「ただいま~」
「あっ!リン、おかえり。」
リアルからリンが戻ってきた。ソファに座って本を読んでいたレンが迎える。
なぜかミク姉たちがいない・・・。
「ミク姉たちは?」
「ちょっと用事があるっていってリアルのスーパーマーケットに行くって。」
「あっそ。」
ミク姉たちも用事か・・・
実は、リンもちょっとした用事があってリアルに出ていた。
それは・・・
「ねぇレン、今日マスターがいないの知ってるよね?」
「あぁ知ってるよ」
マスターは仕事の関係で遠いところまで行かなければならなくなったらしい。出張とか言ってたっけ?
「それで留守番頼まれて今夜はリアルにいないといけないんだけど・・・」
「うん」
誰か来たら困るからってことでレンたちVOCALOIDの中から一人リアルにいてもらうかもしれないってマスターが前に言ってたから、今回はそれでリンが選ばれたってワケか・・・
「その・・・レンがよかったらでいいんだけど・・・」
「うん」
「一緒に来てくれない?」
「えっ・・・あぁ、うん。いいよ。」
これはまた急だな。まぁ一人がさびしいってことだと思うから付いててやろう。
それにリン一人だと何するかわからないし・・・
何事にも変えられない大切な人のお願いだ。快く受けてやろう。
「ありがとう!それでこそレンだね♪」
「うわっ!」
ソファに座っていたレンの首にぶら下がるようにしてリンが抱きついてきた。ちょっと苦しい・・・
それに「それでこそ」よりあとは余計だっつーの。
「ただいま~」
「おかえりなさいっ!」
「おかえり。」
ミク姉たちも帰ってきた。
「あれ?なんかリンちゃん嬉しそうだね。なんかあったの?」
そういいながらリンの頭をなでるミク姉。自分がなでられたわけでもないのになんだか嬉しくなる。
「えへへ~♪今日はレンと一緒にリアルのほうで寝るの♪」
「あぁ~マスターの出張の件ね。そんなんだったらみんな一緒にリアルに行かせればいいのに」
「リンもそう思ってマスターに言ったら、「一杯いても仕方ないしパソコンのなかのこの部屋の更新を誰かがしないといけないから1~2人がベストだ。」って言ってたよ?」
「あぁなるほど。」
ミク姉がぽん、と手をたたく。そうか、部屋の更新があったか・・・
部屋の更新、まぁ人間でいう部屋の掃除みたいなもの。
正確に言えば、この部屋、リビング型の共通ファイルの中にこの一日でたまった不純物を取り除く作業のこと。いつもだったらこのファイルの中にはリン、レン、ミク姉、メイ姉、カイ兄の5人が存在していて完全な状態のときは自動で更新されるんだけど、リンとレンが抜けるから、更新はそのファイルの中で夜をすごすVOCALOIDが行わなければならない。
その日のうちに更新しなくても別に困らないんだけど、ずっと更新しないと掃除してない部屋にホコリがたまっていくように、このファイルの中にも不純物が蓄積して劣化していく。それを防ぐための更新作業がミク姉たちに科せられたってワケだ。
「じゃあリアルのほうは二人に任せるね。」
「うん!」
リンが笑顔で笑う。今夜はリンとふたりきり・・・か。
「でもさびしくなったらいつでも帰ってきていいのよ?」
イジワルそうにメイ姉が言う。
「大丈夫だよ!リンにはレンがついてるもん!」
「・・・そう」
そういいながらメイ姉がニヤニヤしながらこっちをみてくる。何が言いたいかは大体わかる。
「本当にボクたちが行かなくて大丈夫?ご飯とかはいい?」
カイ兄も心配のようだ。ご飯はオレが作るからいいんだけど・・・
「ううん!大丈夫!」
「そう、・・・わかったよ」
そういって微笑むカイ兄。リンも意見を変えることは無さそうだ。
レンは少しホっとした。
「じゃあリンは先に行ってるね。レンは好きなときに来て!」
「あぁ、オレもすぐ行く。」
一足先にリンがリアルに行った。まぁあっちに一人でいさせるわけにはいかないから早く行ってやろう。
そう思ったレンは、読んでいた本を閉じてリアルへ向かおうとした
そのときミク姉に手をつかまれた。
「何?」
「レン君ガンバレ!二人の時間、絶対に邪魔しないから!」
「え!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。清酒っていいわね。」
「メイ姉、それを言うなら青春じゃない?」
「まぁ緊張しないでってことだよレン君」
「あ、うん。ありがとうみんな。じゃ、行ってきます!」
「「「いってらっしゃ~い!!」」」
3人の上の兄弟からのエールを受け取りリアルへ向かうレン。いらない気遣いありがとう・・・。おかげでフクザツな気分になるレン。

こうして、二人きりの夜が幕を明けた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Together

2作目のアイディアがふと浮かんだので書いてみました~
あぁ、またオリジナル設定が増えた・・・
設定の説明でこんなに長くなってしまったorz
・・・でも、まぁいっか!
ていうかテスト期間中なのになにしてんだオレ!!!???
続きできるだけ早く書けるようにします。

閲覧数:118

投稿日:2011/07/04 19:37:44

文字数:1,917文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    テスト期間ww忙しいであろうはずの中執筆お疲れさまですww
    面白い設定ですね リアルと仮想空間両方をvocaloidが移動(?)出来るという発想とか、仮想空間の掃除(=更新)の所の発想とか、面白いです
    続き期待してますよー 乙!

    2011/07/05 12:26:44

    • ピロ

      ピロ

      日枝学さん毎度見てくれてありがとうございます!
      そうですね、今回はちょっとオリジナル設定が多めになるかな・・・
      こんどは出来るだけ短めにしますね。

      2011/07/05 14:11:10

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