ブクマつながり
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玄関に入ると、大きく、コウの声が響いているのがわかった。
…五月蝿い。
美鈴を置いてすたすたとリビングへ向かう。
帰ってきた事に気がついたらしいコウが一層騒ぐ。
五月蝿いぞコウ。
「み!」
精一杯に伸ばしてくる手は、はたしてどういう意味なのか。
黒ゴマKAITOがお帰りなさいですと頭を下げてきた。
...KAITOの種21(亜種注意)
霜降り五葉
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突然の出会いから数日後、ふたりの種KAITOとマスターさんが訪ねてくる事になった。
あの後、最初のマスターの休日だから、双方よっぽど早く会いたかったんだろうな。
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃいませ。迷いませんでしたか?」
チャイムの音に、迎えに出たのは俺だった。マスターだと初対面だから、玄関で挨...KAITOful☆days #16【KAITOの種】
藍流
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モカとコウを連れて散歩してると、声をかけられた。
黒い…KAITOに。
「あの…ここどこですか?」
……どこ、と言われても…。
涙目になりつつある黒いKAITO。
もしかして、迷子なのか。
手に地図を持っている。見ればいいのではないだろうか。
「……マスターに、地図…渡されたんですけど………マスター...KAITOの種12(亜種注意)
霜降り五葉
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カフェモカアイスとその他いくつかのアイスを自転車の籠にいれて風を切りながら走る。
いくつかの出来事を振り返りながら思う。
己の不甲斐無さと、コウの強さ。
二度、助けられた。
とても大きな二回。
落ち着いたつもりでいて、全く落ち着いていなかった。
冷静に成り切れずにいたせいで周りが見えなくなっていた。...KAITOの種16 後編(亜種注意)
霜降り五葉
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いつもより少し遅く帰宅する。
一つ何かあると何故全く関係のないものまでトラブルを起こすのか。
理解が出来ない。
最近やけに忙しい。
そんな時に限って面倒なことばかり起こるものだし。
ああもう。早く帰ってアイスでも食おう。
どうせ二人にせがまれるんだし。家のドアを開ける。
………静かだ。
寝てんのか?...KAITOの種6 前編(亜種注意)
霜降り五葉
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「マスター、海水浴を讃える歌を作ってくださいー!」
バーン、と大書きする勢いでドアを開けて、我が家の青いのが部屋に駆け込んできた。
「何、藪から棒に……『潮風』歌った人が」
「『島唄』だって歌ってます」
「あれって海の歌だっけ? まあとりあえず、却下。私はどっちかっていうと『潮風』に共感派」
夏の海...*夏海讃歌* 【めーちゃんて言わせたかっただけ】
藍流
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KAITOの種を貰ったので埋めてみようと思う。
とりあえず家にあっただっつのカフェモカにでも。
冷凍庫に入れるべきなのか迷うな。
よし。冷蔵庫にしよう。
数時間して冷蔵庫の扉を開ける。
…いた。
カップの中で体育座りしてるよ。
カフェモカから生えてきたKAITO。
…色がおかしい。
茶髪だ。...KAITOの種(亜種注意)
霜降り五葉
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來果さんがマスターになってくれて、僕に許してくれた沢山の事。
食事を作らせてくれる、家の事をやらせてくれる、……職場に、傍に、行かせてくれる。
普通じゃない、って自分で思う。いくら≪VOCALOID≫がマスターを慕うものだと言ったって、僕のこれは病的だ。だけど來果さんはちっとも気にしないで、笑って赦...KAosの楽園 第3楽章-002
藍流
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來果さんがマスターになってくれて、数日。
朝晩の食事と夕食後のレッスン、それから歌った後のアイスタイムは、至福の時間だ。來果さんと一緒に過ごせて、沢山笑いかけてもらえて、僕も沢山笑う。
だけど、昼間は辛かった。來果さんは仕事があるから、ひとりで留守番をしなくちゃいけない。仕方がないって分かってはいる...KAosの楽園 第2楽章-004
藍流
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何度もお礼を言い、電話を切って、冷蔵庫へと向かう。
そういえば…買い物しないで帰ってきたのだった。
不安だったら種を植えたのと同じアイスの方がいいと言っていたが。
カフェモカアイスあっただろうか。
見落とさないように冷蔵庫を漁る。
…残り一つ。ギリギリだな。
というか足りない気がするが。
とりあえず...KAITOの種16 中編(亜種注意)
霜降り五葉
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アイスとその他諸々が入った袋が重い。
