※リアル体験談。(親戚から聞いた話です。多少脚色してあります)
※怖い話が苦手な人は今すぐ逃げて!!!





これは、実際にあった話です。




「カイト兄。またこんなにアイス買って……マスターに怒られるよ」
「え、でも最近暑いし。マスターも食べるだろうから怒られはしないと思うけど」
「限度があるよ。カップばっかじゃないんだから、早く帰らないと全部溶ける」

溜息込めて呆れた声でいう弟、レンに苦笑で返せば、ギロリと睨まれた。
猛暑が続く今日この頃。
姉や妹は「暑くて無理」と外に出ることを拒否したため、マスターにより買い物係に任命された俺とレンは、二人で近所のコンビニまで歩いてきていた。
レンは暑さ故か、イライラしている。
「じゃあ、帰ろうか」
そう言おうとしたら、不意に携帯の着信音が聞こえてきた。
レンの持つ携帯だ。

「ん? 俺?」
「荷物持つよ。リン?」

レンはズボンのポケットから携帯を取り出す。
マスターや姉さんなら、俺に電話するはずだから。レンに電話をかけるならリンだろう。
遅いという催促だろうか?

「レン? 出ないの?」

じっと携帯の画面を見ながら止まっているレン。どうしたのかと顔を窺うと怪訝な顔をしていた。
そして、未だ着信を告げる携帯を俺に見せる。

「ねぇ、これどういうこと?」
「……え?」

着信は告げているものの、携帯の画面には相手も電話番号も表示されていない。
不審げな目を携帯に向けていたレンは、未だに止まない着信に出ることにしたようだ。
折りたたまれた携帯を開く。

「え!? 出るの?」
「このままじゃ、らち明かないだろ?」

男前な弟に俺が感心している間に、レンは通話ボタンを押し、緩慢な動作で携帯を耳元にそえる。
ほんの少し俺達の間に緊張が走る。
こんな状況初めてだし、相手は誰なのかと興味もあった。
高性能なVOCALOIDである俺達は、耳を澄ますまでもなくいろんな音を拾う。
レンの携帯からは知らない女の人の声でアナウンスが流れていた。


レンはじっと耳を澄ませて聞いている。

しだいに、音声が途切れて携帯からは電子音が聞こえるだけになった。


「なんなの?」
「さあ……?」


レンが耳から携帯を離そうとした、その瞬間。

音が途絶えていた携帯から、悲痛な女の叫び声が響いた。


状況を理解するよりも早く、レンは携帯を耳から離し、電源を切った。


「……な、なに!? い、今の」
「わっかんないよ! なんだあれ!?」

いきなり聞こえてきた女の人の悲鳴に俺がパニックになると、それに呼応するようにレンも声をあげた。

「と、とりあえず。早く帰ろう!」

次第に顔が青ざめていくレンに気づいた俺は、レンの手をとって少しだけ強引に歩き出した。
レンは少しだけ驚いた顔をしたけど、素直に手をつないだまま歩いてくれた。


もうすぐマスターのいる家に着く。
ちらりと、少し後ろを歩くレンを見る。
少しだけ放心状態に陥ってるようだ。
無理もない。傍にいた俺でさえ、今でもあの悲鳴が耳に残っているのに、それを直接聞いていたレンが怖くないはずがない。

早くマスターのところに連れて行ってあげよう。
繋いだ手に力を込めると、レンも小さく握り返してきた。

そこに聞こえてきたのは、携帯の着信音。

レンが立ち止り、俺も歩くのをやめた。
握る手に力はなく、するりと手は離れた。


「……ねぇ、カイト兄」
「うん……」
「俺、携帯の電源……切った、よな?」


返事は出来なかった。
確かに、切っていたから。


「なんで、鳴ってんの? これ」


レンが怯えた顔で笑顔を作り、着信を知らせる携帯を見せて俺に尋ねる。

思わず、手を伸ばしレンの携帯を握る手を掴む。

「帰ろう、レン! マスターのところに」
「けどっ」
「大丈夫だから!」

何が大丈夫なのか自分でもよくわからなかったけど、そうやって言ってあげることしか出来なかった。

レンは小さく頷くと、走り出す俺に歩調を合わせた。



「おかえりー。そんな息切らして、そこまで急ぐことないのに……って、どうした?」

玄関の扉を勢いよく開け走りこむと、その音に気づいたマスターがすぐに顔を見せてくれた。
最初はただ単に、迎えてくれたマスターも、普段と明らかに違う俺達の表情を読み取ったのか、すごく真剣に尋ねた。

今にも泣き出してしまいそうなレンに変わって事情を説明する。
その間マスターは真剣に聞いてくれた。
説明が終わるとマスターは驚いた顔をしてレンを見た。
すかさず、レンを家の中に引き入れる。

「レン。お祓いしにいくよ」
「え?」
「とりあえず中に入れ。カイトも早くしろ」
「え、あ、はい」

マスターが言うまま、俺達は家の中に入った。

家で待っていた姉と妹は俺達のただならぬ雰囲気に遠くから見守っている。
マスターは俺達をソファーに押しこむとどこかに電話をかけだした。


マスターによって、お祓いすることになった俺達は、事なきを得た。

レンは携帯を持つことを怖がるようになったが、それは無理もない。



後に、マスターから聞いた話によると玄関に置いてある姿見に映ったレンの顔が歪んでいたそうです。



 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

怖い話。~携帯電話~

コラボに投稿したものです。

設定や状況などは変えてあります。
物語はフィクションですよ!
内容は実話ですが。

霊感のある従兄妹のお兄さんの友達の身に起きた話(携帯から聞こえてきた女性のアナウンスと悲鳴。鏡に映った歪んだ顔)だそうです。

私はこれを病院の入り口で、同じく霊感のある従兄妹のお姉さんに教えられて鳥肌たちました。

閲覧数:339

投稿日:2010/08/14 19:36:01

文字数:2,174文字

カテゴリ:小説

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  • なのこ

    なのこ

    ご意見・ご感想

    こええええwwwびくりました。                              

    こういうのって、ホントにあるんですね。ブクマもらいます

    2011/04/03 13:45:48

    • 久遠@御用の方はメッセお願いします。

      久遠@御用の方はメッセお願いします。

      あるみたいですよ!びっくりですよねw
      病院に入る時にこの話を聞いたので、背筋にソッと冷たい何かが走ったのを覚えてます((`・ω・´))←

      ブクマありがとうございます!

      2011/05/31 23:35:28

  • 欠陥品

    欠陥品

    ご意見・ご感想

    少し涼をとれましたよ・・・;
    しかも親戚が似たような体験してるので、笑い飛ばすことも出来ないorz

    一人暮らしの人間を怖がらせないでください(泣)←

    2010/08/14 19:33:59

    • 久遠@御用の方はメッセお願いします。

      久遠@御用の方はメッセお願いします。

      親戚が似たような経験を!?
      ……やっぱり、どこでもあるんですね。

      さーせんww
      怖い話が大好きなものでw←
      だから怖いから逃げてって最初に言ったのにww

      2010/08/14 19:40:18

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