(前話末文)
イグゾウは、もう、理解できない範疇になってしまったので、その話はやめることにして、医務室のメンツが帰ってくるまで、デフォ子達も交えて、ハンガーに吊されたギア3体の修理の話に移すことにした。
<Dear My Friends!第2期 第23話 新武装と新たな剣>
(ヤマト国 オーエド地区 セントラル区 ニンギョーチョウ ギア整備工場“カガ”)
イグゾウ「えーーー、とりあえず医務室の人達が帰ってくるまで、ギアの修理について話そう。私の意見としては、戦闘データの回収、装甲の交換、弾倉の補給、システム系の調整、それとデフォ子のパープルだけコンソール周りの全交換。こんな所だ…ってテルさん?」
テルは3体がマージ戦で使っていて弾薬がほとんど無くなっている“小型ガトリングガン”の内、モモの機体を調べていた。
テル「要するに銃なわけだ。イグゾウさん、これのエネルギー補給機構は?」
イグゾウ「え? ここですが…」
そういうとイグゾウはリンクベルトとそこに残っていた弾薬と弾倉を指さした。
イグゾウ「この弾倉からリンクベルトにある弾薬が、アクチュエーターからの動力で回転している銃身に連続補給されて発射されるわけです」
テル「…なるほど。シンプルでよかった。すまないけど、モモさんのギアから、弾倉とリンクベルトを外してくれないか?」
イグゾウ「え? あぁ、わかった。若い衆、言われたとおりにしてくれ」
そういうと、整備用のチェーンフックなどで弾倉とリンクベルトが取り外され、ガトリングガンの銃身だけが取り付けられている状態になった。
テル「で・・・こいつでいいや」
そういうと、工場内に転がっていた“蛇腹状の金属チューブ”と“球形接続金属バルブ”、“金属製の円錐型の先”を指さした。
テル「でもって、この球形バルブの口をガトリングガンの弾薬補給口に溶接して、もう1つの口にチューブをつなげて、片方の口にこの先をつなげて、腕部と肩と胴体と脚部を通して、足の横に固定させてくれないか? 先は地面に突き刺さる感じで」
イグゾウ「ス、スタッフ! 言う通りにやってくれ! 接続は溶接、固定は金属円形固定具で引っかけて、固定具は溶接してくれ!」
そういうとスタッフ数名がテキパキと作業をしてくれたおかげで、実に早くテルの言っていた通りの状態になった。この整備工場のスタッフは相当に腕がいいようだ。
イグゾウ「テルさん、言われたとおりになったけど、これ、単にガトリングガンに金属チューブが繋がっただけだと思うが…。それにこのチューブの先、歩くと“地面に突き刺さる”状態なんだけど…」
テル「それが大事なんだ」
そういうと、テルはその地面に突き刺さる事になるチューブの先の所まで行き、封素瓶の蓋を開けて、ごくわずかだけ中身をふりかけ、手をかざした。
テル「鉱物金属吸収ニードルに変貌せよ!」
そういうと、チューブの先は、金色に輝く鋭い“注射針”のようなモノに変貌した。更にバルブにも少し振りかけ、手をかざしてこう唱えた。
テル「刃に変換し、命令があったら銃身に補給しろ!」
そういうと、同じくありきたりのバルブと蛇腹状の金属チューブは、それぞれ“金色に輝く球形物体”、“金色の自在可動の金色チューブ”に変わった。そして“ゴゥンゴゥン”と音を立て始めた。
テル「これでいい」
イグゾウ「え゛・・・・・・何がいいんですか?」
そういうと、テルはチューブの先をポンポンと叩いて、説明した。
テル「これでこのガトリングガンは、そうだなぁ、刃を連射する銃『ガトリングエッジ』となったわけだ。エネルギーほぼ無限補給の」
イグゾウ、ルコ、デフォ子、モモ、ユフ、その場のスタッフ全員「え゛・・・えーーーー!!!!!」
イグゾウ達を含め、スタッフ全員が、もうなにがなんだかわからず、もう、吠えるしかやることがなくなった。
テル「このチューブの先が突き刺さった所から鉱物や金属を吸収し、このバルブが自動的にチューブを通して吸い取って、命令があったら鋭い刃に変換し、銃身に補給して射出されるようにした。これならこのギアのメイン武器に出来るな。魔導銃と基本同じだから、地上ならエネルギーほぼ無限だ。ただジャンプしっぱなしだと補給出来ずに、一時的に弾切れを起こすから、気をつけて欲しい」
イグゾウ「・・・・・・・・・なんなの、あなたたち・・・・・・・」
今日のイグゾウはこれからも、これまでのギア整備&パイロット人生で、最もアメイジングな1日を過ごすことになるのであった。
***
スタッフ全員が、目に焼き付いたこの興味を引きつけられた武器は、胸部ハッチとコンソール周りの全交換中のデフォ子のギア、ユフのギアにも同じように装備された。これで、大型魔弾銃とも言える『ガトリングエッジ』が3機装備されたことになる。
