「さあ、こちらにお掛けになって」
ミクたちは円卓のテーブルの前に用意された椅子に座っていく。
依頼主である女主こと、レイヴァン・ヘルシングがミクたちを招待した部屋は応接室であった。この応接室、本来ならば外部から射す夕焼けで朱を含んだ灯りが入るはずなのだが、窓辺に張られた薄い布で遮られている。
夕陽を遮る薄い布…それは黒のレースカーテン。網目の隙間から僅かに這入る朽葉色《くちばいろ》の自然光が、レイヴァンの唇を艶麗《えんれい》に演出していた。
「御免なさいね…私たちヴァンパイアはお日さまが苦手なの。だから、夜になるまで屋敷中を薄暗くしてるわ」
そう口を開くと…レイヴァンの手にはマッチが取られており、軸木の赤い先を擦りつけて火を灯した。今度は、灯した火を円卓のテーブルの上へ置かれた蝋燭に点けていく。
ボッ……と静かに蝋燭に火のつく音がすると、黄色い焔が燃えあがった。ゆらゆらと燃える蝋燭からカシスの葉とバラの香りが混ざる香煙が円卓上に立ちのぼる。
「いい薫りでしょう? 私は趣味でアロマキャンドルを自作しているの♡」
「女のヒトヴァンパイア、いがいに女子力たかいわね」
「うん、そうだねリンちゃん。私もアロマキャンドルしてみようかな」
「さっきまでの緊張感は、なんだったんだよっ! 2人ともっ!」
蝋燭の灯りが点いたことにより、円卓に囲んだ椅子に座る人物たちの顔が見えるようになってきた。ヒトと云う生き物は、置かれた場所の情景で雰囲気が変わるフシギなイキモノである。
「あらためまして、こんばんは。私はこの屋敷に住むヴァンパイアのレイヴァン・ヘルシングです」
「私は、ミク・F・ヴェールと言う者です」
「あたしは、リン・S・ソレイユって言う名前よ」
「僕の名前は、レン・S・ソレイユです」
緊張感が解けたことで互いに自己紹介をする4人。よくよく考えてみると、初見の段階で依頼主に屋敷のなかへ連れらたので相手が自分たちの名前を知らなかったのだ。
「今からクエストの要件をお話しますので、お茶とお菓子をどうぞ」
レイヴァンはそう言うと指を『パチンッ』と鳴らした。すると瞬時に卓上へ紅茶と菓子パンが用意されていく。
メニューはアンパン、メロンパン、コッペパンの3種類だ。
ミクはメロンパンを手にいれた
リンはアンパンを手にいれた
レンはコッペパンを手にいれた
「ありがとうございます。お腹が空いていたので助かります」
「やったーっ! じつはさっき、アンパンとカレーパンで悩んでたんだよね♪」
「あっ! また僕だけコッペパンっ!?」
「大丈夫よ、可愛い坊や」
レイヴァンはレンにアイテムを渡してくれた。
「美味しいパン屋のおじさんが、ジャム&マーガリンをオマケしてくれたわ♡」
「あのおじさん、本当に優しいヒトっすね…ほんとうに……」
レンは心のなかで思った。ENDで終わったコッペパンからの片想いから、僕はいつになったら解放されるのだろう……と思った。
G clef Link 孤独なバスヴァンパイア3
Was yea ra melenas
en yanje...eterne pitod yor......
コッペパンの歌を作られた『らも』さんへ、影ながら応援してます。
https://youtu.be/1Mkw2iwtfU8
次話
https://piapro.jp/t/4Ck8
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