ある日の朝。
いつもより早く目が覚めた。
「んん… はぁ。」
軽く伸びをして体を起こす。
目覚ましが鳴るまで1時間はある。
「目覚めちゃったな… たまには早く起きるか。」
部屋を出てリビングへ行くとあることに気がついた。
「ん? …なんだコレ。タマゴ?」
キッチンに、なんというか、平たかったり
丸まってたりもするスクランブルエッグのようなソレ。
カイトには思い当たる節があった。
「めーちゃんかw」
実はその前日、こんな会話をしたのだ。
「カイトって好きな食べ物なに?」
「え… アイス?」
「そうじゃなくて! だから…その…朝ご飯とか…
お弁当とかそういうので。」
「え、めーちゃん作ってくれるの?」
「そんなこと言ってないじゃない! 聞いただけよ///」
「んー、そうだなぁ… やっぱり和食かな。
卵焼きとかお味噌汁とかあると、
なんかあったかい家庭っぽいよね。」
「…なるほど。」
つまりコレは。
「めーちゃん、料理できないのかw」
そういうことになる。
その時リビングの扉が静かに開いた。
「あ、めーちゃんおはよう。」
「え? おはよう… って、ちょ、ソレ!」
「あぁ、コレ?」
「っ///」
メイコの頬がみるみる赤くなる。
「なんでこんな早くに起きてるのよっ!」
「んー? なんとなく。」
「なにそれ…」
半分諦めたようなつぶやき。
ちょっと寝癖のついた、頬の赤いメイコを見て
カイトが笑う。
「なによ///」
「ね、めーちゃん。一緒に朝ご飯作ろう?」
「え…」
「ほら、ね?」
ためらうメイコの背中を押して、
カイトはキッチンへ入った。
「今日の朝ご飯、何が食べたい?」
いつもの台詞だ。
実は朝ご飯の支度は毎日カイトがしている。
これは仕事が忙しく、朝が弱いメイコへの優しさ。
だが、今日は少し違う。
「めーちゃんは何作りたいの?」
「…卵焼き…」
「了解。じゃ、こっちね。」
少し狭いキッチンに2人で並ぶ。
普段ではなかなか無い距離と、
真剣な顔でタマゴを見つめるメイコに
自然と顔もほころぶ。
そんなカイトに気づくこともないまま、
メイコはタマゴを巻き始める。
「あ。」
当然、夜できなかったことが一晩たつとうまくできる、
なんてことはない。
「んー、なんで?」
その時、ふわっと背中に誰かの気配を感じた。
振り向くと優しく微笑むカイト。
「ほら、一緒にやってあげる。」
メイコの手に自分の手を重ね、
ぎゅっとフライパンをにぎる。
そしてクルクルと器用にタマゴを巻いた。
「よし、完成!」
「…ありがと。」
「どういたしまして。じゃ、あとは…」
カイトはまたメイコの隣に立ち、手早く他のおかずと
味噌汁を作った。
そしてそれらを皿にもりつけていき、
テーブルにならべていく。
その一連の動作をじーっと見つめていたメイコが
カイトに言う。
「あんた、本当に器用よね。
料理なんていつできるようになったの?」
「んー? ひみつ。」
「は? なんで…意味わかんない。」
「そんなのいいからさ、食べよ?」
「いただきまーす!」
「…いただきます。」
そうしていつもと同じような、
静かな朝ご飯が始まった。
いつもと違うことといえば。
「めーちゃんのタマゴ、おいしいよ。」
「そりゃそうよ。だってほとんどカイトが
作ったようなものじゃない。」
「そんなことないよ。ほら、あーん。」
「なっ/// 自分で食べれる!」
「ダーメw」
「…なによもう!」
パクっ
「おいしいしょ?」
「…おいしい。」
ふくれつつも素直に答えるメイコに
もう一度笑いかけて、自分も食事を進める。
今日はたしか、メイコの方が早く家を出るはずだ。
あまり彼女を足止めしてはかわいそうかと思い、
軽い話をいくつかして食事を終えた。
「じゃ、行ってきます。」
「うん、行ってらっしゃい。頑張ってね。」
「カイトも遅刻しちゃダメよ?」
「わかってるよw」
ガチャガチャ バタン
メイコが出ていくと、カイトは少しキッチンを眺め、
ぽつりともらした。
「いつから始めたんだっけ…」
そしてリビングを出て、自分の部屋の本棚に
隠すようにしまっていたものをひらく。
そこに書いてあったのは
“わたしの ぼくの ゆめ”
幼稚園のアルバムだ。
ちなみにそれは彼のものではない。
メイコのものだった。
ページを何枚かめくり、 さきねめいこ の
名前を見つける。
“おおきくなったら、やさしくて
おりようりのじょうずなひとの
およめさんになりたいです”
「覚えてるのかな?」
何度見たかわからない、その下手くそなひらがなを
見つめながらつぶやき微笑む。
料理のよが大きい所など、今のしっかり者の
メイコを想像すると少し笑える、
かわいらしく幼稚園児らしいミス。
少しの間黙って見ていたカイトが、
ハッとしたように顔をあげた。
「いけねっ! 俺も行かなきゃ!」
アルバムを元のように隠し、
急いでジャケットをはおる。
メイコに選んでもらった時計をにぎり、
慌てて出ていく。
ガチャガチャ バタン
空には青空が広がっている。
昨日の雨でできた水溜まりを器用によけながら、
カイトは空を見上げた。
「さぁ、今日も頑張りますか!」
そう言うとカイトは走り出した。
清々しい気分と共に、また新しい1日が始まる―――。
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