嘘で固めた「何でもない」が

重さで手前に落ちた

うんともすんとも言わなくなっていく

建前の裏側



嘘であってと両目塞いでも

濡れる手相の間

澄んだ空気を弾いて濁った

額の内からこめかみの奥まで





雨の匂いで冷えた風

この右の目の腫れによく似た色は

顔にかかったテールライト

その明かりが不意に消え

遠くなる音



その車が小さな背中に見えた





何度も心を指でなぞっても

ただ指紋の付いたまぼろし

その姿見た気がして走っても

口に入ったユスリカが邪魔して





うんと伸ばした手 すぐに下ろした

見えない溝の手前で

少し前に遊んだ公園が消えた

あの日の私が

詰まったままあった



空気を吸って吐いては吸って

それだけで今日が終わって

日の境目も溶けてなくなって

歪む景色 ユスリカの群れ





何度も心を指でなぞっても

ただ水滴弾くまやかし

そのうちもう

癒えていくと分かっても

また触ってしまっていたけど



いつの間にか腫れがひいて

確かめるように跡をさすった

元通りになった心に

残ったものは



無い

何も無い

昨日までの私が

どこにも





何度も心を指でなぞっても

なぞってもなぞっても

消えていく



口に戻った痰にえずいて 泣いて

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ユスリカ 歌詞

閲覧数:361

投稿日:2024/06/01 22:28:34

文字数:576文字

カテゴリ:歌詞

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