ATTENTION
これは悪ノPオリジナル楽曲「ヴェノマニア公の狂気」の捏造小説です。
歌詞に沿って物語をつけさせていただいた前作「ヴェノマニア公の狂気」とは違い、100%私璃蝶のオリジナルです。
・ヴェノマニア公(神威がくぽ)の少年期がメイン
・主役はアスモデイア卿こと鏡音レン
・全て捏造過去
・似非中世貴族
という前作以上に読む人を限定してしまう作品となっています。
それでもOKだぜ!という懐の広い方だけおすすみ下さいませ……
退屈だ…
アスモデイア卿は革張りのソファーの上で大きく伸びをした。
柔らかな金髪が肩からハラリと落ちる。
最近は私の「力」を信じる者も欲する者も減ってしまった…。
「人の振り」をし続けるのも楽じゃないというのに、報酬が入ってこない事には私といえどもじきに限界が来る。
「何より…」
アスモデイア卿は呟く。
「私の一番の楽しみが減ってしまった。つまらん。」
レンファンド=K=アスモデイア男爵。人はこの青年をそう呼んだ。
しかし、彼は一男爵家を任されるには些か若すぎるように見えた。
鮮やかな金髪と透き通るような碧の瞳は貴族的な優美さを十分に備えてはいるが、頬のラインや手足の細さはまだ幼さを感じさせる。青年というより少年と形容した方が正しいような容貌だった。
……表向きは。
それこそが「彼」の狙いであり、事実彼はこの姿で何十年も人々を欺いてきていた。
様々な国を転々とし、その時々に合わせて纏う服や肩書きを変えた。
たった一つの目的の為に。
レンファンドの本性、それは人を色欲に惑わす悪魔アスモデウス。
大抵は人の恋路を邪魔したり恋人の仲を引き裂いたりといった事をしているが、悪魔に身をやつす前の世では智天使をしていた事もあって、巧みに人を誘い色欲に溺れさせる事もあり、目下それが彼の一番のお楽しみだった。
だが、人類の技術革新と共に彼ら悪魔はその存在を忘れられ始め、契約を求め彼を呼び出す人間もめっきり減ってしまった。
だからこそ、彼は人の姿を模し人が集まる場所へ頻繁に足を運んだ。
彼がつけ入れられるような獲物を探すために……
レンファンドはソファーから腕を伸ばし、サイドテーブルに置かれたままになっている昨日届いた手紙を手に取った。
上質の紙で作られた封筒に家紋の印が捺してある。
この辺りで一、二を争う名家ヴェノマニア公爵家の物だ。
「ふむ…」
レンファンドは爪の先で封筒の端を軽くなぞった。
するとその部分がレターカッター無しで破ける。
中から現れたのは明晩のダンスパーティの招待状だった。
「確か、ヴェノマニアのせがれは中々人前に出たがらない事で有名だったな…。これは面白そうだ。」
招待状で隠されたレンファンドの紅い唇が、ニィッと弧を描いた。
◇
翌日、レンファンドは久々の正装に身を包んでいた。ビロード地の深紅の洋服は彼の見事な金髪碧眼と相まって互いの美しさを引き立て合っている。
胸のブローチの向きを直して派手な帽子を斜めに被ると、鏡を一瞥してから屋敷を後にした。
「これはこれは、アスモデイア卿。ようこそお越しくださいました。」
レンファンドを出迎えたのは恰幅の良い紳士。
この家の当主ヴェノマニア公だった。
「お招き頂き光栄ですよ、公爵。」
帽子を脱いで挨拶しながら、レンファンドはチラリと屋敷の中に視線を走らせる。
廊下を突っ切った所にあるダンスホールの開け放たれた入り口からは、彼の好む享楽の香りが漂っていた。
公爵婦人に案内されてレンファンドはダンスホールへ足を踏み入れた。
次々寄ってくる人々に貴族としての義務をこなしながら、視線をホール全体に走らせる。
目当ての男はどこにいる?
