小説 -sigh-
投稿日:2012/01/15 21:54:26 | 文字数:1,931文字 | 閲覧数:924 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン
お久しぶりです。
今回はひとしずくP様の楽曲、
『sigh』を小説化させていただきました。
原曲様はこちら⇒http://www.nicovideo.jp/watch/sm16604595
とても楽しく作業させていただきました。
感想などいただけたら幸いです。
ーPrologueー
「…っ。行かないでよ…ねぇ…!!」
冷たくなった君の手を、私はぎゅっとにぎりしめて必死に息を吐きかける。
少しでも温まるように。少しでも寂しくないように。
目覚めないことくらいわかってるの。もう二度と笑いかけてくれないこともわかってる。
でも、この手の温もりだけは感じていたい。失いたくない。
「私は…ずっと、そばにいるよ…」
ー第一章ー
○リン○ -思い出の公園・滑り台の上ー
「…。はぁ…。」
止まないためいき。今日はこれで何回目だろう。
さっきまで暑いほど照り付けていた太陽も、もう沈みかけている。
いつのまにこんなに時間が経っていたのか…。
小さいころ、よく遊んだ“らしい”すべりだい。
私はその上で、沈んでいく夕日を見つめている。
「私…どうしてこうなったの?」
前から、私には記憶がない。幼い頃から5年ほど前までの記憶。
ショックから記憶がなくなったと家族が言っていた。
記憶を失ってからの私は、まるで抜け殻のようだったらしい。
私に、いったい何が起こったのだろうか…。
「はぁ…」
理由もないためいき。つくだけ無駄なためいき。
どうせなら、幸せと交換してほしい。そうしたらきっと、幸せだらけの毎日になるはずなのに。
そもそも、一体いつから私はためいきをつくようになったの?このためいきの理由は何?
楽しいはずもないのに、私は意味も無くためいきの種を探していた。
生きていることに希望も、未来もなく。
ただ毎日、ためいきをついて、種を探して…。
こんな私、この世にいなくたっていいんじゃないの?
生きることに絶望さえ感じてきた、その時。
「…ねぇ」
突然現れたのは、天使。空から降りて来たのだろうか。
その天使は誰かにとてもよく似た顔をしていて、ちょっと生意気そうな小柄な男の子。
突然のことでびっくりしている私に、彼はこう話しかける。
「リン。君のためいき、ちょうだいよ。幸せと換えてあげるから。」
「え…? しあわせ…?」
意味が分からない。
どうして目の前に天使がいるのか。何故私の名前を知ってるのか。
何故、私のためいきを求めているのか…。
混乱する私の口から、気がついたときには言葉がこぼれていた。
「…おねがい。」
天使は笑う。
「うん! 僕はレンだよ。よろしくね!」
ー第二章ー
○リン○ -思い出の公園付近・草原ー
レンは、それからずっと私の隣にいてくれた。
私がためいきを吐きそうになると、彼はそれを全て些細な幸せに換えてくれた。
「あ。ためいきはダメだよ。だから、交換ね!!」
そう言って出してくれたのは花束。一体どこから出してくれたんだろう…。
レンの無邪気な笑顔に、私の心は癒され、幸せに満たされていく。
「ありがとう…!!」
無意識のうちに笑顔になる。今だけじゃなく、レンといると自然と笑顔になれる。
忘れてた。”笑う”ということも、”幸せ”ということも。
記憶をなくしてから、毎日に絶望していて…。
レンはそんな世界に色をつけてくれた。毎日、違う色をつけてくれる。
これが、私の望んでいた"幸せ”。そう思う。
いつのまにか、ためいきは笑顔の中に埋もれて消え去っていた。
*レン* -思い出の公園・ベンチー
リンのためいきを幸せに換えるようになって結構経った。
僕はためいきと幸せを交換するたびに嬉しくなる。
『やっと…君に…。』
リンの笑顔を見るたびに、幸せになる。
本当はリンより僕のほうが幸せなんじゃないかと思うこともあるくらい。
今も、笑顔のリンを見つめてる。
リンはふと何かを思い出したような顔をして、僕のほうを向く。
そしてきいてきた。
「ねぇ、レンはどうして私のためいきを幸せに換えてくれるの?」
「んー、秘密だよ。まだ教えられない。」
とっさにはぐらかす。
この質問に答えたら、きっとリンから笑顔は消えてしまう。
せっかく、幸せにできたのに、お返しできたのに。その意味が無くなってしまうんだ。
「まだってことは、いつか教えてくれるのね。その時がはやく来たらいいのに」
その無邪気な言葉に、僕は少し戸惑ったけど、笑顔で返す。
「いつだろうね。待っててよ」
そう言ってから、遠くの空を見つめる。空には満天の星がきらめいていた。
リンも僕の視線を追って、同じように空を見つめる。
「この星も…、一緒に眺めたんだけどな。」
思い出すと、悲しくなる記憶。
「え?」
僕の独り言にリンが反応した。
「いや、何でもないよ。綺麗な星だね」
「そうね…。すごく綺麗!!」
無意識なリン。何も覚えてないリン。
そう、何もかも忘れてしまっているんだ。何もかも…。
オススメ作品10/25
-
ふぁっきん☆バレンタインデー! / phylis (サイリス) feat.鏡音レン
何そわそわしてんだ? 何を期待してんだ?
