集合時間になり、ロビーにぽつぽつと人が顔を見せる。何だか皆お互いの様子を伺う様に距離を置いて気まずい空気だった。沈黙に耐えられず辺りを見回すと、カチッと目が合った。真っ赤な長い髪が凄く目立つ。

「あ、昨日のうるさい人。」
「メオです、失礼ね…何か用？拳銃君。」
「別に？なーんか空気重かったからさ。」
「仕方無いんじゃない？私達、言ってみればライバルなんでしょ？」
「う～ん…そうなんだけど、別にケンカしなくても良いでしょ？」
「ふふっ…意外と紳士なんだね。」

会話を断ち切る様に鐘の音がロビーに鳴り響いた。驚いて顔を上げると何時の間にか揃っていた他の参加者の姿が見える。

「カーッカカカカカカカ!!【DollsGame】へようこそ！こんの強欲者共が！」
「…何かこう、イラッと来るよね？」
「同じく。」
「愉快ではないな。」
「うざい…。」
「コラァー！聞こえてんぞ？見えてんぞ？イド様をなめんなよぉ？そんじゃ、
　いっちょ、ルール説明と行きますか―――!!」

バチン、と言う音と共に辺りの照明が落ちて壁に映像が映し出される。そこには明らかに俺たちの姿が映っていた。

「え…?!私?!」
「どっかにカメラ仕込んでるな…。」
「カカカカカ！ここはレジャー施設だからな！防犯カメラは一杯あるんだよ！ヘイ！
　そこのイエロージャージ！目の前のノートPC開いてみろよ！」
「は？…何で俺が…。」

イエロージャージと呼ばれた人、確かこの人は雪乃音季琳だっけかな？テキパキとノートを起動した。

「あ、ミコミコ動画…って、何よこれ―――?!」
「え…?!実況?!…マジで?!プライバシーとか無いのかよ?!」
「心配するな！今は音声入ってねぇよ！うっかり本名言ったらマズイだろうが！」

ノートの画面と壁の両方に大きく文章が表示された。

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　一つ、8名のプレイヤーは定期的に出される課題をクリアしなければならない。

　一つ、違法行為は当然禁止である。

　一つ、プレイヤー同時の協力は勿論、施設のスタッフである『NPC』1名に『仲間』
　　　　として協力を求める事が出来る。

　一つ、課題終了時『仲間』はリセットされる。

　一つ、課題クリア時、プレイヤーにはポイント加算、非クリア時はゼロ。

　一つ、ゲームの状況は動画サイトに配信され、クリアか否かの審議、及びMVPは
　　　　視聴者が決める。

　一つ、各課題終了時迄に視聴者がMVPを選出し、MVPはプレイヤー、NPC問わず
　　　　ボーナス10万円。

　一つ、 各課題には、絶対にクリア出来る能力を持った人間が1人『Joker』として
　　　　設定されており、『Joker』の力を借りる事は出来ない。

――――――――――――――――――――――――――――――

「カカカカカ！簡単に1億円貰えると思ってんじゃねぇぞ！因みにここではお互いを
　HNで呼んで貰うからな！」
「有り得ない…。」
「嘘でしょ…？」
「シャラップ！シャラップ！シャーラ――ップ！主催者からの伝言と【DoollsGame】
　のテーマだ！」


『己を示せ、姿を晒せ、磨き磨かれ、輝いて、
　　　心を奪って、愛されて、見えぬ大衆を、味方に付けよ』


「そんじゃ、張り切って行こうか！強欲者共!!」

―――マジで?!