"満月の晩に森に入ってはいけないよ
あの森は深い深い迷いの森
その奥には人を喰らう鬼が住むからね"
真っ赤な夕日が空を染める黄昏時。
とある森を二人の子供が進んでいく。辺りには二人以外何もいない。
「ねぇ、レン。ここどこ?」
不安げな様子で二人のうちの一人、リンは前を歩いているレンに呼び掛けた。レンは立ち止まると振り返り、キョロキョロと辺りを見回した。
だが、見えるのは生い茂った緑の木々だけである。
「どこ、だろう。迷っちゃった。」
「・・・やっぱり。」
困ったという表情のレンに呆れてリンはため息を吐いた。
二人は森の入り口近くにある村に住んでいる。その村でも評判の仲の良い双子の姉弟だった。両親はおらず幼い頃から二人きりで生活していたのでお互いの存在は掛け替えのないものとなっていた。
今日は二人で森に薬草を採りに来たのだが、なかなか見つからずに随分奥まで来てしまったらしい。森に入る頃にはまだ高かった太陽も西の空に沈みかけていた。
「だからもう帰ろうってさっき言ったのに。」
呆れたようにリンはレンを咎めた。鋭く睨まれてレンはたじろぐ。
「し、しょうがないだろ?今日に限って全然見つからなかったんだから。」
「だとしてももう少し早く引き返すべきだったのよ!」
確かに辺りはだんだん薄暗くなってきていた。このままでは本当に遭難してしまいそうだ。
二人が探していた薬草は、本来この森のどこにでも生えているようなものだったのでたいした準備もせずに森に入ってしまった。そのため二人が持っているのは薬草を入れる籠だけだった。
「夜になる前に森を抜けないと、鬼に食べられちゃう!」
リンが言っているのは二人が住む村の古い言い伝えである。
『満月の晩に森に入ってはいけない』
『森の奥深くに潜む鬼に食べられてしまう』
レンからしてみれば、子供が夜の森に入って迷子にならないようにするための大人の戯れ言でしかなかったのだが。つまり、全く信じてなかったのである。
しかし片割れであるリンにこの言い伝えは効果覿面だったらしい。小さい頃からリンは満月の晩には家からも出たがらなかった。最近は昔ほどではなくなったが。
奇しくも今日は満月で、このまま夜になれば美しい真円が二人を照らすであろうことは分かっていた。
「あれは子供だましの作り話だろ?まだ信じてたのか?」
今度はレンが呆れてリンに問いかけた。リンはムキになって「だって!」と続けた。
「村長さんも、隣のおじいさんも言ってたよ!本当に誰も戻ってこなかったって!」
レンは、ため息を吐いた。これはキリがない。
「ハイハイ、じゃあ食べられないうちに帰ろう」
リンの必死の訴えを適当に流して、レンはリンの手を取り今まで進んできた道を戻り始めた。リンはまだ何か言いたそうだったが黙ってレンについていく。
空は鮮やかなオレンジから薄い藍へと移ろいつつあった。
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