歩く度に揺れ動き、手が痛くなっていく。
その横で美鈴がアイス入りのぶんぶんと袋を振り回している。
そうしていると、やはり高校生のようだ。
ぽつりと美鈴が話しかけてくる。
「…モカ君が熱出した時、何考えましたか?」
美鈴の口調は答えを求めているような感じではなかっ...KAITOの種20(亜種注意)
霜降り五葉
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陽の光が部屋に差し込んでくる。
暖かい。
ぽかぽかと気持ちが良い。
薄い毛布を手にして窓際へ向かう。
今日こそは昼寝したい。
忙しいのとコウの邪魔で、ここのところ昼寝する暇が無かった。
麗らかな今日。昼寝には最適だ。
陽に当たりながらぬくぬくと眠ろう。
「み」
コウが後ろを付いて回る。...KAITOの種14(亜種注意)
霜降り五葉
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※アンドロイド設定注意※
『KAosの楽園』の≪VOCALOID≫(アンドロイド)設定ネタSSです。
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1. ≪VOCALOID≫的 夏事情
「暑いねー……ってカイト、その格好で暑くないの? マフラーとか」
「え? あぁ、いえ。これ、排熱と冷却の効果があるんですよ。脱ぐと却ってや...≪VOCALOID≫的 季節の事情【カイマス小ネタSS】
藍流
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初めて、起動した時からずっと。
何だか判然としないけれど、纏わりつくような違和感があった。
何か、間違っているような。世界と、ずれてしまっているような。
それは多分、『劣等感』というのが一番近いんだろう。
俺は≪VOCALOID-KAITO≫の雛形として生み出され、
――そして、そう成れなかった。
...KAosの楽園 第4楽章-004
藍流
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マスター
謎。全てにおいて謎な人。
性別、年齢等において決定的な記述はなし。
マンションの三階に在住。KAITOの種を手に入れるまで一人暮らしだったようだが実際はわからない。
器用貧乏、地味な人。
興味があれば何にでも手をつける。
何でも出来るが秀でたものはない。
一つの事に集中している時、稀に周り...KAITOの種 どうでもいい設定
霜降り五葉
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間違った方へ変わりそうな自分を、どうやったら止められるだろう。
例えば図書館で、短い会話を交わす時。図書館だから静かにしないといけないのと、仕事中だからか落ち着いた様子で話すので、來果さんは家にいる時とは別の顔を見せる。品の良い微笑を絶やさず、『穏やかなお姉さん』って感じだ。
だけど、短い会話の中で...KAosの楽園 第3楽章-003
藍流
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作ってもらった貸し出しカードは、僕の目には どんなものより価値あるものに映った。1mmの厚みもないような薄いカードだけれど、これは僕が此処へ来ても良いっていう――マスターに会いに来ても良いんだ、っていう、確かな『許可証』なんだから。
來果さんは館内の案内もしてくれて、僕は図書館にあるのが閲覧室だけじ...KAosの楽園 第2楽章-005
藍流
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歌唱システム搭載アンドロイド、≪VOCALOID≫。
ネットを賑わす『オリジナル』と同じく、それらには数種のバリエーションがある。
その内の一種、≪KAITO≫のプロトタイプとして開発された、『KA-P-01』。
しかしプロジェクトは頓挫し、商品化には至らなかった。
何の異常もないはずなのに、ほんの...KAosの楽園 序奏-002
藍流
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TELLL... TELLL...
『――只今、電話に出る事ができません。発信音の後に、お名前とメッセージを――
――カイト? 私です。えと、あの、できるだけ早く帰るから。何て言うかその、気にしないd……
いや、気にされないのはちょっとキッツイかなぁっ。あぁいやえーと、そう、気に病まないで。
...KAosの楽園 第3楽章-004
藍流
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ふと気が付くと、闇の中に立っていた。
もしも誰かが見ていたら、きっと幽鬼のようだと悲鳴を上げただろう。
どうでもいいことだけど。
カタカタと小さく音を立てて引き出しの中を探り、目当てのものを取り出した。僅かに差し込む月明かりにかざすと、研ぎ澄まされた先端が冴え冴えと光る。
冷たい兇器は、不思議と誂え...KAosの楽園 第4楽章-002
藍流
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太陽が一番元気な時間。
マスターが帰ってくるまで、まだまだ余裕がある。
洗濯物はちゃんと干してあるし、さっき掃除機もかけた。
ベッドメイキングもした。
マスターの部屋の窓はもう少し開けておくとして…後は……えーと………。
……無い?終わった?
