A
オイルパステル
ぐちゃぐちゃに塗りつぶしてみる
許される恋なら
この空だって夢じゃなかったのに
自問自答
出てくるのは嗚咽だけ
刺さった棘は増えるだけ
抜く手段なんてどこにもない
汚い手を仰いでみる

B
壊せる夢はあとどのくらい？
でもね結局は
あなたの幸せが一番だから
あなたの笑顔が好きだから
この喉に爪を立てることしかできないんだ
触れることすら
叶わないあなたのために
流す涙は何の色？
それすら枯れたなんて言えないね
笑っても言えないね

S
嘘つき
一番は私じゃないんでしょ
嘘つき
別ものの“愛してる”って何
嘘つき　嘘つき　嘘つき
でも　本当の嘘つきは
私かもしれないね
液晶の光が照らす
見えることのない未来
そっと赤いボタンに触れるんだ

A
春フルスコア
ぐちゃぐちゃに弾き鳴らしてみる
苛(さいな)まれる音なら
いっそ刻んで燃やしてしまうのに
見えない　見えない
重なるのは蜃気楼
叫べる声は遠近法
差し伸ばした手は空を切る
美しい灰を睨んでみる

B
綺麗な夢は何色だったっけ？
そうね　忘れたわ
私の幸せは二の次だから
私の笑顔は仮面だから
この腕を握りつぶすことしかできないんだ
日付をたどる
指が震えていたのは
きっとピエロの悪戯だ
唄う下衆　踊り狂い
声も足もいらないね

S
嘘つき
優しさはあの子にだけやれば
嘘つき
ときめいた自分がばかみたい
嘘つき　嘘つき　嘘つき
でも本当の嘘つきは
私かもしれない
片手に咲いた赤い花
摘み取るのは私じゃない
ほら　あなたのために咲いたのよ

C
何度も見た白昼夢
捨てられたらどんなに楽だろう

S
嘘つき
私はもう黄色で塗りつぶす
嘘つき
左手も五線譜と踊れる
嘘つき　嘘つき　嘘つき
嗚呼　本当の嘘つきは
私かもしれない
片手に咲いた赤い花
摘み取るのは私じゃない
ほら　美しい孤独　曼珠沙華