「一番槍切り込み隊長鏡音レンいっきまーすッ」


下剋上2【自己解釈】

「――で、どうすんのッ?!」

バァンとその辺の窓がガタガタいうほどの破壊音…いや、音を立ててリンが机を叩く
あ、リンの手も痛かったんだ。
さっきまで凄い形相だったのに、半泣きになりながら手をぱたぱたとしている。


「どうすんの…って、言い出したのリンじゃん…」

魔王…いや、リンの迫力が少し弱まった隙をついて僕はささやかな反論をする
すると魔o((ry…リンは光線がでてもおかしくないほどの睨みをかまして僕に掴みかかる

「だから何っ?!
アンタ男でしょう?!
一番槍の切り込み隊長でしょう?!」

『そっちこそ何だ!
リンの方がよっぽど男らしいじゃないか!
大体僕は槍じゃない、ボーカロイドだ!』

――なんて言えるはずもなく…

ギリギリと締め上げて僕を睨む魔王の形相に息も絶え絶え怯えることしかできない

…あぁ、なんか見覚えのあるお花畑が…


意識を失いかけカクンと首(こうべ)を垂れた僕の「もうすぐ命消えます」というサインを運よく
「僕は一番槍の切り込み隊長です」と肯定する頷きだと(誤)解釈したリンの手はパッと離され、僕はぺしゃりと床に潰れていく


あぁ、さっきお亡くなりになった僕のバナナさんの心境はこんな感じかぁ…


ははは…なんて意味もなく笑みが漏れだす
できればこのまま床に頬ずりしてこの世に戻ってきたのだという感動を味わいたい
思い切り咽こんで息を吹き返したことを実感したい

…って言うか。


「いつまで這いつくばってる気?」

「あ…えーっとぉ……」


爽やかすぎるほどのリンの笑顔と、頬筋がつっぱりそうなくらい引き攣っている僕の笑顔が上と下で交差する



「さっさと行け、このヘタレが。」



腹ばいになっている僕の顔の真横に物凄い勢いで拳が振り下ろされる
冷や汗が体中を伝った



「い…一番槍切り込み隊長鏡音レン!
いっきまぁぁああああすっっ!!」


ゆっくり拳が上がり、それが今度は僕の顔に振り下ろされる前に弾けるように立ち上がり転がるように走り出す


わお、僕ってこんな素早く走れんだ!
なんか脚のどこかがキシキシ言ってる気がするけど気のせいだよね?
心なしか脚の神経ががブチっていいそうな気がするけど気のせいだよね?


あはははは、なんて可笑しくもないのに笑いながらひたすら脚を動かすことだけに全神経を集中させる
というか他に何もできない

今の僕を占める思考は
・悪逆非道の女王…王女様
・命令に従わないと殺される
・全力で逃げる
の3つだけなのだから。
上二つを考えたら腰抜かして僕の命を守る上で一番肝心な3つ目を遂行できなくなってしまうのだから。





床とお友達でよかった
大きく呼吸したい
でもそんなの実はどうでもよくて。

いっそあの世のほうが楽だったかもしれない


僕が今一番望むのは…



現実逃避だ。




命からがら、涙と笑い声を垂れ流しにして僕はただただ全力で走った



ライセンス

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下剋上2【自己解釈】

なんかもうキャラが大崩壊…
名曲が跡形も…
すいませんすいません(土下座)

閲覧数:393

投稿日:2011/04/26 23:09:32

文字数:1,274文字

カテゴリ:小説

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