● ヒュプノフィリア
浅い眠りから醒めない。
この夢の小部屋の中で、
笑えることが哀しい。
指先の震えを隠した。
「フィリア。全てを愛して」
ママが、言った。
夜空が、見えない、涙で、壊れる――。
世界を好きになろうと、感情を捻じ曲げ。
苦しいことも、哀しいことも、大好き。
ボクが変わるしかないの? ねぇ。教えて。わからない。
本当の脳を言葉で騙し、手を繋いだ。
雨の檻へと逃げ込めば
病気の蝶の味がする。
口に含んだ泥水を、
「おいしい」と答えて微笑む。
「フィリア。捨てるは冒涜」
パパが、言った。
月が腫れてく。ステージが汚れる――。
世界を好きになろうと、心室が孵化して。
痛いことでも 怖いことでも、大好き。
生きてくことが正しいの? どうしても、わからない。
真夜中。脳を小指で抄くい、瞼を縫う。
この体がなかったら。
怯えることもない。
唯一の両腕――。ヒュプノフィリア。
世界が好きになれない。悲しくて泣き出す。
苦しい、哀しい、痛い、怖いも、大嫌い。
消えてく深い眠りに手を引かれ。
さよなら。正しい世界、赤い臓器(からだ)に。
フィリアフォビア。
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