ーPrologueー
「…っ。行かないでよ…ねぇ…!!」
冷たくなった君の手を、私はぎゅっとにぎりしめて必死に息を吐きかける。
少しでも温まるように。少しでも寂しくないように。
目覚めないことくらいわかってるの。もう二度と笑いかけてくれないこともわかってる。
でも、この手の温もりだけは感じていたい。失いたくない。
「私は…ずっと、そばにいるよ…」
ー第一章ー
○リン○ -思い出の公園・滑り台の上ー
「…。はぁ…。」
止まないためいき。今日はこれで何回目だろう。
さっきまで暑いほど照り付けていた太陽も、もう沈みかけている。
いつのまにこんなに時間が経っていたのか…。
小さいころ、よく遊んだ“らしい”すべりだい。
私はその上で、沈んでいく夕日を見つめている。
「私…どうしてこうなったの?」
前から、私には記憶がない。幼い頃から5年ほど前までの記憶。
ショックから記憶がなくなったと家族が言っていた。
記憶を失ってからの私は、まるで抜け殻のようだったらしい。
私に、いったい何が起こったのだろうか…。
「はぁ…」
理由もないためいき。つくだけ無駄なためいき。
どうせなら、幸せと交換してほしい。そうしたらきっと、幸せだらけの毎日になるはずなのに。
そもそも、一体いつから私はためいきをつくようになったの?このためいきの理由は何?
楽しいはずもないのに、私は意味も無くためいきの種を探していた。
生きていることに希望も、未来もなく。
ただ毎日、ためいきをついて、種を探して…。
こんな私、この世にいなくたっていいんじゃないの?
生きることに絶望さえ感じてきた、その時。
「…ねぇ」
突然現れたのは、天使。空から降りて来たのだろうか。
その天使は誰かにとてもよく似た顔をしていて、ちょっと生意気そうな小柄な男の子。
突然のことでびっくりしている私に、彼はこう話しかける。
「リン。君のためいき、ちょうだいよ。幸せと換えてあげるから。」
「え…? しあわせ…?」
意味が分からない。
どうして目の前に天使がいるのか。何故私の名前を知ってるのか。
何故、私のためいきを求めているのか…。
混乱する私の口から、気がついたときには言葉がこぼれていた。
「…おねがい。」
天使は笑う。
「うん! 僕はレンだよ。よろしくね!」
ー第二章ー
○リン○ -思い出の公園付近・草原ー
レンは、それからずっと私の隣にいてくれた。
私がためいきを吐きそうになると、彼はそれを全て些細な幸せに換えてくれた。
「あ。ためいきはダメだよ。だから、交換ね!!」
そう言って出してくれたのは花束。一体どこから出してくれたんだろう…。
レンの無邪気な笑顔に、私の心は癒され、幸せに満たされていく。
「ありがとう…!!」
無意識のうちに笑顔になる。今だけじゃなく、レンといると自然と笑顔になれる。
忘れてた。”笑う”ということも、”幸せ”ということも。
記憶をなくしてから、毎日に絶望していて…。
レンはそんな世界に色をつけてくれた。毎日、違う色をつけてくれる。
これが、私の望んでいた"幸せ”。そう思う。
いつのまにか、ためいきは笑顔の中に埋もれて消え去っていた。
*レン* -思い出の公園・ベンチー
リンのためいきを幸せに換えるようになって結構経った。
僕はためいきと幸せを交換するたびに嬉しくなる。
『やっと…君に…。』
リンの笑顔を見るたびに、幸せになる。
本当はリンより僕のほうが幸せなんじゃないかと思うこともあるくらい。
今も、笑顔のリンを見つめてる。
リンはふと何かを思い出したような顔をして、僕のほうを向く。
そしてきいてきた。
「ねぇ、レンはどうして私のためいきを幸せに換えてくれるの?」
「んー、秘密だよ。まだ教えられない。」
とっさにはぐらかす。
この質問に答えたら、きっとリンから笑顔は消えてしまう。
せっかく、幸せにできたのに、お返しできたのに。その意味が無くなってしまうんだ。
「まだってことは、いつか教えてくれるのね。その時がはやく来たらいいのに」
その無邪気な言葉に、僕は少し戸惑ったけど、笑顔で返す。
「いつだろうね。待っててよ」
そう言ってから、遠くの空を見つめる。空には満天の星がきらめいていた。
リンも僕の視線を追って、同じように空を見つめる。
「この星も…、一緒に眺めたんだけどな。」
思い出すと、悲しくなる記憶。
「え?」
僕の独り言にリンが反応した。
「いや、何でもないよ。綺麗な星だね」
「そうね…。すごく綺麗!!」
無意識なリン。何も覚えてないリン。
そう、何もかも忘れてしまっているんだ。何もかも…。
コメント0
関連動画0
オススメ作品
おはよう!モーニン!
全ての星が輝く夜が始まった!
ここは入り口 独りが集まる遊園地
朝まで遊ぼう ここでは皆が友達さ
さあ行こう! ネバーランドが終わるまで
案内人のオモチャの兵隊 トテチテ歩けば
音楽隊 灯りの上で奏でる星とオーロラのミュージック
大人も子供も皆が楽しめる
ほら、おばあさんもジェ...☆ ネバーランドが終わるまで

那薇
愛を知って 恋を知った
君が打ちひしがれた夜に
夢で会って わたしを知って
折れたりしない愛と言葉
何もないと 思ってたけど
君の声が わたしを変えた
息を吸って 息を吐いて
わたしは思いの意味を知った
喜びも 悲しみも
君が進む 翼になる...兆しある歌

remono
《私の専属の恋人》詞:肅竹君
(Verse1)リン きらめく悲しみの招待状
いったい誰の傑作だろう?
砂のように砕けた自信を抱え
海のような涙を代償にして
私の主人公の宴を開く
(Pre-Chorus) 円鏡の扉 万華鏡の通路
首のない白馬 巨大な鉄の檻
半溶けのキャンディの舞台
幻想の血に染まるマ...《私の専属の恋人》詞:肅竹君

肅竹君
近年「偽装フリーランス」や経歴詐称による委託料詐欺の事例が報告されています。特にブログやSNSを使った信用操作が手口として使われています。
以下に、実際に報告されている手口や注意点をまとめます。
詐欺の典型的な手口
• 過去に刑事事件等で報道された人物名を偽名とし、その経歴詐称・虚偽の実績掲載
ピ...【フリーランス】俺は動画クリエイターとかカメラマン!【曲募集】

まほうびん
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)

漆黒の王子
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
なんかいつもつまんなそうだし
なんかいつもヤバそうだし
なんかいつもスマホいじってるし
ホントはテンション高いのに
アタシといると超低いし...【歌詞】chocolate box

dezzy(一億円P)
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想