「すごい! すごいよミク!」
「それがミクの歌なんだね!」
聞いていた二人が目をきらきらさせて拍手してくれた。
二人の賞賛と往来で歌ってしまったのに気付いた恥ずかしさで
ミクは真っ赤になってしまう。
だけど、そんな恥ずかしさなど消えてしまうように
胸が光がともったみたいにあたたかい。
「今のがわたしの歌…」
いつものように苦しくも、ルカの前のときのように悲しくもない、
ただ、歌うことの楽しさに満ち溢れた歌。
風が祝福するように髪をさらい、木は葉を揺らす。
「じゃあ女王様に聞かせに行こう」
「ミクの歌を聞かせに行こう」
「え? でも、まだ歌は呼ばれてないのに」
「素敵な歌なら女王様はいつでも聞いてくれるよ」
「ミクの歌ならいつでも女王様は喜んでくれるよ」
二人に引っ張られて、駆け出す。
今見つけた自分の歌をルカに聞かせたい。
女王は姉ではないけれど、もうその前で歌うことは怖くない。
引っ張られるだけだった体は徐々に二人にならぶように駆けていた。
★
「歌を探してきました」
そういってミクはしっかりとした足取りで女王の前に進んでいく。
女王は楽しそうにミクを見下ろしている。
その瞳の冷たさがほんの少し前は怖かったけれど、
今は気にならない。
「さあ、歌え」
女王の言葉に笑みを浮かべて顔を上げる。
ただ思いのままに言葉をつむぎ。
ただ溢れ出る旋律を奏でる。
自然と笑顔がこぼれ、あたたかな気持ちに包まれる。
きらきらと輝いているような歌が響き渡った。
ミクが歌い終えると周りから拍手が鳴り響いた。
みんな笑顔をうかべ、ミクの歌をたたえている。
「……いい歌だ」
満足げにルカがうなずく。
「ありがとうございます」
姉ではないけれど、ルカに認められ、ミクは幸せそうに礼を言った。
「では一つ願いをかなえてやろう。何を望む」
「戻ることを。…この世界から目覚めてもとの世界に戻ることを」
そして、姉であるルカにも聞かせるのだ。
ミク自身が見つけた、ミクの歌を。
「いいだろう。さあ、目覚めの時間だ」
女王がそう宣言した瞬間、ミクの視界は暗転した。
「「またねー、ミク、すてきな歌をありがとう」」
ゆっくりと落ちていく感覚。
リンとレンの声が遠く聞こえた。
★
「う……」
落ちる感覚が消え、ミクはゆっくりと目を開ける。
目の前には柔らかな芝生。
そして、すぐそばにルカがいるのがわかった。
「よく寝ていたわね」
起き上がり、微笑んでいるルカをじっと見つめる。
「夢を見ていたの……」
「どんな夢?」
「探し物を見つける夢」
ミクは立ち上がり、服についた芝を軽く払い落とす。
「見つけてきたの。だから、姉さん、聞いてくれる?
わたしの歌を」
ミクの言葉にルカはかすかに目を見張り、
そしてすぐに破顔してうなずいた。
(さあ、うたおう、捜し求めて手に入れた。
姉さんとは違うけれど、これが、わたしの
わたし自身のうた)
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