一体今俺の前で何が起こっているんだ
こんなこと、あっていい筈がない
【とことん】頑張れレンくん!【ヘタレン】
「ちょっと・・くっつきすぎなんじゃない?」
「ソファが狭いんだから、しょーがないデショ?」
ソファの背もたれから飛び出ているのは
時折ぴこぴこ揺れる大きな白いリボン
そしてそのすぐ隣に短髪緑頭
「嘘っそっちかなり余裕あるじゃない!」
不機嫌そうなリンの大声と共にリボンが揺れる
確かに。狭いのはヤツがわざとリンの座ってる側に詰めてるせいだってのは、後ろから見てもはっきりしている
「ナイナイ
ほら、俺はどっかのショタさんと違って体格いいから、面積とるのー」
どっかの、とか言いつつ明らかにヤツの雰囲気が背後の俺を小馬鹿にしている
「ちょっと!」
リンも誰のことか瞬時に察したらしく、すかさず声をあげる
その反応の速さに胸が痛んだけれど、俺のために怒るリンを嬉しく思っ・・・・
「レンは確かにショタだしヘタレてるしオクテでたまにイライラさせられるけどっ
そーゆーのが一部の業界ではウケてるんだからバカにしないでっ」
・・・・・・・。
しばらくの沈黙
得意気にフン、と鼻をならすリン
大笑いするクオ
――瀕死状態の俺
ちょっとマテ、待つんだリンさん。
大体ヘタレとかオクテとか言われてないよね?!
今勝手に付け足したよね?!
しかも何そのフォローにならないフォロー!
むしろ凄まじい威力で心臓抉られたんですけど!
つか何?!この状況!!
何故にクオとリンが絡んでんの?!
レンリン推奨★とか言っといてあンのクソマスタァアアッ
そしてその間に割って入れない俺はヘタレか?!ヘタレなのか?!
どっと疲れが俺を襲う
原因はツッコミ所満載の今現在
「あ、そいえば新曲、結構よかったじゃん」
「・・・そーゆーのいいから、早く離れてっ」
「ちぇー、つれないなぁ」
・・・喜んでるし
後ろ姿ってかリボンしか見えないけれど、なんとなくわかる
楽しそうにしやがって。リンのアホ
モヤモヤ。イライラ。
なんも出来ないくせにヤキモチは妬くとか、ヘタレな上にカッコ悪い
あぁ、いっそバグでも起こして消えてしまおうか・・・
「今回の歌、恋の歌だったのになかなか感情こもってたじゃん」
クオがからかうように言った
そう、リンにとって恋の歌は苦手分野
大人ぶってるけど色恋にはとことん疎いから
当然歌もミクとかに比べると薄くなりがち
「うん、今回はレンを思い浮かべたからね」
え・・・?
後ろ姿(リボン)が照れくさそうに揺れた
「ふーん・・もっとカッコイイイメージだと思ったけど」
腑に落ちない感じのクオの声
それは案に俺がカッコよくないということか
しかしリンは微笑む
(正確に言うと後ろ姿から推測した。さらに言えば後ろ姿ではなくリb)
「うん、そのとーりだよ?
どんなにレンがショタでヘタレでオクテでも
リンにとっては一番かっこいい男の子だもん!」
なんか余計な言葉もあった気がするけど・・・
今日一番の殺傷能力のある言葉と違うか?
ガタンッ
思わずよろけて側にあった壁にぶつかった
チッ、とクオが舌打ちして、リン(リボン)はビクッとしたように跳ねて勢いよく振り向いた
「レレレレンッ帰ってたの!?
・・・ってかいつからそこに・・・っ」
驚きで目をまん丸くしているリン
いつもなら
「ぅもーっ遅いよーッッ」
とか言って飛びついて(抱きつく、よりタックルに近い)くるのに
バツが悪そうなリンの顔
少し頬が紅くなってた
や・・やば・・・
頬が蒸気するのがわかる
同時に今すぐ抱き締めたい衝動にかられた
「えと、ちょっと前から・・・・
・・・ただいま」
・・・なんて、出来ないんだけどさ
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