目を開けると、僕は見知らぬ場所に立っていた。
上を見上げると紫がかった空には白い星や月がチカチカと光っていた。
それを見ているうちに僕の目もだんだんチカチカしてきた。
僕は見上げるのをやめて目を擦る。
すると、突然何処からか声が聞こえてきた。
「──ようこそいらっしゃいました。ドリームランドへ」
「Welcom toー!」
「Dream Landー!」
恭しく腰を折り曲げて迎えてくれたのは、翡翠の髪をツインテールにした少女だった。
手を前で組む白と黒を基調としたゴシックドレス(というかメイド服?)は、きっと変態という名の紳士には堪らないだろう。
その少女の背後からひょこっと現れた琥珀の髪の顔がよく似た──双子なのかもしれない──少年少女。
少女、少年の順で英語で迎えてくれたのはいいが、残念ながら僕は英語ができなかった。
おそらくメイド少女と言ってることは変わらないんだろうけど……
「唐突ですが、カイト様にお願いがあります」
「は?」
「実はカイト様に、森の奥で囚われの身になっている姫様を助け出してほしいのです」
「ひ?」
「もうカイト様しかいないのです……」
「ふ?」
「その剣と盾で、姫様を閉じ込めている魔女と、その忠実なる奴隷を倒してほしいのです」
「へ?」
「……ご理解いただきありがとうございます。それではさっそく行きましょう──」
「ほぉぉぉ!! ちょっと待って! 僕は何にも承諾してない! 勝手に話を進めないでくれるかな!」
……オイ、何気にメイド少女の背後で笑ってんじゃねーぞ双子。
っていうか僕はいつの間に剣と盾を持ったんだ。
しかもコレ明らかに材料木だし。
盾はともかく剣はいいのかよ。
これじゃ斬れねーよ。
「……ご理解いただきありがとうございます。それではさっそく──」
「ってォォオイ! 全力スルーすんな! ──って何だお前らオイコラ離せ」
「「We don't hear!!」」
「思いっきり聞こえてんじゃねーかうわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──」
僕の必死の抵抗も空しく、息ピッタリな双子に二人がかりで胴上げされると、双子は非情にも僕を投げ飛ばしたのだった。
僕の身体はそのままなすすべなく空を泳いでいく。
もちろん僕は生きた心地がしなかったのは言うまでもない。
さようなら、皆さん。
僕は星になります。
──かと思われたが、投げ飛ばされた僕の身体は、大きな弧を描いたように、無残にも地面に叩き落ちる。
「──ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁふべちっ!! ……うわあああ僕生きてるぅぅぅ!!」
バッと体を起こし、死んでいないこと、奇跡的に無傷なことに思わず嬉し涙がこぼれた。
このときほど神様に感謝したことはない。
いやー良かった良かった。
空を泳いでたときに「神様助けろじゃなきゃころすコロス殺すころすコロス殺す──」と心の中で祈っていてホントに良かった。
やっぱり神様に祈ってみるもんだな、と嬉々としているのも束の間──僕の喉元に、突然剣を突きつけられた。
僕が持っている木の剣ではなく本物の剣に、反射的に「ヒッ」と情けない悲鳴が漏れた。
恐る恐る剣の持ち主を見上げた。
持ち主はアメジストの長い髪を持った、顔がよく整った男だった。
「──お前、囚われの姫を助けようとしてる勇者だな?」
「…………」
──違います。
僕は承諾もしてないのにその姫さんを助けろと連れてこられた可哀相な凡人です。
「ふむ。黙っているということは、肯定、ということだな?」
「…………」
──違います。違います。
「残念だが、お前はもうココで終わりだ。今日一日だけでもココを死守しないと、魔女に俺の××(一応伏字。ヒント:「て」から始まって「う」で終わるやつ)が奪われるんだ」
──違います。違います。違います。
というか何で××を奪われそうなんですか。おかしいですよね。ねえ!?
「さぁ、さっさと殺して──」
「!」
ヤバイ。これはマズイ。
コイツ目がマジだ。マジで××が狙われてるんだ!
