投稿作品12作品
もっと見る-
「リン…!!
僕の、言うことを聞いて…?
リン、君は生きて罪を償わなきゃいけない。
…外の世界を、ちゃんと知らなきゃいけない…。
だから、逃げてよ…リン!!」
「………やだ、やだぁ…レン…!」
「……………。
リン、僕の最初で最後の我が侭を聞いてよ。」
「……ズルいわ、レン…。」
優しくおでこにキス...『鎮魂歌はいらないよ、姫(レクイエム)』6
-
ゴーン ゴーン ゴーン
教会の鐘が三度鳴る。
“嗚呼…、もう時間か…”
そう薄く呟いて、“僕”は断頭台の前に立った。
ふと目を向けた民衆の中に、僕は“彼女”を見つけた。
民衆が喜びに沸く、その真ん中で…彼女は泣いている様だった。
“馬鹿だなぁ…。
リン、バレてしまうよ…泣かないで。”
…僕達の運命は...『鎮魂歌はいらないよ、姫』(レクイエム)
-
その少年は茶色の帽子を被り、薄汚い衣を纏っていた。
半ズボンからは白く細い足が伸び、その足は立っているのもやっとと言うくらい震えている。
僕は少年をじっと見つめた。
もう、彼しか目に入らなかった。
帽子から覗く少年の顔は、蒼白もいいところだった。
今にも泣き出しそうな、不安と恐怖に彩られた顔。
僕に...悪ノ目撃者third
-
「…ここを見て、旅人さんはどう思う?」
少女に後ろからいきなり声をかけたのは、端正な顔立ちの紅い髪をした少年だった。
少年は問いを繰り返し、石碑をどこか沈痛な面持ちで見つめた。
「……え、えぇ…哀しい、と感じるわ…。」
「哀しい、か…。
僕も、そう思うよ。
……旅人さん、広場は見た?
あそこ、今は憩...『二人の後悔』2
-
「…街外れの小さな港に、昔からある密かな言い伝え。
“願いを書いた羊皮紙を小瓶に入れて海に流せば、いつの日か想いは実るでしょう。”」
「…へぇぇ。
じゃあ、お嬢ちゃんはわざわざその為に、この国に来たってのかい?」
「そう。…どうしても、来たかった場所だから。」
「ふぅん、お嬢ちゃんは随分と乙女なんだ...『二人の後悔』
-
「……………。」
少女はすっかり泣きはらした顔で海を見つめ、そして、懐からガラスの小瓶を取り出した。
中には、少女の願いが込められた羊皮紙が入っている。
少女はそれを祈るようにぎゅっと握りしめると、水平線の彼方に向かって投げた。
「…もしも、生まれ変われるならば 」
少女の願いは、ガラスの小瓶...『二人の後悔』3
-
それでは既に育ってしまった悪ノ華は、一体どうすればいいと言うのだろう?
外に放り出されれば、たちまち枯れてしまう。
……それなら、僕が“悪ノ華”を最後まで護る。
決して枯れぬように、いいように刈り取られてしまわぬように。
その為ならば、僕は悪にだってなってやる。
僕は、すぐに緑ノ国を滅ぼす準備をしに...『鎮魂歌はいらないよ、姫(レクイエム)』5
-
今回も、そうだった。
リンは、昨日の舞踏会から様子がおかしかった。
あんなに楽しみにしていた舞踏会から帰ってきた時、リンは泣いていた様だった。
その夜、珍しく僕を入れてくれなかった部屋からは、いつまでもすすり泣く声が聞こえていた。
「リン…今日は、元気になってくれたかな。」
僕は出来立ての朝食を持っ...『鎮魂歌はいらないよ、姫(レクイエム)』4
-
「ふぅ…なんか緊張しちゃうよ…。
…母さんが、あんなこと言うしさ。」
王宮の広い廊下をつかつか歩きながら、僕は思わずぼやいた。
“あんなこと”とは、王女付きの召使になることに決まった日の夜。
母が突然告げた、あまりにも衝撃的な事だった。
『レン…貴方には、双子の姉が居るの。
それが、リン王女なの…。...『鎮魂歌はいらないよ、姫(レクイエム)』3
-
『おぎゃあ、おぎゃあ』
ゴーン ゴーン ゴーン
二つの小さな命が産まれたのは、午後3時のことだった。
新たな命の誕生を祝福するは、教会の鐘。
国民も、産婆も、大臣も…そして、母である王妃も皆、喜んでいるはずだった。
しかし、母は我が子達をその胸に抱く前に息を引き取り、残された大臣や産婆は顔を真っ青に...『鎮魂歌はいらないよ、姫(レクイエム)』2
-
王宮の中は、不気味なほどに静かだった。
外の騒がしさとは別世界のようだ。
僕は驚きを隠せなかった。
王女は、あんなにも多くの家臣を召し抱えていたというのに、たった一人、誰にも護られることなく居た。
正々堂々と、妙に清々しい態度。
悪の王女は、それに相応しい冷たい笑みを浮かべて、僕達を玉座から見下ろし...悪ノ目撃者second
-
それは、突然のことだった。
ある日、僕と姉を残して両親が死んだ。斬首刑だった。
父と母は、疲弊しきったこの国をどうにかしようとした。
『焼け石に水かもしれない。だが、それでも水をかけ続けなければ、何時まで経っても同じだ。』
それが父と母の口癖だった。
横暴な御上に刃向かうことだとしても、止めようとし...悪ノ目撃者