紙魚子さんが会話を取ってしまった。

「ちょっと、まず私が説明するね、レイム。あんたの話は、ちょいと長いからね」
不満そうな顔になったが、レイムさんは口をつぐむ。

紙魚子さんは言う。
「その、月光企画との仕事が、上手くいかなかったりするとね、仕事相手が...」
ちょっと言葉を止める。
「仕事相手が?」
「その、ウツになって寝込んだり、ひどいときには、行方不明になったり、するらしい」

「え?なんですって?仕事相手が、なぜ?」
ミクさんは、目を大きく開けて問い直す。
「なぜ、そんな事に?その、ツクヨミさんっていう、お爺さんと関わると?そうなるの?」


●ツクヨミはね...

すると、黙って聞いていたレイムさんが、口をはさんだ。
「ツクヨミはね、お爺さんじゃないよ。少年なんだよ」

意外な言葉に、あっけにとられて、ミクさんは口を開けたまま、ひととき黙ってしまった。
「少...年? ...少年って、その人、エライ人、なんでしょ、その、月光企画の」

レイムさんと、紙魚子さんは、黙ったままうなずいた。
ミクさんは、ちょっと頭が混乱してしまった。

「なんか、謎だらけね。あ、そうだ」
ふと思いついて、ミクさんは、カバンに手をやる。

「リンちゃんに、連絡してみなきゃ。彼女、ちゃんと家に着いたのかな。えっと...」(。_。?)

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玩具屋カイくんの販売日誌(269)  月光企画の ツクヨミさん

意外な素顔を持つ、謎の会社。リンちゃんたちは、無事なのか?

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投稿日:2016/02/28 00:56:58

文字数:931文字

カテゴリ:小説

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