僕の首を刎ねようと剣を思いっきり振り上げる男。
僕は冷や汗をダラダラと流し、最後の抵抗とばかりに息を吸い込み、
「あああああ!! 魔女が来たぞおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「いやあああああ!! 魔女様俺ちゃんとココ守ってんるのに来るんですかやめてえええええぇぇぇぇぇ!!」
「隙ありッ!」
「ふんぎゃぁッ!」
剣を放り投げ、誰のいない方向に土下座をし、命乞いにも聞こえる叫びを上げた男に、僕は隙を突いて木の剣で相手の頭を殴った。
鈍い音とともに、ドサッと土下座のまま地面に崩れ落ちる男。
ポーズのせいか、とてもシュールに見える。
ってかどんだけ魔女が怖いんですか土下座しちゃうってどれだけなんですか。
「……もう、帰ろうかな……ってぎゃあああああぁぁぁぁぁ──」
シュールなポーズで気絶をする男を置いてその場を立ち去ろうとした僕だったが、それは突如現れた巨大な城と、そこの玄関口と思われる扉が開き、体が吸い込まれたのだった。
どーしーてーこーおーなーるーのー……
「──ぁぁぁふべんばほがらかぁにぃとぉ!! ……ぎゃあああ僕生きてる!!」
謎の悲鳴とともに何処かの部屋に放り出された僕は、バッと体を起こし、死んでいないことry
安堵の溜息を漏らすのも束の間、また僕にピンチが訪れたのだった!
「待っていたわ、勇者カイト」
ピンクダイヤモンドの、あの××を狙われていた男と同じぐらいの髪の長さの女性が、不敵な笑みで僕を見下ろしていた。
うわあああこの人絶対に魔女だよだってあの男の人が首輪つけられてしかもさらに首輪に繋がれた鎖を持ってるもん! いつの間に男の人回収したのかな! しかも男の人すごい死んだ目してるよ!
「…………」
「そんなに怯えなくて大丈夫よ。むしろあなたには感謝しているの。『今日一日さっきのところで姫を助けようとしている勇者達を倒して死守したら、一生自分の××を狙わない』って約束をさせられてね。しかも1000人ぐらいの勇者を倒していっちゃって、このままじゃマズイって思ってて。ホントあなたGJよ」
「は、はぁ……」
いいんだろうか。
男の人が殺気じみた目で僕を睨んでくるんだが。
「あ、ちなみに姫はこの奥の部屋にいるから、グミにでも案内してもらってちょうだい。──それじゃあ私は思う存分愉しんでくるわ!」
魔女はそういうと、鞭やら足枷やら猫じゃらしやら蝋燭やらメイド服やら媚薬やらが詰まった箱を左手で抱え込み、右手で男の人を繋いだ鎖を引っ張って、魔女はココから一番近い部屋へと入っていった。
男の人はされるがままにズルズルと引きずられ、最後に僕に遺言を遺した──
「お前なんか、お前なんか見知らぬ筋肉男に掘られちまえぇ──ッ!!」
バタンッと、二人が入っていったドアが閉まったのだった。
そしてぺリドットのショートヘアの少女が僕を姫がいる部屋へと案内した。
「…………」
「さあ、姫はコチラです」
「……あの、彼……いいんですか?」
「大丈夫です。日常茶飯事なんで」
「…………」
「それでは、ごゆっくり」
言葉を失う僕などお構いナシに、少女は一つの部屋のドアを開けると颯爽と何処かへと去っていった。
あの男の人のことをもう考えるのやめて、僕は恐る恐る部屋の中を覗いた。
部屋の中央には大きなお姫様ベッドがあり、そこに美少女がスースーと寝息を立てていた。
美少女の寝顔があまりのも天使すぎ、僕は必死に鼻血を噴出すの耐えた。
今、ココで鼻血を出すのはマズイ。耐えろ……耐えるんだ……!
──しかし、予想外のことが起こったのだった。
「あら、あなたが勇者?」
「」
起きちゃったぁ──ッ! ヤバイヤバイ起きた顔もかわいすぎ鼻血出そうっていうか出る!!
「うふふ。変な余興につき合わせちゃってゴメンなさいね? その代わり──」
──チュッ。
唇から伝わる温かさとリップ音で、姫とキスをしたということを理解するのに時間がかからなかったのだ。
そして、
「きゃあああああ!? は、鼻血が……! 大丈夫!?」
僕はあえなく鼻血を出したのだった。
コメント3
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ご意見・ご感想
しるる
その他
めーちゃん、無視したぁぁwww
序盤のミクちゃんの無視といい、無視がこんな効果があったなんてww
これは勉強になったわーw
では、おそくなりましたが
「雪りんごは、カイトタオル(5)を手に入れた」
2013/07/27 16:05:21
雪りんご*イン率低下
私はただミクとめーちゃんに無視させただけなのにwwww勉強になったんすかwwwww
カイトタオル、ゲットだぜ!(おいそれポ○モン←
2013/08/05 15:40:43
ゆるりー
ご意見・ご感想
凄まじい夢だwwwww
カイトさんや、私の見る悪夢を少し分けてやろうか?(超ニッコリ)
ミクさんがメイドってあまりないよね!そして超マイペースだ!ww
変態という名の紳士?呼んd…あ、私紳士じゃなかった←
ターンドッグさん、それは白衣を着て《街》の少女達に干渉する某お星さまですよね?
それとも「がっくんが白衣!」と萌えて倒れそうになった私のことですk((もっとダメだろ?
