亜種&UTAU注意?




今日は待ちに待った日だ…というのに、マスターは疲れていて買わなくちゃいけないものを忘れている。
レジに行く前に気が付いたからよかったけれど。

「まーすーたー、蜜柑がきれてたよぉー」
「え、あ、悪い!」
「バナナも無くなってた」
「ええ…」


マスター…イクトさんは私達のマスターだ。
イクトさんの兄弟の中では一番しっかりしてる、らしい。

「あ、そうだ、フランスパン!焼きたての美味しいの買った?」
「フランスパン?」

誰が食べるんだ、と聞かれて二人はブーイングを唱える。

「《あの》二人の好物でしょ!」
「ホントにマスター、しっかりしてくれよ…」
「…悪い、そうだったな」
イクトは頭を掻いた。
どうも最近寝不足なせいだろう。
でも新曲を早く仕上げなければ、という思いもあった。

そんなやり取りも終わり、帰路についたときに、レンが途中にある公園の時計を見て声を上げた。

「うわ、マスター大変!!」
「どうしたんだ?レン」
「もう45分だよ!あと15分しかないよ!」
「うわ、やべ!」

イクトと双子は荷物を抱え、たたたと走る走る。
ここから歩いて20分ほどだから走れば10分、なんとか間に合うだろう。

さらに、《あの》二人の片割れは基本的に10分前には家の前にいる。

三人ははぁはぁ、と息を切らせながら走る。


マンションの下。リンとレンが階段でスピードを上げて、イクトは段々引き離される。

「り、リンが先!」
「い、いや、俺だ!!」

おまえら喧嘩すんな!と叫べないほどイクトは息切れしていた。
踊り場で一体息を整える。
上から口論が聞こえた。

「あーもぅっ、もうきてるっぽいじゃんマスター!」
「あ、おいまてリン!」

言うのが遅く、二階についたと途端足を知らずうちに絡ませたリンは荷物と一緒に前屈みに、重力に逆らう事なく地面に落ちてゆく。
ああ、こりゃ地面に顔面激突だな、とレンとイクトが覚悟した時だった。



「君は実に馬鹿だ、前も同じように転けてなかったか?」

レンより低い、透き通った声が響いた。
彼はリンが地面にキスする前に目にも止まらない速さでリンを抱き上げていた。
「うぇ!?あ、ありがとう」
リンはかなり動揺したが、彼は冷静に

「礼には及ばない」
と告げた。




「しかし君は実に馬鹿だな、前もあんな風に転けてたろ」

彼にそっくりな少女が、ようやく立ったリンに話しかけた。

「だって二人に早く会いたかったもん」

問いにリンがそういえば、二人はそっくりな顔を見合せ、

「はは、そうか。」
「ああ、僕達も会いたかったぞ!」

と言った。



「さ、早く中に入った入った。」
とイクトが言えば、

「うむ、お邪魔する。…相変わらず散らかってるな。…いて」
「全く同じことを毎度毎度…」
「はは、悪い悪い」

二人がそんな会話をかわす。

「リンね、二人と沢山おしゃべりしたいの!」
「だから、せめてゆっくりしてってくれよ。




……テト姉、テッド兄」






ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【閑話休題】二人三脚-イクトと鏡音家と…-【そのいち】

テトとテッドを出したかったんだ。

余談すが重音家は携帯サイトで連載してる小説の子達です。
テッドは眼鏡かけてないほうが好き

閲覧数:230

投稿日:2009/08/05 03:32:45

文字数:1,279文字

カテゴリ:小説

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