シナスタジアの透明な夏
「夏を迎えに行こうよ」 ピアノみたいな君の声
「どこに行くんだよ」 「どこでもいいよ」 問題はそこに無い
アスファルトと 排気ガスと 行き交うエンジンがなる音
最果てを語る 飛行機雲に 柄にもなく祈った
音が消えた コンマ数秒 君がいる思い出の欲しさ
昨日の約束があったような 昨日もそんな気がしたんだ
シナスタジアの夏が暴露した非情な透明よ
曖昧な期待は 未来形の憧憬だ
愛も知らない僕に どうか 今日は夏を教えてよ
名前が付けられないから 諦めるようにそう呼んだ
写真を撮るのは嫌いだ 撮ってる今を見逃しちゃうから
夏の影を追いかけて 追いかけているうちに 追い越してしまうのかな
冷えたサイダーの缶 不意打ち 後ろから首筋に喰らって
僕の輪郭をなぞる冷たさが 君の輪郭もなぞる
シナスタジアの夏に邂逅したあるひとつの温度
何度目の夏を数えても 思い出せない忘れ物
数えられる思い出は 追い越した明日へ置いて行け
繰り返すことで取り返せるものを 僕は望んじゃいない
忘れてもいいから 捨てないで なんて 晴天下
言葉は役立たずな時もあるけど
今 告白しなくちゃ いけないことがある
シナスタジアの夏が暴露した非情な透明よ
傷を負うくらいがちょうど良い そんなに綺麗にはなれない
見失ったパラフレーズ 追い詰められていく感情
名前が付けられないから 諦めるようにそう呼んだ
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