ほっぺをつつかれてる感触がする。
指先じゃなく、もっと平べったい感じ。つついてるというより、たたいているのかな。
どっちにしろ、もう少し寝かせておいてもらいたいんだけどなー。昨日飲みすぎて体だる……
ちょっと待って。
うち、ひとり暮らしなんだけど。
つつくにしろたたくにしろ私以外に誰かいないと無理だよねていうか何かって可能性もあるよね?
やばい。どうしよう。動くのが怖い。
ほっぺはまだぺにぺに押されている。うつ伏せで椅子に腰かけている今の体勢から考えて、どうも“相手”は私の腕の中、左ほおの辺りにいるらしい。
……Gとかねずみとかだったらどうしよう。私生き物の類徹底してダメなんだけど!
とりあえず、そうっとまぶたを開く。
そのまま、ゆっくりと、ゆうっくりと左の辺りをうかがって――
息をのんだ。
大きさは、たぶんジャンガリアンハムスターの子どもと同じくらい。それでも色や形は、まるで違う。
それは、小さな人型をしていた。
やたら細っこい腕を振り上げて、ぺにぺにと私のほっぺを、たぶん、たたいている。
ぺに、ぺに、ぺに。
ぺに、ぺに、ぺに。
ぺに、ぺに、うにっ。
「うひゃあッ」
つ、つままれた!
反射で起き上がった拍子に人影もコロンと転がった。机の上で器用にでんぐり返りして、こっちをじっと見上げてくる。
さりさりと音を立てそうな、緑がかった青磁色の短髪。
髪より少し濃い二つの瞳は、ハムスターみたいに白い部分がない。
そして、白い地に薄い緑で模様を描いたコートと、茶色らしいズボンをつけていた。
えーと、何でここにいるのかはわかんないけど。とりあえずこんな見た目のやつ、知ってるよ、私。
「……KAITO?」
緑の人型は2、3度まばたきして、それからこくりとうなずいた。
うわあちょっと待て! このサイズは本家じゃなくて種KAITOだよね?! アイスに埋めなきゃ生えないはずなのになんでこんなところにっていうか種もらった覚えがまるでないのに何で発生してるのかな種KAITO!
頭をぶんぶか振ってパニくってると、皿にのった2本の木の棒が目についた。同時に気づく、かすかに甘いにおい。この、いかにも駄菓子っぽいにおいは、あれしかない。
「そういや昨日……24時間スーパーでダブルソーダ買ったような……」
アイスの名を口にしたとたん、ぱっと種KAITOは表情を明るくして、激しい勢いでうなずいた。
その通りだ、って言ってるの?
……いや、アイス頂戴ってことだろうね、きっと。発芽で1個食べきるらしいし。
とにかく、まるで覚えはないけれど――たぶん昨日酔っ払った勢いで、私がダブルソーダに種を植えて、KAITOが生えちゃったってことらしい。
うわあ、どこのダメ男ですか。
ああ……まいったな。生き物の類、ほんっとにダメなんだけどなあ……
自分でもわかる渋い顔で視線を落とすと、期待して待ちかまえているのがありありとわかる緑の瞳とかち合った。ビーズみたいにキラキラしていて、きれいだけれど少し怖い。
「ええと、うん……とりあえず、アイス、食べようか……」
全てはその後で考えよう。うん。
【亜種注意】やってしまいました【KAITOの種】
文字通りやってしまった亜種小説です。
いや、よその種KAITO達がかわいくてさ……うっかり参加したくなっちゃったんだ……
基本成長ものなのに、単体で完結できるようにしている辺りにずるさを感じますねw
こんなのですが楽しんでいただければ幸いです。
種本家様
http://piapro.jp/content/aa6z5yee9omge6m2
この方に背中を押されました
http://piapro.jp/content/0mfsdg3gfb2xdrzi
3/17
しまったKAITO書きとして致命的なミスが! うわああああッ!