あ……いやでも買い物はマスターに頼まれてないし。
…やっ...KAITOの種 番外編2(亜種注意)
霜降り五葉
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「貴女が好きです」
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【 KAosの楽園 第3楽章-005 】
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流れる涙が熱かった。胸が喉が締め付けられて、苦しくて。考える余裕なんて無く、思いは言葉に変換されて溢れ出る。
「ずっと、ずっと。貴女が笑ってくれると嬉しくて、ただ傍に居るだけで幸せで、触れてもら...KAosの楽園 第3楽章-005
藍流
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≪VOCALOID≫が普通に抱く思慕でなく、俺はマスターに『恋』をした。
それを認めて、想いを告げて――許された枠を超えたはずのそれは、けれど奇跡のように受け入れられて、來果さんも同じ想いを返してくれた。
自分の気持ちを否定せず、触れる事もできるようになって、俺は随分安定したと思う。
來果さんは俺の...KAosの楽園 第4楽章-001
藍流
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セラピー、と称して僕を預かるのだという人は、にこにこしていて、賑やかで、そして変な人だった。
アンドロイドの僕を気遣い、造られたプログラムを『感情』と認め、それでいて『人間』扱いをするわけでもない。ごく自然に、ありのままを認め、受け入れる――そんな風に、対等な目線に立ってくる人は初めてで。
そんな新...KAosの楽園 第1楽章-002
藍流
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『KA-P-01』。
歌唱システム搭載アンドロイド、≪VOCALOID・KAITO≫となるはずだったプロトタイプ。
その開発コンセプトは、“『KAITO』の全ての要素を詰め込もう”。
公式に設定がほぼ存在せず、それが故にユーザー達によって多種多様なキャラクター付けを為された『KAITO』。
真面目さ...KAosの楽園 序奏-003
藍流
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手伝います、とは言ったものの、僕にできる事はあんまりなかった。ライカさんの手際が良くて、手を出す暇がなかったんだ。なんでも、もう4年も一人暮らしをしているから慣れたものらしい。
「自分一人だと手抜きも覚えるしねー」
そんな事を言って、悪戯っぽく笑う。最初はきっちりレシピ通りにしていた事も、だんだん大...KAosの楽園 第1楽章-003
藍流
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電話を終えて、アイスを買って。
家に着いたら、玄関開けるなりKAITOが倒れてた。心臓止まるかと思った。
パニくりかけるのを全力で捻じ伏せて、状況確認をする。損傷した様子はなし、聞いてた通りの強制終了っぽい。
システムダウン……復旧できる分、『ダウンしているだけ』、と言えなくもないけど。
とにかく、...KAosの楽園 第1楽章-005
藍流
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寒い。外に出たくない。
だが横でみーみーと散歩を促す奴がいる。
どうしたものか。
この寒いのに。
大体今日予報は雨だぞ。
氷から生まれただけあって寒さには強いらしい。
だから寒いからと言っても聞かないし、太陽が出ていなくても関係ない。
出たいか出たくないか。それだけだ。
この間外に出てから散歩が気に...KAITOの種10(亜種注意)
霜降り五葉
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晩餐は、素晴らしい御馳走だった。籠に盛られたパンに、ベーコンとほうれん草のキッシュ。帆立と蕪のサラダはトマトの赤が華やかで、マッシュルームと海老を炒めた小鉢は仄かなガーリックの香りが食欲をそそる。それに私の大好きなクリームシチューと、海老も入ったほうれん草のグラタン、メインは温野菜をたっぷり添えた...
