ルール説明から30分位過ぎた。何はともあれHN…ここでは『DollsName』と言われる名前をそれぞれ登録する事になったんだけど…。皆複雑な表情を浮かべて空気は凄く重い。誰もが誰かが口を開くのを伺っていた。

「ちょっとちょっと、空気が重いわよ？まるでお通夜じゃない！」
「暗いです…。」
「あ…門番B。」
「誰がBよ?!雑魚みたいな名前付けないで頂戴！私にはちゃーんと『門番・ディー』って
　コードネームがあるんだから！」
「BもDも似た様な物かと…。」
「発音も似てる。」
「もうBで良いんじゃね？」
「なーんですってぇ?!」
「蓮…『ディー』落ち着いて…。」

門番と名乗る2人のお陰で重かった空気は急に賑やかになった。

「――カカカカカカカカ！お待たせしたな！DNは決まったか？決めて無いなら2秒で
　決めな！そんじゃ！最初の課題始めるぜぇ～い！こっから個人の名前言った奴は
　ペナルティ対象だからな！」
「ちょ、ちょっと待ってよ！私達お互いのHNだって判らないのよ?!」
「シャラップ！知るか！理ー解不能――!!そんなもんは自分で名乗れ!!カカカカカ!!」
「俺の台詞をパクるな…。」
「最初のお題は～～これだ!!」


『イカレ帽子屋と三月ウサギと本気で捕まえろ！』


スクリーンに大きく文字が表示された。イカレ帽子屋に三月ウサギ？私達はお互いの顔を見遣った。

「要するに、鬼ごっこって事？」
「8人も居れば楽勝なんじゃね？」
「そいつはどうかな？」
「…ああ！髪フェチ変態！」
「そこ！」
「何？そのウサミミ、バカじゃないの？恥ずかしくないの？人として。」
「…仕事なんだよっ…！」
「何て触り心地良さそうなうさぎ耳！」
「ヨ…君…その反応もどうかと思う。」

階段の上にウサミミ付きの金髪男と大きな帽子の人が居た。…あれ？あの帽子…密さん?!

「カカカカカ！ウサミミが『MarchHare』三月ウサギ。帽子が『MadHatter』イカレ
　帽子屋だ。言って置くがこの2人をなめてっと痛い目見るぞ？1人じゃ返り討ち確定
　だろうから、せいぜい協力して捕まえるんだな！」
「はいはーい、質問、制限とかは？」
「場所はこのパーク内、但し建物の中、アトラクション、屋根の上は侵入禁止だ。
　途中でNPCの妨害もあるかもな！」
「酷ぇ!!」
「シャーラップ!!んじゃ、大人が全力鬼ごっこ!!はっじめっるぜぇ～い!!」

大きな鐘の音が鳴り響いた。