秘蜜 ~黒の誓い~
第二章 「情欲 禁忌の箱」
その夜私は、大きな広葉樹の枝にもたれながら、静かに考えていた。
人間と天使の恋は許されない・・・・・
なら 私は、どうすればいいんだろう・・・・
どうしても叶えたい。彼女にふりむいてほしかった。
・・・・私が、
私が人間だったら・・・・・・・・・・
夜の風は涼しい。私は、あるひとつの決意を胸に、ゆっくりと目を閉じた。
ここは、どこ・・・・・・?
真っ白い世界は、どこまでも果てしなく続いているようだ。
夢だろう。私は息を吐くと、正面に向き直った。
その時。
私は顔をこわばらせた。
これは・・・・・・これは・・・・・・・・・・
あの日。そうだ。あの日から、私の運命の歯車は狂いだした。
焼けた紋章を押し付けられる自分。やめて、やめて・・・・・それは私なの。
私をこれ以上苦しめないで・・・。
幻覚。だけど、現実。幻像はやがて変わり、ルカとネル、その他もろもろの
取り巻きが、私のことを大天使様に言いつける瞬間になった。
そう、私は明らかに嫉妬されていた。
直接悪いことをしたわけではないが、彼女たちにとって、私という存在は
かなり邪魔だったといえる。そこには私もうすうす感づいていた。
もっと注意すべきだったのだ。あの夜彼女たちは、あの場に居合わせていた。
それに気づいていながら、私は彼の告白を断った。
「OK」を出しても同じ結果だったかもしれないが、
今更になって後悔している。
彼女たちが大天使様に私のことを何と言ったかはわからないが、
私は有罪とみなされ天界を追放された。
私が焼けた紋章を押し付けられたとき、彼女たちは笑っていた。
でも その場に、ルカとカイトの姿はなかった。
私は確かに怒りを覚えた。
力いっぱい握りしめた拳で、彼を思いきり殴ってやりたかった。
こんな時に助けにきてもくれないくせに、何が告白よ。
ふざけないで、と叫びたかったが、もうその声も届かない。
私は嘘の情報ただ一つだけで、天使でいることを否定されたのだ。
涙が頬をつたう。その感覚で、私は眠りから覚めた。
気がつくともう朝で、少し冷たい空気が張りつめていた。
手の甲で涙をぬぐうと、風にあたってひんやりする。
そんなことをしているうちに、下に人の気配を感じて、そくざに下を見る。
「おはよう。よく眠れた?」
そこには、淡い青色のガウンをはおったミクがいた。
相変わらず美しい彼女は、少し疲れているようにも見える。
「・・・おはようミク。私は大丈夫だけど、なんか目が座ってるよ?
あんまり寝れてないんじゃない?」
ミクはごしごしと目をこすると、小さく微笑んだ。
「ねえリン。隣・・・座ってもいいかな。下にいると、見つかっちゃうから。
そのあと話すよ、本当に私、眠れてなくて・・・」
私は地面におりると、彼女に背中にのるよう示した。
彼女の身体は、とても、温かかった。
「・・・・・私ね、もうすぐ、政略結婚させられるの。
相手は有名な政治家の息子だって。そこそこの年齢だし、優しくていい人なんだけど
私どうしても好きになれなくて・・・・・・。今日はその人がこっちに来て、
一緒にドレス選びをするの。だから、朝からいろいろと支度が」
結婚・・・・・・・彼女が。ミクはそれを望んでいないの?結婚なんて、しちゃダメだ。
私が、私がミクを守らないと。
「・・・・リン?」
ミクの声で、私は我に返った。
「どうしたの、急にむずかしい顔をして」
私はしばらくミクの顔を見て、ポツリとつぶやいた。
「本当に・・・しなきゃいけないの?その結婚」
ミクは少し反応に困ったようだったが、すぐに答えた。
「うーん・・・・・・・まあ、ね。お父さんのためにもなるわけだし・・・・・・・・・でも、うーん、
なんといっても、やっぱり・・・父親には逆らえないから」
その日ミクは綺麗なドレスを着て、背の高い男性と一緒に馬車に乗り、
隣町の店まで出かけて行った。
そう、私は、この時間の中で、あることをし、規則をまた破る。
この許されない恋を叶えるためには、もうこうするしか・・・・・・・・
すべてを壊すしか、道はないのだ。
「・・・・・・おい、見ろよ。天使だぜ、天使」
「いったい何しに来たのかしら」
悪魔は口々にささやく。それでも私は歩き続ける。本当に気味の悪い場所だ。
魔界への行き方は知っていた。前、何らかの書物で読んだことがある。