Gift for you, from you【続カイマスXmas】
藍流
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『生まれる』前から怖かった。
矛盾を孕んだパーソナル設定に混乱し、求められる要素の膨大さに困惑し、
主 を 害 せ よ と嗤う『ソレ』に恐怖した。
マスター。マスター、僕のマスター。逢いたいです。出逢って、傍に置いてもらって、僕が其処に居る事を確かめて、安心させてほしい。
で も マ ス タ ー...KAosの楽園 第1楽章-004
藍流
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マスターは今、家にいない。
何してるのかとかは知らない。
夜には帰ってくるとは言ってたけれど。
退屈しないようにと色鉛筆と画用紙を置いて行ってくれた。
氷KAITOが苦労しながら楽しそうに絵を描いている。
何の絵かはすぐ分かった。
「みー!」
何アイス?
「み」
バニラか。...KAITOの種 番外編(亜種注意)
霜降り五葉
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窓から入ってくる風は湿り気を帯びていて、今すぐにでも雨が降りそうだ。
背中でその風を受けながらフライパンを動かして、綺麗に焼き上がったホットケーキを皿に移す。
ふむ。
我ながら中々上手く作れたと思う。
一枚のホットケーキに包丁を通す。
何等分がいいのだろうか。
普通ならば六等分だが、食べる人の事を考...KAITOの種17(亜種注意)
霜降り五葉
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僕等≪VOCALOID≫は、マスターを慕うように設定されている。だから、僕が來果さんを好きになる事そのものは、問題ないはずだ。
だけど《ヤンデレ》因子に引き摺られ、僕の思いは時折変質する。些細な事が異常に重大な意味を持ち、世界が割れるような不安や、腹の底が灼け焦げそうな嫉妬に囚われそうになる。
恐ろ...KAosの楽園 第3楽章-001
藍流
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ぼんやりとした思考がゆっくりと輪郭を整えていく。雨戸の隙間からこぼれるのは、早春の白い光。まだ寒々しい空気の中、そこだけが柔らかな春の気配を湛えていた。
今日は良い天気みたいだ。パソコンの内側の天気は外側の天気と連動している。つまり、現実世界も天気が良いという事だ。きらきらと柔らかな日差しはしか...Master 昨日の終わりと明日の始まり・1
sunny_m
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「そういえばカイト、歌うのは平気?」
アイスカップが空になる頃、そんな問いを投げかけられた。
「歌、ですか?」
「うん。『マスター』意識しちゃって、まだ抵抗あるかな」
重ねられた言葉で、あぁ、と思い出した。
そうだった、僕は『歌うアンドロイド』だっけ。どうもそういう意識が薄いなぁ……。
* * *...KAosの楽園 第2楽章-003
藍流
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雨が降っている。
豪雨とまではいかないが、それなりの量だ。
問題は雨よりも、風。
強い風が吹いていて雨を強くさせている。
意味の無い傘を閉じて、雨をもろに受ける。
あっという間にびしょ濡れになってしまった。
風が強くて元から濡れていたが、傘があるかないかで大分違うな。
水を吸って重くなった服がどんど...KAITOの種18(亜種注意)
霜降り五葉
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《深刻なエラー》を乗り越えて見る世界は、星屑を散らしたようにきらきらしていた。
冷たい月も凍れる闇も、今やあたたかく安らかな夜だ。柔らかな月光はマスターの微笑みで、包み込む闇はマスターの瞳と同じ色だった。
指を絡めて繋いだ右手。一度は穢れおぞましく思われたそれが、こうしていると誇らしい。
この手はち...KAosの楽園 第4楽章-003
藍流
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來果さんが物凄く喜んでくれて、突然の熱と動悸に翻弄されて。すっかり舞い上がってしまった僕は、自分の甘さにも不安定さにも、まったく気付いていなかった。ただひたすらに嬉しくて、甘く痺れる躰が不可解で、どきどきして。
けれど、すぐさま思い知る事になる。『マスターがいない』不安は拭われても、《ヤンデレ》とい...KAosの楽園 第2楽章-002
藍流
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最初に与えられたデータは、この身体を動かす術。
手を動かす。足を動かす。立つ、歩く、走る。
それから話し方。そして、歌い方。
話す事、歌う事。それはただ音を発するだけとは違う事。
新たなデータが与えられる。『知識』と呼ばれるもの。
それから、『感情』と呼ばれるもの。
『歌』を理解する為に、籠められた...KAosの楽園 第4楽章-005(完結)
藍流
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※『序奏』(序章)がありますので、未読の方は先にそちらをご覧ください
→ http://piapro.jp/content/v6ksfv2oeaf4e8ua
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『KAITO』のイメージは無数に在る。例えば優しいお兄さんだったり、真面目な歌い手だったり、はたまたお調子者のネタキャラだったり...KAosの楽園 第1楽章-001
藍流
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笹を貰った。
そういえば、今日は七夕だった。
雲のある紅色の空を背中に、道を歩く。
歩く度に乾いた音を立てる笹を見て思う。
願い事か…。
願い事を短冊に書いて笹に飾ると、願いが叶うんだ。
折り紙と画用紙。それから笹を用意して、モカとコウに説明する。
真剣に笹を眺める二人は理解してくれただろうか。
モ...KAITOの種22(亜種注意)
霜降り五葉
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1.
