人間不振の求愛法

浮き沈む夜
青い爪の音
やるせなさばかりが慰める
美しの君
絵画の姿
はしばみ色の紙に傷
開けて、開けて、駆け下りた戸を
いくつ、いくつ、くり返し
どこへ、どこへ、続くのか
私の足は知らないの...

レンズが一枚外れたような
不意にずれた12時どき
まだ寝てんのか起きてるんだか
ムニャムニャっていた昼の事
枕に足向けゆうらんぶらり
行ったり来たりのうつらの中で
春を忘れた眠りの森が
黙って彼女を待っていた
ぽつねんぽつり、ぽつぽつり
九官鳥した姿で降りた...

陽の昇るこの街で
ヨダカは荒野に帰る
灰の降りそそいだ
朝日の眠るこの街
泥水をすすっても
ウチらは生きていた
赤茶けた掌
固い肌のぬくもり
少女はイマを見つめ
父の背中に寄った...

「母さん水は甘いんか？」って
言ったぼくに苦い顔する
「水に味なんあるかいな」って
まともに聞いちゃくれなかった
排斥で成り立つ世界で
汚いほどに真白くなる水
いつかの誰かに伝えたいんだ
水にだって味があったって
「真の真水は甘いんや」、と
語る白髪のおっさんおって...

もっとください　あなたの鞭を
背中合わせの　愛
消えないように　そう何度も此処に
教え込んで　欲しい
鎖に繋がれたまま
いけない遊びに更ける
汗ばむ体を　ただ
ひたすらに　のけぞらせてゆく
悦びに咲く花　傷みが
愛しく腫れて　思い知るの...

『雨にうたえば～she side（彼女の場合）～』
Ａ
お高く澄ましてるこの街には似合う
グレイの空が今日も　見下ろしている嘲笑
Ａ’
倦怠と安心同時に螺旋（ねじ）巻いて
グレイのパンツスーツ　街に紛れてく
Ｂ
波に揺蕩(たゆた)うのなら　緩く（ぬるく）守られて　忘れる焦り
２ｘ...