傘を差し出されるのが夢だった
「これ使って」なんて一言伝えて
無言で渡すだけでも良いかもね
急な雨を恨んで空見上げて

雨が降るときは大抵傘がある
傘が無くても急ぐことはなくて
近くにカフェが有ったりして
それで困ることも特にない

傘を渡す人の気持ちはどうかな
困った姿を見て気に留めるかな
理解して助けたいって思うかな
自分には出来そうにもないけれど


傘を差し出されるのが夢だった
相手は濡れながら雨の下走って
次に会ったらお礼をしたくても
そんな風に会うことはもうなくて

駅近のマンション地下からも入れる
傘を忘れて困ったことも無いし
折りたたみ傘に憧れたことすら
だから余計に募らせてしまうんだ

雨に走る人の気持ちはどうかな
やめときゃ良かったって思うかな
もう帰った後のこと考えてるかな
自分には想像もできないけれど


素敵な模様の傘を広げたり
かわいい柄の雨合羽躍らせたり
風に飛びそうな傘を握りしめたり
忘れた傘で呼び止められたり

縁遠い雨具のあれこれ気になって
お店に入って夢の世界に入り浸って
結局要らない物だって気付いちゃって
寂しくなってため息ついてお店を出る


「傘忘れましたよ」呼び止められる
驚いて振り向くと雨具屋さんが
でも傘はどこにも見当たらない
おかしな状況に言葉も見当たらない

エプロンのポッケから取り出したのは
手のひらサイズの小さな小さな傘
小さくても開けたり閉じたりできて
柄もかわいくて楽しくて私好み

でも私こんな素敵な傘買っていない
説明しても「あなたが気に入ると思った」
首を傾げると「傘があなたを見てたから」
初めて一目ぼれされたのは傘かもしれない

お財布を出そうとすると止められて一言
「これは私の趣味で値段は付かないから」
それじゃでもどうしよう困って悩んで
雨の日に必ず来ますって叫んじゃった

だからその時のための傘が欲しいですって
大声で笑いながら「たくさん悩んで決めてね」

結局選んだのはかわいい柄の雨合羽だった
てるてる坊主みたいに羽織ったら雨やむかも

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

アコガレノカサ

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投稿日:2022/01/06 22:09:11

文字数:869文字

カテゴリ:歌詞

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