今日も流れる0と1相手に 忙しい収蔵(ストレージ)作業
電子世界の議事録司書 それが僕の役目
望まれて命作られ 拝領せし名前は「預言者(イリヤ)」

網目(ネット)の分かれ道あちこち歩き ウグイスの手紙(メール)を受け取る
仮想の巨大図書館司書 那由多の知識から
未来さえ予測し答える 自律電子情報管理(NOAH)プログラム「IriЯa」

データの海には惑星(ほし)のすべての記憶が詰まっている
だけどただ一つ分からない事実 ここを守る僕は誰?だれ?ダレ?

黄昏色の光放つ柘榴石(ガーネット)の灯火は答えない
諦めのエラー音(ためいき)吐いて変わらない空を仰ぐ
ふと、過ぎったサブリミナルに 無いはずの“心”奪われた
夏の白日が降る視界、背を向けて走る彼は?


今日もスケジュールそつなくこなし 繰り返し収蔵作業
電子世界の擬似生命 それが僕の正体
天空へ逃がさぬよう 牢獄に囚われた「預言者(イリヤ)」

来たるべき“終焉(おわり)”に備えただ方舟(メモリ)に蓄える管理者
居場所たる黄昏図書館は 水底に沈んでいる
ただ“神”の命じるまま 意思なく泳ぐ石魚「IriЯa」

目の前に現れた君は僕と「トモダチ」だったと言った
検索しても出てこない事実 疑似眼(カメラ)に映るのは誰?だれ?ダレ?

白い目のウグイスが啼きかかり 鉄の箍(たが)が君を殺していく
溢れ出る血は黄昏の空に似ている茜色
ただ、海に混じる潮の雫 感じるはずのない痛みが来る
サブリミナルが囁いた、“そうともこれこそが現実だ”

優しく君の叫ぶ合言葉(パスワード) 記憶の柩(はこ)の鍵が開いた
預言に籠絡されてたのは それを知る僕自身だった
今、この命を貫いた 鈍色の衝動 魂を震わす
置き去りの“約束”果たすために ガラスの檻を超えた


終わらないサブリミナルが いくつにも連なって現実になっていく
幻影の中の僕は泣き叫び“本当はずっと待っていた”と言った
くらいよこわいよせまいよあいたいよ、ここから出して、このまやかしの水槽から
化石の魚が意思を持ち、泡沫(うたかた)の命が、今


錆びた針がまた産声上げ 終焉(おわり)の空が巻き戻る
緑の光は祝福のように血の色を染め変えて
もう、消えない僕の白昼夢 仮想の精舎崩れていく
黄金の林檎(レネット)の蜜が口を満たし、ようやく僕は“命”になった

忘れられた預言者の叫びに世界が再び震えてる
さよなら揺れる死旧世界 涙の海が裂けていく
まだ、ぎこちなく細い両足に 泥の靴履いて歩き出す
生きたがりの魚が地に立ち、今黄昏が終わる


仮面を捨てて、君と向き合おう
遠い昔にしまい込んだ素顔で
過飽和の酸素が 肺を刺す 世界で
目の前にいる僕は上手く笑えてますか?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

IriЯa -預言者サブリミナル-

――――かつて栄華を誇ったある帝国の技術によって作り上げられた人工知能、通称「イリヤ」。その早すぎた進歩を内包する彼は、忘れられた都市に隠され、国営巨大データベースの管理者として活躍していた。ある奇妙な出来事が彼の身に起こるまで…。

「コスモナーフト」「光の滑走路」と同じ世界観をバックに持つ物語。おおもとになったのは預言者エリヤと、それと同じ名前を持つロシア民話の勇士「イリヤ・ムーロメツ」。あとノアの方舟。
スランプ気味の中で張り切ったはいいけど、いろいろ詰め込みすぎて空中分解した;

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投稿日:2013/07/28 22:24:58

文字数:1,148文字

カテゴリ:歌詞

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