今日の為に呼び寄せられたオーケストラの奏でるワルツのメロディーがホール全体を潤すと、人々は互いに手を取り旋律に合わせてゆったりと踊り出した。
ダンスパーティーにおいてダンスの誘いをかけない、受けないのはどれほど恥ずべき事かは理解していた。
だがそれは人の世の一部でだけでの常識であり、そんな事では悪魔である自分に泥は塗れない。
レンファンドはこの好機にホール内を壁伝いに歩き出した。
半周ほどした所、つまり入り口から一番遠い場所でレンファンドは遂に彼を見つけた。
紫に輝く見事な髪をまるで自らを隠すように長く伸ばし、俯き壁の花を決め込む少年。
恐らく今の姿の自分と同年か、少し幼い位だろう。
レンファンドは少年がもたれ掛かる壁のすぐ横に手をついた。
少年がびくっと身を強張らせ遠慮がちに彼の方を見る。
「カムイ様、ですよね?ヴェノマニア公のご子息であらせられる。髪の色が奥様そっくりだ。」
レンファンドは優しく微笑みながら呼び掛ける。
「え、ええ…」
対して小さく返事をしたカムイはすぐ俯いてしまう。
「初めまして。私はレンファンド=K=アスモデイア。一応男爵家の当主を任されております。」
「はぁ…」
早くどこかへ行ってくれと言わんばかりのカムイの態度にレンファンドは畳み掛ける。
「良いんですか?ホストの子息がワルツに参加しないなんて。」
「僕の事はお気になさらず…」
「でも、ほら。あそこのレディなんてなかなか可憐だし貴方と歳も近そうだ。次に誘ってみては如何です。」
そう言って彼の顔を軽く持ち上げようとした。
すると、
「僕に触るな!」
先程まで囁くような声しか出さなかったカムイが突然叫び、腕で自らの顔を覆ってしまった。
近くで踊っていた何組かの人々が何事かと彼らの方を振り返る。
「…申し訳ありません、カムイ様。」
レンファンドは荒い息のカムイに頭を下げる。
「い、いえ……僕も、取り乱してしまって…」
「自分が人より醜いから?」
自らを抱き締めるように組んだ腕に力を込めるカムイに、レンファンドは囁くように尋ねる。
するとカムイが弾かれたように顔を上げた。
勢いで長い前髪が跳ね、お世辞にも形が良いとは言えぬ顔が垣間見える。
なるほどね…
慌て髪を撫で付ける少年を見ながらレンファンドの口が美しく弧を描く。
「醜いことは辛いですよね?自分は何も悪くないのに、何故か周囲は嘲り非難する…」
畳み掛けるようなレンファンドの言葉にカムイは顔を歪ませる。
「貴方に…何がわかると言うんですか。」
「分かりますよ。」
「分かる訳ない!」
カムイは振り絞るように声を荒げる。
「その美しい金髪も碧眼も……貴方に僕の辛さは分かりやしない!」
すっとレンファンドの顔が近づきカムイの顔の前へ人差し指をのばす。
「分かりますよ…。醜いものの気持ちは嫌と言うほど分かる。何故かって?僕もそうだったからだ。」
「そんなこと…」
口を挟もうとするカムイをシィッと黙らせてレンファンドは続ける。
「先程君は私の容姿を褒めてくれたね。だがこの体は本来の姿ではない。」
そして紫の髪に隠れた瞳を射抜くような視線で囁く。
「私には望みを叶える力がある。」
カムイの反応は大方レンファンドの予想通りだった。
小さく息をのみ目を見開いたのが前髪越しにも見てとれた。
暫しの沈黙の後、絞り出すように出た言葉は、恐らく最後の足掻き。
「そんなこと……何か証明出来るものは有るんですか。」
カムイの言葉に、レンファンドは無造作に背後を指差した。
彼の人差し指が示した先には銀髪の淑女。
「僕が指を鳴らすと彼女は意識を失う。ああ、心配しなくて良いよ。軽い脳震盪だから。」
人差し指で円を描きながら、レンファンドが歌うように言った。
次の瞬間だった。カムイが声をあげる暇も無かった。
レンファンドの細い指が軽い音をたてると同時に、会場の中央辺りで踊っていた女性が崩れ落ちた。
水面に垂らしたインクの様に、じわじわと会場全体が混乱に包まれていく。
オーケストラの演奏の代わりに人々のざわめきが会場の空気を染め上げた頃、
「信じるも信じないも君次第。覚悟が出来たらいつでもおいで。」
呆然と立ち尽くすカムイにウインクひとつ残して、レンファンドは混乱する人々の間を縫い、カムイの視界から消えていった。
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