「おめでとう」と言われて、それが何を意味するのか、一瞬解らなかった。
マスターは笑っているし、他のみんなだってニコニコしている。
「えっと……何の話?」
「だから、今日はMEIKOの誕生日だろ!」
「あ」
マスターが私の頭をぽんと叩いて言った。
それをきっかけにして、兄妹たちが私に抱きついてくる。
KAITOとルカはともかくとして、ぎゅうっと私にしがみつくミクやリン、レン。彼らが口々に言う。
「おめでとう、おねーちゃん!」
「「おめでとうっ!」」
おめでとう。おめでとう。
何て幸せな響きなんだろう。
新しい兄妹が出来る度に、自分は彼らを祝って来た。
だけど、どうしてか自分が祝われる立場になるとは思っていなかった。どうして?
やっぱり心のどこかで自分から諦めていた部分があったのかも知れない。
もうお姉さんなんだから。しっかりしなくちゃ。――だからって、祝われてはいけない決まりがあったわけじゃない。
マスターがミクたちを宥めて、引きはがす。
私は嬉しいのに、素直にそれを表現する方法が解らなくて苦笑いしていた。
「MEIKO」
「マスター……ありがとう」
ありがとう。
言えることばなんて、ひとつだけだった。
私がマスターに引き取られて、本当に幸せだと、そう言いたい。
けれど開いた口から零れたのは、たった五文字の"ありがとう"だけ。
これで伝わってるのかな。伝えられているのかしら。
「こちらこそ、いつも歌ってくれてありがとう」
今度はマスターに抱き締められて、何も言えなくなる。
ことばの代わりに溢れて来たものは涙だった。泣き笑いする私。今だけ少しみっともないお姉さんだけど、それでも良いかな?
「ほら、おねーちゃんケーキ食べようケーキ! 私たちが作ったんだよ!」
「ミク姉、食い意地張り過ぎっ!」
「そういうリンだって作ってる時につまみ食いしてたろ」
「レン! 余計なこと言わないの!」
「はいはいみんなめーちゃんの誕生日に喧嘩しないの」
「マスター、先に私が蝋燭を用意しておきますね」
「よしルカ、頼むよ」
最初は私とマスターがいた。
そこからどんどん増えていったあわただしい家族たち。なんて愛おしいんだろう。
もう元には戻れない。独りぽっちで歌えない。
ここが私の居場所で、ここでしか私は歌えない。
「ケーキ準備完了しました!」
「じゃあみんなで練習したお誕生日ソングを歌うぞー準備は良いか!」
「マスター、みんな……」
「ん? 何だ、MEIKO」
青い鳥は今、目の前にいる。
「ありがとう。だぁい好きよ」
Happy birthday MEIKO!
And May you always be happy!!//2009.11.05
青い鳥みぃつけた
MEIKOさんおめでとうございます。
本当にいつもありがとうございます。大好きだあああああ!!
コメント0
関連動画0
オススメ作品
私の声が届くなら
私の歌が響くなら
この広い世界できっと
それが私の生まれた意味になる
辛いことがあったら
私の歌を聴いてよ
そして少しでも笑えたら
こんな嬉しいことはないよ
上手くいかないことばかり
それでも諦めたくない...アイの歌
sis
アラビアの夜
骨董屋の女主であるルカは口元に人差し指を立てて静かに語った。
「……ここだけの話よ。このコーヒーカップにはイワクがあって―――」
客は彼女一人、寒風が窓を揺らす中でルカは物騒な話を始めた。
メイコにしてみればこれから話す内容次第で目の前にある年代物のコーヒーカップを買うかどうかを吟...メイコちゃんカフェ 『アラビアの夜』
kanpyo
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
【頭】
あぁ。
【サビ】
哀れみで私を見ないで
(探したい恋は見つからないから)
振られる度に見つけて
いまは見えないあなた
【A1】
儚い意識は崩れる
私と言うものがありながら...【♪修】スレ違い、あなた。
つち(fullmoon)
君色ワンダーランド 【歌詞】
A 真っ白な世界を何色で彩る?
何も無い空疎な世界を
真っ白な世界を何色で彩る?
誰も居ない孤独な世界を
B 自信なんて無くて構わない
まわり道してもいい
創るんだ 君だけの色で出来た世界を
S 塗り続けて出来た世界こそ君の描く未来だろう?
外(...君色ワンダーランド 【歌詞】
衣泉
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想