「・・・あたしは、悪亜の言う通り人間だった。学校にも通ってたし悩みもたくさんあってどれも、ささいな悩みだった。あと、友達とか・・・彼氏もいたんだけど・・・15歳のとき受験が終わってほっとした帰り道これから彼氏の家に行こうと交差点を曲がって、そこで曲がってきたトラックにぶつかって・・・・事故死だった。・・・・何も言えなかった。・・・でもそんなとき<博士>に出会ってボーカロイドに生まれ変わったの。そして今はマスターとラブラブで。・・・だからあたしはボーカロイドにされたことに何にも後悔していない。だって絶対変われるのよっ!<人>は、ねっ!」
長い長い咲の話に斬も言う。
「・・・俺は人間じゃなく黒猫でしかも野生・・・いわゆるノラ猫ってところだな。それでも俺を可愛がってくれるお姉さんがいて、なかなか楽しかったぜ・・・あの頃は。・・・でもいつだっか事故で死んだんだっけ・・・。詳しくは分からないな。で、今はマスターと暮らしてるんだが、そのマスターの母の姉がそのお姉さんだったんだ。すっごい偶然だろ?これだから<人生>はおもしろいよなっ!」
「・・・・」
2人の言葉に悪亜とあたしは黙り込んだ。
<人>
<人生>
<心>
それらの単語が浮かんでは消えていく。
「ね、3人とも」
<博士>は言った。
「・・・最後の問題よ。これに答えられたらあたし・・・<博士>はリンちゃんの中から消え去る。つまり記憶はリンちゃんの脳から<博士>に関する記憶は全て消えるから、貴方達3人と周りの人たちが証人ね。・・・・でも、もうリンちゃんには何も言わないで。また、ふさぎこんでしまうから」
<博士>が言う。・・・・消え去るって・・・。あたしは何かどうしようもない気持ちに襲われた。
「・・・じゃあ、問題♪」
明るく可愛く言う<博士>。
「<人><人間><人生><心>・・・この4つの単語のうち、一番大切なのはどれでしょう?みんなも考えてみてね♪」
え・・・一番大切なのはって・・・。
あたしは考えた。うーん、大切なのは・・・<心>かなぁ?
「・・・俺は<人>だ」
悪亜は言い放つように言った。
「うん、私も<人>」
咲も言った。
「俺も<人>だな」
と斬も言ったが
「そうね・・・。ちなもにリンちゃんは<心>だって」
という<博士>の言葉に
「うーん、<心>もあり得るんだよなぁ・・・」
と悩む斬。
斬は意外と流されやすい方だな・・・。
あたしがそう思っていると
「・・・今リンちゃんが斬は意外と流されやすい方だなって!」
・・・え、なに言ってるの!?
「・・・・リンあとで、たっぷりいじめてやるからな?」
えぇ、そんなぁ・・・。・・・・うぅー。
「あら、斬にもっといじめてほしいってリンちゃんが思ったわっ♪」
「・・・!!」
斬が目を丸めてあたしを見る。うあー、あとで完全否定しないとマジでこわい目にあうよぉー(泣)
「大丈夫よ、斬。あたしが今乗っ取ってるだけだから。リンちゃんに非はないわ」
「・・・・そうだと思った」
斬は、ほっとして呟く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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日常的環和 21話 記憶喪失と想像推理と その9

こんにちわ~もごもご犬ですよ♪
次回で終わりますっ!
お楽しみにっ♪

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投稿日:2009/08/16 14:36:59

文字数:1,261文字

カテゴリ:小説

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