普通の天使、人間は、まず知らないだろう。
「・・・・・この度は、私の願いを叶えていただくために参りました。」
そう言い魔王に頭をさげると、魔界はさらに騒がしくなった。
「ほう。わしに願いを叶えろと。・・・・代償はあるんじゃろうな?」
私は少し黙ってから、口をひらく。
「代償・・・・は、この羽でよろしければ、差し上げます」
天使としての証を、ついに取ってしまうのだ。でも私は、それでさえもいいと思っていた。
「・・・・よかろう。では、主の願いを叶えてやる」
そう言うと魔王は一人の悪魔を呼んだ。
「・・・・・・・なんでございましょうか。」
「ロン。お前はこの天使を案内しろ。」
「かしこまりました。魔王様。・・・・こちらへ」
そして私は、ロンと呼ばれた少年に連れられて、ある部屋へ向かった。
案外スムーズだったことに少し驚いた。きっと、羽の代償がきいたのだろう。
魔界では天使の白い羽は貴重なものとして扱われている。年に一度、「天使狩り」が
行われているくらいだ。
私が案内された部屋は、クモの巣がはられ、血の匂いがプンプンしている、薄暗い部屋だった。
それだけでも薄気味悪いのに、だだっ広い中に一つだけイスが置かれ、その周りを
何かの紋章のような模様が囲んでいた。
「そこ、座って」
ロンは静かに扉をしめると、低い声でつぶやく。
私がイスに座るのを確認すると、イスの後ろに立った。
「・・・・・それで・・・・・・君の、願いは・・・・?」
言いながら、ロンは私に目隠しをする。視界は真っ暗な闇に変わった。
「私・・・私は、この身体を・・・・・人間と同じにしてほしいの。
でも、女じゃなくて・・・男の身体にして」
そこまで言うと、ロンは、私の耳元でささやいた。
「俺が呪文を言い始めたら、頭の中で想像するんだ。なるべく細かく。
髪や、声・・・体格」
そして、なにやら長ったらしい呪文を読み始めた。
私は想像する。
きっと、きっと想いは届くはず。全部を捨てて、ここまで来たんだ。
「・・・目を開けて。」
ロンの声で私は目を開けた。
彼の手には、銃と弾丸が握られていた。
「いつでもいい。これで自分の身体をつらぬくんだ。そうすれば、
願いは叶う。・・・この弾丸には、君の想像が組み込まれているから」
そういってロンは、銃を黒い小箱にしまい、私に渡してきた。
「銃を撃つ前にもう一度俺を呼べ。代償はその時にもらう」
そのとき私は、とっさに口をひらいた。
あとのことはもう、憶えてない。
その夜、私はミクに、門の所まで来てほしいと頼んだ。
どうしても、・・・・何か、さよならがしたかったのだ。
静まり返った街は、ところどころ明かりが灯っている。
そのうち、足音がきこえてきた。
「リン・・・・リン、どこにいるの?」
ミクだ。彼女は綺麗なドレスを着たままだった。朝からずっと同じ。
「・・・・ミ・・」
声をかけようとしたが、私はついためらってしまった。何と言えばいいのだろう。
何も思いつかなかった私は、反射的に彼女の背中に手を伸ばした。
もう自分の情欲をおさえることができなかった。
私は彼女の唇を奪った。
本当に短い間の事だった。だけど彼女は、私の身体から身を引いた。
後ろに突き飛ばされた私は、彼女と目をあわせられなかった。
「・・・何・・・・・・・・するの・・・・?」
ミクは多少息を荒げていた。それもそのはずだ。
「・・・・・・・・ごめん・・・」
謝ることしかできなかった。彼女は私のことを嫌いになってしまったかもしれない。
でも、どっちにしても私は、もう彼女の頭の中からはいなくなるのだ。
ミクは、自分の口に手をあてて、おおっていた。
もうこれ以上、彼女の前にいるのは、やめた方がいいと思った。
「・・・・・!」
多分、ミクが気づいた時にはもうすでに私の姿はなかったと思う。
私はすすり泣いた。涙と共に、天使であった頃の心も流してしまえたらと、
ずっと、一人泣き続けた。
そして、深夜。
銃声は、鳴り響いた・・・・・・・・・・・
第二章 「情欲 禁忌の箱」おわり
秘蜜~黒の誓い~ 第二章
はぁぁ~~(*^。^*)第二章、書き終えました! !
なんか疲れたwww
楽しんでもらえたでしょーか??
お次は第三章よぉぉおお
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