今日はマスターとふたり、いつものショッピングモールにやってきた。どの店もすっかりクリスマスナイズされて、目に賑やかだ。
「もうクリスマスシーズンなんですね。マスターのお勤め先は、また何かするんですか」
「今まさに館長が張り切りまくってる……のを、ほどほどに、って皆で抑えてるとこ」
たはー、...クリスマス開催のお知らせ【カイマスXmasSS】
藍流
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うーむ…どんなのならばいいんだろうか。
留守番する時間の長いモカとコウのために、暇つぶし用に何か用意してやろうと思い、買い物に来た。
しかし何を買えばいいのか。
確か色鉛筆が大きくて描きにくかったとモカが言っていた。
だから千羽鶴用の小さい折り紙を買おうと思ったのだが…、正直これでもでかい気がする。...KAITOの種11(亜種注意)
霜降り五葉
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モカの様子がおかしい。
熱がある。
息も荒い。
とりあえずわかるのは、尋常ではないということ。
泣きじゃくるコウの横で、モカが苦しそうに目を開ける。
「………………ま、す……た…?」
大丈夫か、どうした?
ソファの上にクッションを置き、モカをその上に移動させる。
コウが涙を拭いながらソファに飛び乗っ...KAITOの種16 前編(亜種注意)
霜降り五葉
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「か…可愛い……!」
何度目かの台詞。
ソファに座る彼女が言った。
視線の先の机にはモカとコウがいる。
黒ゴマイトがその横でため息をつく。
「マスターさっきからそれしか言ってないですよ」
「しょうがないじゃん。クロより断然可愛いんだから」
それを聞いて拗ねたように、顔を膨らませる黒ゴマKAITO。
...KAITOの種19(亜種注意)
霜降り五葉
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緑茶。ジュース。チョコ。ポテチ。鶏肉。素麺。袋麺の醤油と塩。シーチキンとコンビーフとコーンの缶詰。アイス。
買い物リストを見ながら買った物を思い出す。
…よし、ない!
ホッとしながらリストをしまって地面に置いていた袋を持ち上げる。
…………おっもいんですけど!!
マスターったらどうして重かったりかさ...KAITOの種 番外編4(亜種注意)
霜降り五葉
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“『KAITO』の全要素を盛り込んで”人格プログラムを組まれた僕、≪VOCALOID-KAITO/KA-P-01≫。
矛盾する設定に困惑し、いつか主を害する事に恐怖して、特定のマスターを持つ事を拒んできた。
だけどマスターは、僕の根幹に関わる不可欠な存在で。それを拒絶する事はあまりに過酷で、恐ろしか...KAosの楽園 第2楽章-001
藍流
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君にはまだ 教えること 出来ないのですが
ホントは 教えてしまうのが惜しいのですよ
だけど 君がボクの瞳を見るものだから
うっかり零してしまいそうになる ホントの気持ち
だから ね ボクだけの秘密兵器
ギミギミック フィルターマジック
レンズ一枚通しただけで
ボクのココロ 全部隠せるといい …ダメで...ギミギミックフィルター
シンギメル
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望木來果(モウギ・ライカ)は4つ年下の従妹で、実家同士が近かった為に子供の頃はよく遊んでいた。
お互い大学入学を機に実家を出て、最近は直接顔を合わせる事は減ったけど、仲は良いままで連絡も取り合っている。彼女が『KAITO』の話をしていたのも、そんな中で交わした雑談のひとつだった。
* * * * ...KAosの楽園 序奏-004
藍流