この整備は、全体で45分程度かかった。その内、奥の医務室から、元気になったレン、学歩、りおんが歩いてきて、その後をニコニコしたリンと、目を丸くして呆然とした軍医が歩いてきて、その後ろを付き添いのメンバーが歩いてきた。ちなみに腕で担架を作っていたスタッフは、彼らを医務室に運んだ後、すぐにドックまで戻ってきていたのでした。
レン「いや~、さすがに今回ばかりは死ぬかと思ったよ」
テル「もう大丈夫か? 内蔵とか肋骨の方は?」
レン「ああ、大丈夫! お医者さんの治療である程度治ったリンに、全員治して貰ったよ」
学歩は肩をバキバキさせて、眉間にしわを寄せていた。
学歩「まぁリンに治して貰ったでござるが、あやつは?」
テル「この中だ」
そういうとテルは、輝く封素瓶を取り出して、学歩に見せた。
学歩「・・・・・そうでござるか・・・・まぁ、あやつもある意味“はめられた被害者”とも言えるでござるかな…。やられた事は水に流すでござるよ…」
だが、りおんだけはその封素瓶を睨み付けていた。
りおん「あちしは納得できない!」
見るに見かねた“ミズキ”と“ゆうま”が助け船を出した。
ミズキ「もうあんなに状態になったんだから…」
りおん「でも・・・・・すっごく痛かったのだ!!! 杖も盗られたし!!」
ゆうま「奪われたり壊れた武器類は、全部回収してある。安心しろ」
確かに奪われた杖、折れたレンの剣、砕かれた学歩の刀は、ゆうまが持ってきていたのでした。
りおん「で、でも・・・・・・・」
それをずっと聞いていたテルが、なんとか事態を収束するために、諭すことにした。
テル「・・・・気持ちはわかる。マージを分解した私が言うのもなんだが、ヤツだって喰われる時、その何倍も痛みを感じたはずだ。許してやってくれ。私もヤツを“取り返す”ために、マージを分解したんだ。元に戻ってきても、憎まないでくれ。憎むなら、ヤツに事情を一切言わないでマージを与えた、“ヤツの上司”を恨め。それが筋だ」
りおん「・・・・・・・わかったのだ・・・・・」
その会話をほとんど理解できない状況で聞いていたイグゾウは、これからの事を聞くためにテルに話しかけた。
イグゾウ「あー、まぁ、よくわからないことだらけで、私からは何とも言えないのだが…これからどうすればいいんだ? 医療活動以外で我々に出来ることは、ギア整備位なんだが…」
テルはイグゾウに向き直って、コクリと頷くと、今後の事を話し出した。
テル「勿論、ギアの内部機構のような“精密なからくり”をいじるのは私たちでは無理故、情報解析を含めて、ミズキ、ゆうま、ルコ、パイロット3人とともに、あなたたちに全て頼みたい」
イグゾウ「了解した。上物に仕立てるよ!」
ゆうま「データ解析は任せとけ!」
ミズキ「私はミゥ様に早く連絡したいから連絡室にこもるわ。どうせジャミングされていると思うけど頑張るわよ!」
スタッフ「やったりますぜ!」
その中、りおんだけが、不思議そうな顔つきでテルを見ていた。
りおん「あ、あの、3人の中であちしだけ、部外者?」
テルは首を横に振った。
テル「キミを含めて、武器を持っている全員が、これからオンステージだ。武器と防具を補修強化する! こいつで!」
そういうと、封素瓶をかざした。
テル「そして残り全部で、ルォを取り戻す!!」
***
(ヤマト国 オーエド地区 セントラル区 ニンギョーチョウ ギア整備工場“カガ”内 会議室)
ギア整備、連絡以外の一行は、広めの会議室に移動し、椅子や机を搬出し、となりの準備室から車輪付きの中型円卓を持ってきて、部屋の真ん中に設置し、広い作業エリアを確保した。
アペンド「まぁ、装備品はさすがに補修しないとだめだけど、その得体の知れないモノで、本当に直るの? さっきは変なからくり作っていたけど…」
テルは“にやっ”とした。どうやら根拠のある“自信”を持った、そういう笑みだった。
テル「こっちへの移動中に、この封素瓶の中身を調べて、理解しておいた。マージのヤツ、我々とエンカウントするまでに、相当の相手と戦闘していたようだ。喰ったルォの素材以外に、たんまりと“とんでもないモノ”の素材を吸収していたよ」
アペンド「なんで“とんでもないモノ”だってわかったの? だってそういうモノへは、あなた“初見”でしょ?」
テルは頷いたが、封素瓶を人差し指でちょんちょんとつついて言った。
テル「エネルギー密度が段違いだった。そして名前の情報素材も入っていたよ。中には文献で見たことあるモノもあったぞ。我々の世界から、どういう理由かわからないが、この国に渡って喰われた戦士も、少なからずともいたって事だな」
そういうと、テルは円卓の上に魔方陣を描いた。
