「じゃあリン、また来るね!明日はチューリップ持ってきて上げるから!!」

 ミクはそういうと、リンに手を振った。
リンが笑顔で手を振り返す。
「ミクちゃん毎日来てるの!?」
レンは驚いた顔で言った。それを見てミクは切ない気持ちになる。
レンも本当は毎日会いに来たいだろう。きっと一番リンの事を心配しているはずだ。

ミクは精一杯元気な表情を作る。
「レンもおいでよっ!楽しいから!」

「ミクちゃん病院に遊びにきてるんでしょ~」

「べ、別に!!」

そんなことを言いながらもう一度手を振る。
「じゃ、今度こそ本当に。バイバイッ!」




ミクは勢いよく病室を飛び出した。

最近はいつもこうだ。
帰るときに、何故かとてつもなく不安になる。
もう会えなくなるんじゃないか、と思ってしまうのだ。
もちろんミクはそんなことは考えたくもないので、手を振ったあとはどうしても走ってしまう。

ミクの脳裏に、儚げに手を振っているリンが映し出される。

なぜか・・・涙が滲む。

本当はいつになったらリンが退院できるのか、
いつになったら声が出るようになるのか、
心配でたまらなかった。

ミクはグレーのカーディガンの袖で瞳を擦る。
泣きそうなのがバレないように、すぐに顔から手を離した。

・・・はずなのに、目の前が真っ黒だった。

「・・・!?」

理由を考える暇もなく、ミクは黒いなにかに激突する。
ミクはすごい勢いで走っていたため、思いっきりぶつかってしまった。

「ご・・・ごめんなさい・・・!」

ミクは立ち上がって頭を下げる。
前にこんなドラマ見たなぁ・・・と思いながら。
まぁ相手がイケメンだったらの話だけどね。

「あ、いや・・・別に・・・ってあれ?もしかしてミクちゃん?」

この「感情がないのに声作ってますwww」風な声には聞き覚えがあった。

ミクはとっさに顔を上げる。そこには懐かしい顔があった。
緑色の短めの髪、そしてゴスロリの服を着た・・・。

・・・え?ゴスロリ??

「グミちゃ・・・アンタいつからコスプレするようになったの!?」

思わず大きな声をだしたミクの口をグミが押さえつける。

「ミクちゃん、ここ病院!!静かにして!」

グミが手を離すとミクはゲホゲホと咳き込んだ。

「わかったから・・・強く・・・抑えないで・・・」
「あ、ごめん。」

ミクとグミは学校では同じクラスなのだ。

昔は休日に会うこともあったが、
ミクがリンの病室に通うようになってからその機会は減っていった。
結局、学校で顔を合わせるだけの、今の状態になってしまったのだ。

「ところでグミちゃん、あたしの質問に答えてもらってもいいかなぁ?
い・つ・か・ら・ゴスロリ着るようになったのよ!」

ミクの質問に対してグミはケロッとした表情で答える。

「別にゴスロリを着るようになったわけじゃないの。変装なの。これ。」

「病院になんの必要があって変装してくるのよ。」

グミはにっこり笑って答える。

「ミクちゃんに合わないように(´∀`*)」

「な・・・なんであたし!?」

「面倒くさいから。学校の人に会うと毎回声かけられるじゃない?それが嫌なのよね~」

ミクは学校の友達に会うとむしろ自分から声をかけにいくタイプなので、
グミの気持ちが分からなかった。

「なんで嫌なのよ?」

「嫌なもんは嫌(´∀`*)」

「・・・。」

「そんなことより!ミクちゃん、リンちゃんのお見舞い?
でなきゃミクちゃんが病院にいるわけないよね。」

グミが笑顔でいうと、ミクはそれをにらみつける。
「あたしなんかは病院には用がないとでも言いたげね?」

グミは爽やかな笑顔のまま、
「身体が丈夫で雑草と一緒でも暮らしていけるミクちゃんに病院は必要ないじゃない、ね?」
と、暴言を吐いた。


そう、グミはものすごく口が悪いのだ。

グミの暴言にミクは昔から悩まされていた。

前も、休日に偶然会った時、
『あ、グミちゃ~ん!珍しいね、買い物??』
『あ~あ。ミクちゃんに会っちゃったぁ~。今日の星占いあたってたなぁ~(´∀`*)』
『何位だったの?』
『十二位♪』

・・・思い出しただけで腹が立ってきたので、ミクはもう考えるのをやめた。

「グミちゃんこそどうしたの?」
ミクは感情を表み出さないよう、静かな声で言った。

「・・・っ!」

返事が返ってこないのでミクが不審に思ってグミの顔を見ると、
あろう事か、グミの顔は見たことがないほど真っ赤になっていた。

「え・・・ちょ・・・グミちゃん!?」

ミクが驚いて声をかけると、グミはハッと我に返ったようにミクを見る。

「な、な、なんでもないの!!あたし用事あるから!じゃあミクちゃん、明日、学校でね!」

そう言ってミクが今来た方向に向かって走り出すグミを、ミクは
(明日、日曜日なのに・・・。グミちゃんだけ学校行くのかな・・・www)
と思いながら見送った。




ミクと別れたグミはトイレに駆け込んだ。
すぐさま鏡を見る。

(どうしたのよグミ!質問されただけで赤面ぶっこいてんじゃないわよ!)

グミは手で冷やしてもまだ熱を持っている自分の頬を軽く叩きながら自分を叱る。
いままであまり(特にミクの前では)感情を表に出したことがないグミにとって、
赤面してしまったということは、とても恥ずかしいことに感じるのだった。

グミは自分の顔色が元に戻ってきたのを確認すると、深い深呼吸をする。

(人に・・・しかもミクちゃんに・・・言えるわけないじゃない!)

心の中で一度大きな声で怒鳴ってグミは自分を取り戻し、トイレを出た。
たくさんの人がグミに気づかずに通り過ぎていくのを見て安心する。

(大丈夫。私は落ち着いてるわ。普段どおりなのよ。)





グミはミクの質問に答えられるわけがなかった。
裏の帝王などのあだ名がついていたグミが、
常にミクを上から見下ろしてきたグミが、
病院なんかに来た理由。

言えるわけがなかった。

レンに会いに来たから、だなんて。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

紫陽花の記憶 第2話

第二話完成なの~ヽ(*´∀`)ノ

キャラのイメージを壊しそうでものすごく怖いっ!
グミちゃん愛してるよ~www

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閲覧数:270

投稿日:2012/03/12 22:21:40

文字数:2,516文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • kanpyo

    kanpyo

    その他

    星占いの件⇒『十二位♪』
    で笑ってしまいました。

    ひで~よ、グミちゃんwww。

    新キャラ、グミちゃん登場で新しい物語の流れを予感させます。
    ワクワクしますね!
    果たしてコレは何角関係になるんでしょう?

    つづき、お待ちしております。

    2012/03/21 21:10:21

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