知ってた、分かってた。この恋に勝ち目などないと。あんたが振り向くことはないと。知ってたよ。
「それでねー、そのクオ先輩ったらなにもないところで転んでたんだよー!クオ先輩かっこいいように見えて、かっこ悪かったり本当に不思議な人なんだー!」
俺の目の前にいる、金髪の女・・・鏡音リンは俺にその「クオ先輩」の話をしていた。リンの口からは最近「クオ先輩」という単語がよくでる。なんでかって?そんなの俺に聞くな。分かってんだろ?
「ふーん・・・。」
「ちょっと!レン!?聞いてるの?」
うるせぇよ。聞きたくねーし、そんな話。
「聞いてる、聞いてる。」
「・・・まぁ、いいけど。」
「リンちゃーん!クオ先輩が呼んでるよー!」
それを聞いたリンの頬は薄っすらと赤くなる。すごく、嬉しそう。あれ?リンが俺にこんな顔見せたことあったっけ?
「はーい!今行くねー!」
リンはミクの方へと走っていった。行くなよ、行かないで。お願いだから行かないで。
しばらくすると、リンは帰ってきた。さっきよりも顔が赤い。
「レン!聞いてー!あたし、クオ先輩に告白されちゃった!」
予想通り。勝ち目なんてないってことくらい分かってた。あの2人は両思いだった。この結末は最初から決まっていた。痛い痛い。胸が痛い。覚悟はしてたはずなのに胸が破裂しそうだ。いっそ、このまま死ねたらな。
「あっそ。」
「ちょっとなにその反応!?自分の幼馴染に彼氏が出来たんだよ!?もっと祝いなさいよ~!!」
「オメデトウゴザイマス。」
「もういいわよ・・・。あっ、今日あたしクオ先輩と帰るからね~!」
「早く行け。」
「冷たいの~。」
「さっさといけよ。」
俺は今1人でいたいんだよ。わかってたわかってたわかってたわかってたっ!!!手に入らないことぐらいわかってたさ!「幼馴染」それは一番有利で、一番不利な立ち位置。
「はいはい、行きますよ~だ。」
あぁ、俺の記憶から消えてくれ。辛いんだ、痛いんだ、苦しいんだ、悔しいんだ、悲しいんだ、もうこんな思いはしたくない。だから、消えて。こうなる前に行動しておけば、リンは振り向いてくれた?約束を覚えててくれた?あの男に向けていた笑顔を俺に向けてくれた?でも、もう遅い。すべて遅い。遅すぎたんだ。
リンは教室から出て行った。
時は流れ、2×××年。
「レンー!あたしね~、えへっ!えへへ!」
幼馴染のリンはニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべている。
「なんだよ?気持ち悪いなぁ。」
「えへへへ。あたし、クオくんと結婚することになったんだぁ!!」
リンは本当に嬉しそうにそう言った。嘘だ嘘だ嘘だ。結婚?なんで?リンは忘れたの?約束。
『れん、おおきくなったらおよめさんにしてね!』
『いっ、いいぞ!およめにしてやる!』
「ねぇ、リン?約束覚えてる?」
「約束・・・?うーん・・・ごめん・・・覚えてない・・・。」
「あっ、そうか・・・。」
「ごめんね!それで結婚式の日なんだけど・・・6月12日にしたんだよ!レン来てねー!」
「はいはい、行きますよー。」
「えへへへー。えへへー。」
嬉しそう、本当に嬉しそう。
2×××年6月12日
白いウェディングドレスに身を包んだリンの姿はとても綺麗。そのリンの手を引くクオもリンと同様幸せそうだった。あぁ、そこは俺の場所だったはずなのに。ウェディングドレス姿のリンがこっちを向いて微笑んだ。
「どうしたの?リン。」
「ううん、なんでもないよクオくん。」
「そう?」
「本当。ただ幸せだなーって思ってたの。」
それを聞いた緑の男は、嬉しそうに微笑んだ。
「よかった。」
俺は2人の方へと歩いていく。
「よかったなー、リン!お前みたいなバカを娶ってくれたんだぞー?ミクオさんはー。ちゃんと、ありがとう言えよー?」
「うるさいな!いーじゃん!それにあたしバカじゃない!」
「はいはい、バカじゃないですねー。」
「リン・・・」
「なによ?」
「結婚おめでとう。」
俺がそういうとリンは今までで一番綺麗な笑顔でこう言った。
「ありがとう!レン!」
リンのバカ。あぁ、だけどおまえが振り向くことはないと分かってたのに期待してしまった俺もバカだ。
(君に永遠の愛を誓います。君が誓ってくれることはないけれどね。)
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まふまふ
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ご意見・ご感想
ほにょん
ご意見・ご感想
こういうの大好き><
レン→リン→?ってイイ!
2011/06/02 21:34:28
なのこ
星華さん
レンくんよかったね!!星華さんが付き合ってくれるって!!
コメありがとうございます!
magnetさん
magnetさんの気に召したならこっちもとても嬉しいです!!レン→リン→?結構いいですよね!
コメありがとうございます!
2011/06/03 07:25:49