一般客に紛れてても全く気付かれない。流石にあのジャージは印象が強かったんだろうか。楽が出来て良いけどこれでは課題にならないな…。そろそろアリエッタと合流でもしようかと携帯を出した所へさわさわと人の声が聞こえた。

「うぉ!あれ動画の花壇じゃね?!」
「お!マジだ!ちっちゃ!」
「ちょっと待って待って、ねね、今って課題中なんだよね?」
「はぁ…はぁ…あ…あの…今は…!」
「一人なの?帽子屋は?それから神父も居ないじゃん。」
「あ…あの!急いでて…!」
「良いじゃん、ちょっとだけ、動画応援してたよ~可愛いねぇ。」

『一般客は手を出すな』っつっただろうが!花壇はよく絡まれるな、チビだけど目立つからか?そろそろ助け船でも出そうと思った所へクラムが此方へ来るのが見えた。走り疲れたらしく歩いてる。

「ええぇ~も…疲れた…。」
「つ…疲れた…ちょ…休戦。」

鬼ごっこでグダグダになってるな…まぁ確かに今のままだと無理があるか、結構時間経ってるけど『ブレイク』のコール全然無いし…二人を追いつつ野外ステージ裏に来た。ここは確かに死角だな。

「はい、お茶です…。」
「悪い…もう走りっ放しで疲れた…。」
「リトルフラワーさんは?私もハレルヤさんとはぐれちゃいましたし。」
「つーかチコリ達がチーム組んでんだって…鳥で死ぬかと思ったよ。」
「鳥…ラビットさんですか…何か強そうですよね…。」

何だって…?チコリとラビットが組んだ…しかも『達』とか『チーム』とか嫌な予感が…。その展開は予想外だな、バタフライも何か暴れてるし、ウサギと帽子屋は姿が見えないし…。

「カカカカカ!!おいおいお前等!!生っちょろい事してんじゃねぇぞー?ブレイクの
 コールがちーっとも無ぇじゃねぇか!視聴者様を退屈で殺す気かー?!しょーがない
 から俺様ちょぉーっと手伝っちゃうぞー?」
「またうぜぇ事言いそうだな…。」

と、スコープにマップとポイントが表示された。

「チコリ様『ラビット』一枚所持で現在地は教会前!ラビット様!『鳳仙花』一枚
 所持、 門番ディー『チコリ』一枚、鳳仙花様『チェシャ猫』と『門番・ディー』
 それから奪取した『バタフライ』の三枚!こいつらチーム組みやがったぞ!
 ハレルヤ様奪取した『クラム』『スナイパー』の二枚、カフェテラス前に居るぜー?
 クラム様!プレートは『リトルフラワー』一枚!現在地は野外ステージ近辺!
 シャルロット様!『門番・ダム』一枚! そしてプレート数が最多の花壇様!
 『Mad Hatter』『March Hare』『ハレルヤ』『ハートのジャック』計四枚を持って
 同じく野外ステージ近辺!お客様が退屈だろうが!とっと戦えー!」
「四枚?!おい、どんだけ貰ってんだよ?!一枚出せよ!帽子屋のだけで良いから!」
「そんな事言われても…きゃあっ?!」
「手前ェ!服の中隠してんじゃねぇよ!脱げ!」
「イヤー!!チカン!!変態!!誰か―――!!」
「馬鹿!大声出すな!人聞き悪ィ!てか暴れんな!」
「いや、どう見たって変質者だから…やめやめ。」
「シャルロットさん…。」

犯罪になりそうな光景だったので流石に止めた。これは多分きっかけが必要か?

「今門番ダム呼んだから、彼女から俺のプレート貰ってどっちかがブレイクして。」
「は?」
「走るの嫌いだし…そんじゃ頼んだよ~。」

ポカーンとする二人を置いてその場を後にした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-119.ジャーマンダー-

それがスイッチ

閲覧数:204

投稿日:2010/09/17 10:39:02

文字数:1,430文字

カテゴリ:小説

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