「…街外れの小さな港に、昔からある密かな言い伝え。
“願いを書いた羊皮紙を小瓶に入れて海に流せば、いつの日か想いは実るでしょう。”」
「…へぇぇ。
じゃあ、お嬢ちゃんはわざわざその為に、この国に来たってのかい?」
「そう。…どうしても、来たかった場所だから。」
「ふぅん、お嬢ちゃんは随分と乙女なんだなぁ…。
海に願いを託す…か。
ちょっと人魚姫みたいだな。
ま、その願い、ちゃんと叶うといいな。」
「えぇ、ありがとう。
…それじゃ。」
「あぁ、気をつけてな~かわいい旅人さん!」
パタンっ
軽い音をたて、街の中心の広場近くにある喫茶店の扉が閉まる。
そこから出てきたのは、簡素な外套を纏った少女。
フードからは、胸あたりまで伸びた綺麗な金髪が覗いている。
少女は、賑やかな声が溢れる広場を見回した。
広場の中心には綺麗な噴水があり、大勢の人が憩いを求めて集まっている。
今や多くの家族や恋人が楽しげに笑うこの場所。
誰が数年前、ここで行われたことを思い出せるだろうか。
…数年前、ここは処刑広場だった。
暴君王女のせいで、多くの命が散っていった場所。
その中に、少女の大切な人はいた。
唯一自分を最後まで護ってくれた、かけがえのない大切な人だった。
「……レン……。」
少女は小さな声で呟いて、目を閉じた。
目を閉じれば、鮮明に思い出されるあの時の光景。
数々の暴挙を重ねた自分の身代わりになり、断頭台に立つ姿。
ふと目が合い、レンは優しく微笑んだ。
そして、私そっくりの笑みを浮かべ、私の口癖を言って、死んだ。
涙が一筋、少女の頬を伝って落ちる。
少女はそれを拭うと、賑わう広場を後にした。
「ここは…無くなっちゃったんだ…。」
次に少女が訪れたのは、かつて自分が住んでいた所だった。
見知った荘厳な王宮は跡形もなく消え、そこにはただ石碑だけが立っている。
“王宮跡―かつて悪逆非道の齢十四の王女が、ここで民衆の困窮には目もくれず、豪勢な生活を送っていた。
ある日、国民達は王女の数々の悪行についに立ち上がり、革命軍によって王女は捕らえられ斬首刑になった。
そして、革命軍は二度と同じ事が起きぬように王宮を壊し、石碑を建てた。”
「…こんにちは、旅人さん?
ここ…どう思う?」
「………?!」
感傷に浸る少女は、突如後ろからかけられた声に驚いて振り向いた。
『二人の後悔』
やっぱり、リグレットメッセージも書いちゃいました。
リンは数年経って、久しぶりに国に戻ってきた設定です。
ちなみに、前のはショートバージョンです。
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