テル「一応先ほどと違って、“半分合成”、に近い事をするので、合成魔方陣を描いた。今回、この封素瓶の中身を理解できたのは私だけなので、“魔力の追加が必要”な状況以外、私が全て執り行う。いいね?」
アペンド「え、ええ。頼むわ。私ではちょっと理解できないし、あなたは分解した本人だからね」
テルは軽く頷き、レンの方の目線を変えた。
テル「さて、ではまずは、レンのブロードソードからだ」
そういうと、悲しそうな表情で、折れた自分の“分身“を、円卓の真ん中に置いた。
レン「テル、直るんだよね?」
すると、テルはちょっと言葉を考えて、こう答えた。
テル「う~ん、正確には、“とんでんもない別物”に変わるのだが、それでもいいか?」
レン「え!? えーーーーーっと・・・・・・・はい、僕も勇者です。どんな剣でも使いこなして見せます!」
テルは大きく頷いて笑顔を見せた。
テル「いい返事だ。では、名前は錬成の時、それが何かは、錬成してから教えよう」
そういうと、封素瓶の蓋をスライドさせて、折れたブロードソードの折れた箇所に数滴垂らした。するとブロードソードそのものが光り輝き始めた。
テル「では行くぞ!」
そういうと、封素瓶の蓋を開けて横に置いたまま、テルは白い手袋をした両手の平を魔方陣にかざすと、こう唱えた!
テル「我、汝を支配するモノ也! “オリハルコン”に由来する素材以外は、この瓶に戻れ! 該当素材はこの折れた剣の素材となりて、新たな剣として再生せよ!!!!」
ギューーーーーン!!!!
すると、垂らした部分から、半分ほどが瓶に戻っていき、そして、折れた剣は、輝く球体に変わり、そしてすぐに、宙に浮く光り輝く剣とそれを納める鞘に変貌を遂げたのだった!
ギュン! ギュン! ギュン!
レン「こ・・・・・これは・・・・」
テル「出所は不明だが、伝説の素材だ。高い堅さを誇るが、決して折れたままにならず、形状記憶して元に戻り、柔軟性に富む、不思議な金属だ。それに鋭い刃形状を加えて錬成したのが、この『オリハルコンの剣』だ。おそらくブロードソードでは最高峰。レン、手に取るがいい」
レンはおそるおそる剣の柄を持ち、鞘を掴むと、剣と鞘の輝きは“光沢”に変化した。
テル「これでこの剣の所有者は、キミだけだ。存分に使うがいい」
レンはまさに“勇者の精悍な顔”に変わり、剣を掲げると、鞘に収めてこう叫んだ!
レン「やってやるぜ!!!!」
(続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI
ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん
ミゥ:Mew
欲音ルコ(ルコ):欲音ルコ
唄音ウタ(デフォ子):唄音ウタ
桃音モモ(モモ):桃音モモ
雪歌ユフ(ユフ):雪歌ユフ
義 井具蔵(ヨシ イグゾウ)(イグゾウ)):某演歌歌手
ルォ:オリジナル男性中華ボカロ(オリジナルボカロになります)
チンシャン:某女性中華ボカロ
マカ:某少年中華ボカロ
ティエンイ:某女性中華ボカロ(ルォの姉(こちらが本家“ルォ・ティエンイ”で、女性中華ボカロになります))
その他:エキストラの皆さん
Dear My Friends!第2期 第23話 新武装と新たな剣
☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第23話です。
☆第22話のココで記載したとおり、6000文字内で納めて、話数に分解する事にしたので、こちらは第22話の流れの続きになります。
☆ギアの新武装“ガトリングエッジ”と、レンの最強武器“オリハルコンの剣”の誕生です。
***
私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh
同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1
更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A
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ゆるりー
正体 / 巡音ルカ
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話したくなかったんだ 君と 誰と
伝えたい理由があって、伝えない理由があって
上辺だけ口にしたこの愚かさを逃がせないな
聞き取らず笑顔に包んだ 霞んだ本音が今も
身体の真ん中で錆びて私を留めている
溢れる言葉いくつ 見ないふり...正体
花撫寺
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