しかたない2話を書いてフォローするしかないか……ッ
コメント6
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る玄関に入ると、大きく、コウの声が響いているのがわかった。
…五月蝿い。
美鈴を置いてすたすたとリビングへ向かう。
帰ってきた事に気がついたらしいコウが一層騒ぐ。
五月蝿いぞコウ。
「み!」
精一杯に伸ばしてくる手は、はたしてどういう意味なのか。
黒ゴマKAITOがお帰りなさいですと頭を下げてきた。
...KAITOの種21(亜種注意)
霜降り五葉
突然の出会いから数日後、ふたりの種KAITOとマスターさんが訪ねてくる事になった。
あの後、最初のマスターの休日だから、双方よっぽど早く会いたかったんだろうな。
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃいませ。迷いませんでしたか?」
チャイムの音に、迎えに出たのは俺だった。マスターだと初対面だから、玄関で挨...KAITOful☆days #16【KAITOの種】
藍流
モカとコウを連れて散歩してると、声をかけられた。
黒い…KAITOに。
「あの…ここどこですか?」
……どこ、と言われても…。
涙目になりつつある黒いKAITO。
もしかして、迷子なのか。
手に地図を持っている。見ればいいのではないだろうか。
「……マスターに、地図…渡されたんですけど………マスター...KAITOの種12(亜種注意)
霜降り五葉
カフェモカアイスとその他いくつかのアイスを自転車の籠にいれて風を切りながら走る。
いくつかの出来事を振り返りながら思う。
己の不甲斐無さと、コウの強さ。
二度、助けられた。
とても大きな二回。
落ち着いたつもりでいて、全く落ち着いていなかった。
冷静に成り切れずにいたせいで周りが見えなくなっていた。...KAITOの種16 後編(亜種注意)
霜降り五葉
いつもより少し遅く帰宅する。
一つ何かあると何故全く関係のないものまでトラブルを起こすのか。
理解が出来ない。
最近やけに忙しい。
そんな時に限って面倒なことばかり起こるものだし。
ああもう。早く帰ってアイスでも食おう。
どうせ二人にせがまれるんだし。家のドアを開ける。
………静かだ。
寝てんのか?...KAITOの種6 前編(亜種注意)
霜降り五葉
「マスター、海水浴を讃える歌を作ってくださいー!」
バーン、と大書きする勢いでドアを開けて、我が家の青いのが部屋に駆け込んできた。
「何、藪から棒に……『潮風』歌った人が」
「『島唄』だって歌ってます」
「あれって海の歌だっけ? まあとりあえず、却下。私はどっちかっていうと『潮風』に共感派」
夏の海...*夏海讃歌* 【めーちゃんて言わせたかっただけ】
藍流
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
ちはれ(花見酒P)
その他
>エメルさま
はじめまして、ご訪問ありがとうございます。
種KAITOはしばらく子どもと小動物の中間みたいな感じで考えています。
マスター、はたから見る分には面白い人ですよ。どこまで表現できるか不安ですがw
応援ありがとうございます。
ぼちぼち書いていけたらと考えています。
エメルさまのショコイトも楽しみにしております<ってここで言うなよ
2009/03/17 22:56:20
エメル
ご意見・ご感想
はじめまして~
ほっぺを小さな手のひらでぺちぺちしてるソーダKAITOくんかわいいよ~
酔った勢いって・・・マスターさんもなんだか面白そうな方ですね。
1話完結方式、いいと思いますよ。私もそういう風に書いていこうと思ってます。
種KAITOと動物が苦手のマスターとの共同生活、続きがとても楽しみです。
がんばってください~
2009/03/17 09:37:04
ちはれ(花見酒P)
その他
>氷村御本家さま
ご訪問ありがとうございます。
最近テキストが増えているようなので、よそ様と被っちゃいかんよなーと考えてたらこんなことにw
本当に生き物ダメなくせに、どこで拾ってなんで植えたんだよ、マスター<作者が言うな
種KAITOは今のところハムスターっぽい小動物状態なので、マスターは当分ガクブルしてると思いますwww
いやまあ、後で書きますが近づかれたり触られたりしない分には平気ですし、
責任は取ろうとする人なので大丈夫だと思いますよ、たぶん。
2009/03/17 00:33:54
氷村
ご意見・ご感想
こんばんは。おじゃましております、氷村です。
なるほど、酔った勢いとはこういう事ですか^^
以前に小説で書いてくださった方が、
何だかわからないうちに押し付けられちゃった系を書いてらっしゃいましたが
(会社の上司にほとんど無理やり握らされていた)
これはまた、新しいタイプですねv
読みきりタイプ、面白いと思いますよ~~w
ていうか、主人公さん、生き物系ダメだそうですけど、KAITOは大丈夫そうですか??^^;
2009/03/16 23:21:39