知っていますか?その木刀、うちのがっくんが落ちてきた資材を切ってルカさんを救ったやつなんですよ?((違う
材料はルカさんは推測で言ってたから、本当は公開されてないんだz(((
それ祈ってない!呪い!ww
そして「て~う」のやつを「手帳」「手錠」だと思った私。警察官か。
あと、りんご家のがくルカはいろいろ大変だw主にがっくんが。ルカさんぶっ飛んでるww
あとメイド服のやつ、写真あったらくださいな☆((おいこら
え?だってうちのがっくんに何かしようものなら、チョークでしばかれるもん←
イケメンながっくんねぇ…ゲシュタルト崩壊してるやつってあんまりないから、個人的には「ひゃっほおおおおおおおう!!!」って感じだね!←
我が家にもイケメンがっくん現れないかしら。
おう、期限が近いww
仕方ない…がくルカ、書くか←
2013/07/16 21:52:50
雪りんご*イン率低下
皆さんwwwwwwこんな夢ry←
ミクさんがメイド服って珍しいんですね。そしてマイペースじゃないですよ。彼を無視してるだけです(ぇ
あなたは変態という名の淑女でs(殴
あの流星紳士に萌えるんですかwwwwww
「☆)君! 私とともにいかないk」黙れ流星紳士(^∇^ )←
そ……そうだったんですか!?(違う
そうか、だからうちのがっくんを倒せたのか……!(だから違う
「神様)殺されるのは簡便ノロワナイデクダサイ(((゜Д゜;)))gkbr」
……なんか、ゆるの警察服の姿を想像してみたら、似合うんだが←
私のところは意外とカオスですよ?www 猫かぶりなリンちゃんや恐喝に定評のあるレン君、そしてその二人をこよなく愛するグミちゃん、色々と不憫ながっくんに、SMプレイに定評のあるルカさんですから(((
唯一の良心は兄さんとめーちゃんとミクさんとイアちゃんだけ
「ルカ)ダメです! がくぽさんの可愛い写真は誰にも渡しませんよ?」
あwwwそっかwwwゆるのところのがっくんは最強だったんだwww
それにゆるのところのがっくんのほうがイケメンな気がする
がくルカ楽しみにしてますねー(´∀`*)
もう期限すぎちゃったけど←
2013/07/20 15:19:41
Turndog~ターンドッグ~
ご意見・ご感想
なんという夢でしょうwwwww
とりあえずカイト、その実にハッピー☆なお脳の夢見る部位だけよこせ。
メイド少女がどう見てもミクさんです本当に(ry
変態紳士?呼んだかいりんごさん?(おいこら
……え、呼んだのは某お星さまの紳士のほう?(もっとダメだろ
あと木刀を馬鹿にしちゃいけない。
頭を叩けば脳漿炸裂☆首を叩けば頸椎粉砕☆坂道で叩き付ければローリンガール☆
折らもう一回!もう一回!!(やめたげてよお!
がっくんあんた何やってんですか。
てで始まりうで終わる。なるほど、『てんこ盛りのうどんの上にぶっかけられたナスのエキスをたっぷりしみこんだほうれん草』の略ですな!!(お前は何を言っているんだ貞操じゃないのか
なんという卑怯!!さすがだカイト、結局卑怯の星の元から離れられないのだな!!wwwww
そしてその魔女でしたらもう何を奪われてもかまいません!!
踏んでください!!←
というかもう犯しt(黙れ変態
捨て台詞が凄まじくガチムチだな!仕方ないね♂
よしカイト、お前はそれ以上報われなくていいから出血多量で三途の川でも見に行ってこい(((
姫がルカさんだったら私は鼻血どころかその場で仁王立ちしながら死ねる自信があります(黙れ変態×2
2013/07/15 16:02:10
雪りんご*イン率低下
皆さんwwwこんな夢見たいんですか?wwwwww←
ミクさんがメイドなのは、あなたを悦ばせるためですよ! ターンドッグさん!!(ぉぃ
だけどあなたは呼んでません。某流星紳士も呼んでません「☆)なん……だと……!?」
いや、確かに某赤ん坊が家庭教師のマンガでも、木刀からリアルな剣になりますが……(そういう問題かよ
それはwwwやめたげてくださいwwwwww
がっくんは自分の貞操を守るのに必死なんです(ぉぃ伏せろよ
「てんこ盛りのry」wwwwwwなんかソレちょっと嫌ですwwwwww←
あ、そういえばコレ卑怯だった(ぇ
……うん。言うと思ってましたよ! あなたなら!←
台詞がガチムチ? そんなことないですよ、AHAHAHAHAHAHA!(((
「カイト)それでも僕は死にましぇん!」←
あなたなら言うと思ってry
2013/07/20 14:56:57