「ただいま。…あれ、三人でどうしたの?」
そうして三人で話をしていると、ワンオフのミクが帰って来た。
「…ミクにちょっと相談したいことがあってね」
雅彦がこたえる。
「私にですか?」
「ああ。ミクに会いたいって人がいるんだって」
「何か特別な理由があるんですか?」
ワンオフのミクも、プライベートで話をしたいという提案は基本的に断っていることは知っている。今回のように雅彦経由で提案が来る場合もあるが、やはり雅彦も状況が分かっているので、実質的に断って良いかの確認であり、ワンオフのミクの側もルールに則って断っている。このように問いかけをされる時点で極めて異例な話だということは理解できた。
「提案したのが神波君のミクさんなんだ。二人とも悩んでいて、それで悩みを解決するために彼女が提案したらしい。僕が二人の悩みの一因だけど、僕の独断で断るのも二人に悪いと思ってね。ミクに聞くことにしたんだ」
「ミクが出した結論なら、どんな結論にせよ彼女は納得してくれると思うの」
補足するワンオフのMEIKO。
「…ミク、どうする?」
しばらく考えるワンオフのミク。
「…私、神波さんのミクさんに会いたいです」
「…ミク、理由を聞いて良いかい?」
ワンオフのKAITOが尋ねる。
「…たまには、普通の私と話してみたいです」
「…まあ、確かにそういう機会は少ないわね」
ワンオフのMEIKOがうなづく。ワンオフのボーカロイドと、量産型のボーカロイドの仕事以外での接点は非常に少ない。今回のように、悩みの相談に乗ること自体が異例といえる。
「…神波さんのミクさんの相談に乗った時に、私からも色々と聞いてみたいことがあるんです。普段だったら聞けないことも聞きたいです」
「…まあ、雅彦君が一枚かんでるから、雅彦君の勧めということにしておけば大義名分はとおらないわけじゃないわね。理由としてはかなり苦しいけど」
「…僕は、たまにはそういう話を持つ機会はあっても良いと思うんだ」
「そうね。見た目は同じだったり近いけど、結構考えてることというか、視点が違うから、参考になる部分はあるのよね。…ただ、気をつけないと、おしゃべりに花が咲いてしまうのよね」
「たまにはそういう話をして、息抜きができると良いんだけどね」
ワンオフのKAITOが相づちを打つ。
「だけど、こういう話が知れ渡ると、話としてはややこしくなるのよね」
「そうですね。今回の件も、話が漏れてしまうと、神波君の時はOKなのに、なぜ自分はだめなのか?といわれる可能性がありますからね。全員の提案に乗ると、それだけで時間が潰れてしまいますから、色々と支障が出ます」
「線引きが難しいわよね…」
「…この件に関しては、二人の口が堅いかどうか確認して、僕が伝えておきます。…高野君の話からすると、二人は意図的に漏らさないとは思いますが」
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置ク猫
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