今日は2月14日 バレンタインデー
コミュ症の僕らには 関係ない行事さ
期待したら 期待しただけ 傷付くだけ
女子に本命チョコを渡されて 告白されるなんて
ふぁっきん☆バレンタインデー! / phylis (サイリス) feat.鏡音レン
-
☆ ネバーランドが終わるまで
おはよう!モーニン!
全ての星が輝く夜が始まった!
ここは入り口 独りが集まる遊園地
朝まで遊ぼう ここでは皆が友達さ
さあ行こう! ネバーランドが終わるまで
☆ ネバーランドが終わるまで
-
水中歌
A 聞き飽きたテンプレの言葉 ボクは今日も人波に呑まれる
『ほどほど』を覚えた体は対になるように『全力』を拒んだ
B 潮風を背に歌う 波の音とボクの声だけか響いていた
S 潜った海中 静寂に包まれていた
空っぽのココロは水を求めてる 息もできない程に…
水中歌
-
ブラックペッパーナイト/短編
夜を胸いっぱいに吸い込む。季節は冬が近く、空気は冴え渡っている。
明日には地下へ向かわなければならない。この星ほどの夜景を後にして。
ギラギラした夜景と天空の月光が、星を食うように光っている。
高層ビルの上から見る夜景って言うのは、「沈み込みたくなるような衝動」を起こさせるものだ。
「何かお願いしてみたら?」と、彼女は言う。「最期の願いくらい、叶うかも知れない」
ブラックペッパーナイト/短編
-
【歌詞】chocolate box
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
【歌詞】chocolate box
-
【曲募集】祝福は雪のブーケで【譜割り有】
A1
祝福の声が響き
温かな陽が射しこむ
雪化粧の頬紅が
柔らかく微笑んだ
【曲募集】祝福は雪のブーケで【譜割り有】
-
ビスクドールの夢
「ビスクドールの夢」
私のパートは
悲恋と友情のうた
まだ経験のないことは
うたえないの
ビスクドールの夢
-
【鏡音レン&鏡音リン】ネバーランディングストーカー【オリジナル】
ネバーランディングストーカー
作詞、作曲:mitsuki
編曲:Grand Chariot
ほんのちょっとのアンバランスだって
心に突き立てる刃になる
【鏡音レン&鏡音リン】ネバーランディングストーカー【オリジナル】
-
Jutenija
Jutenija
作詞・作曲: DATEKEN
vocal・chorus: 鏡音リン・レン
lel twa jomenti
al fo letimu...
Jutenija
-
チョコレート・リリィ 歌詞
甘い蜜に誘われて堕ちる
蜘蛛の巣しがみついて
禁断の赤い果実を前に
私はそう「いらないわ」
暗闇の中に潜むあなたの手触れながら
チョコレート・リリィ 歌詞
作詞を主にしています。
イラスト・色塗りもしています。
アイコン画像ははちみつれもん様に書いていただきました!
はちみつれもん様ありがとうございました!!