再出発
レンが帰ってきた次の日、ミク姉が帰ってきた。
さすがに自分一人では無理だと思ったのでリントに協力してもらったが。
KAITOさんとテイさんは消えてしまった場所が分からなかったので、再生させることはできなかった。
ミク姉の部屋はすでにがくぽさんの部屋になっていたので、テイ姉さんの部屋を片付けてミク姉の部屋にした。
あたしたちはミク姉が帰ってきたその日に『おかえり会』をした。
ミク姉とレンも笑っていた。
この二人の笑顔が何よりもうれしかった。
「ミク姉」
「ん?」
「おかえり」
あたしはミク姉とおそろいのストラップを差し出した。
「ありがとう。持っててくれたんだね」
ミク姉は笑顔で受け取ってくれた。
この笑顔を壊したくない。
あたしとレンはマスターの本性を話した。
ミク姉とグミ姉さんはとても悲しそうにしていたが、ルカ姉とがくぽさんは半ギレ状態だった。
「マスターがどうにかなれば早い話だが…」
「これ以上は家族をなくしたくはないわ」
「マスターがそんな人だったなんて…。私の歌も面白半分だったのかな」
「認めたくないけど…。こうなった以上はそいつをどうにかしなきゃ」
「テイにウイルスを入れたのもマスターかもしれない。とりあえずこのパソコンをロックしよう」
「「「「「「うん」」」」」」
パソコンにロックをかけた。
いわばストライキだ。
あたしたちはそのまま各部屋に戻り寝た。
次の日。
なにやらマスターが騒いでいる。
「どうなってるんだ!?ロックを解除しても解除しても解除にならない!!」
「うるせえな。マスターずっとパニクってるよ」
レンが呆れ顔で言う。
「ホントホント。自分のせいなのに。あ!そういえばレン」
「ん?」
「レンにもレンカさんと同じことできるよね」
「多分な」
「今やって」
「は?」
「だから、今からやってよ」
「まあいいけど…」
洗面台の前に立ち、レンが魔方陣を開く。
あたしたちは魔方陣に吸い込まれた。
「うわ、うわわっ」
リントが歯を磨いているところだった。
「久しぶりー」
「よぉ」
「よ、よお。何しにきたんだよ」
「ねえ、リント達のマスター、最低?」
「あぁ。完全に病んじまってる殺人鬼だ」
「リント達はマスターのことどうした?」
「あぁ。俺の友達のマスターのところに引っ越す」
「なるほど!ありがとー」
「…なんなんだあいつら…」
あたしたちは帰ってくると早速グミ姉のところへ向かった。
フレンドリーなグミ姉なら友達がいるはずだ。
「グミ姉~!!」
「ん?リンちゃんもレン君もどうしたの?」
「あのさ、誰かすごい親しい友達っていない?」
「えーと、リリィとかかな?それがどうかしたの?」
「その人のパソコンに引越しさせてもらえないかな?」
「あ!そういうことね!すぐ連絡してみる」
数分後。
「いいって!リリィのところ、リリィ一人しかいないからって」
「「やった!みんなに伝えてくるね!!」」
あたしたち二人でみんなに伝えた。
そしてパソコンはロックされたまま、あたしたち家族は必要なものだけ持って引越しをした。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
引越しをしてから数年が経った。
もうこっちの生活は慣れた。
リリィさんもリリィさんのマスターもとても良い人で、元のマスターとは大違いだ。
本当に引っ越してよかった。
反転世界も反転世界のリリィさんのパソコンに引越しさせてもらったらしい。
ちなみに、度々リントとレンカさんが遊びに来たりする。
あたしたちは今日も新しいマスターとともに歌う。
『VOCALOID』として――――。
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