こんこんと誰かが部屋をノックする。このノックを待ちわびていた。
「いいわ、入って。法令に関する報告でしょう」
「はい。お察しのとおりです。公布をする前にレン殿がこの法令をないことにしようとなさっています」
「と、いうと?」
家来の口から出てきた言葉に、疑問をおぼえる。私は家来の言葉を待った。
「情報によれば、リン殿を暗殺される計画まで練っているそうです。この法令はあまりに身勝手で危険すぎるとのご意見だそうで」
そう伝えられると、私はただこくこくと頷いた。気づかなかったろうが、少々の笑みを浮かべていた。
…哀れね、わが弟よ…かわいく振舞っていればよくしてあげるのにねぇ。
私は思い切り立ち上がり、手を天井へ掲げた。
「かまわないわ。立ちはだかるものにはためらいなく鉄槌を下しなさい。そして現時点より、生き物に暴力を振るったり殺害したりした場合、罪を犯したものも同様の苦しみをその身で受けることにする。さぁ、国民に公布しなさい!」
家来は「はっ」と返事をすると、踵を返して扉の向こうへ歩いていった。
…せいぜいあがけ、レン。最後はひざまずいて助けてと懇願するんでしょうよ。
「生類憐みの令って、昔のあの…」
「動物殺したら自分も殺されるってやつよね…」
民は戸惑っていながらも、そこまで深く考えてはいないようだった。本当に実行しないとでも思っているのだろうか。
虫をつぶしただけでも同罪だ。決めたことは絶対曲げるつもりはない。
もう夏だ。虫や動物がいまよりもっと活発になる。きっと今回の法令が真価を発揮するに違いない。
さっそく罪人が運び込まれてきた。
ひげ面の大男だ。話によると、むしゃくしゃしていて犬を蹴飛ばし、足の骨を一本折ったらしい。犬は家来のほうで保護されていた。
私は腕と足を縛られ引きずられてきた男の前に立ち、言う。
「記念すべきことにお前が最初の罪人だ、光栄に思え。そして被害者と同じ苦しみを受けるのだ。歯を食いしばれよ」
そういうと、家来の一人が轡を男の口にはめ、もう一人は体を支える。
私は勢いよく叫ぶと、手に持った鉄の棒を振り上げた。
「ゆくぞっ!!!」
ばきぃっ。
「ん!!んぉぉぉぉぉぁぁぁ…」
轡をはめられた男は、鉄棒を右足に食らってむなしく叫ぶ。鈍い音とともに、太い太い足の骨が折れた。どうやら粉砕骨折のようだ。
私は鉄棒を部屋の隅に立てかけると、しびれるような感覚に体を小刻みに震わせた。なんというか、例えようのない快楽。…人間の本能ではない快楽だった。
男はそのまま病院へ連れて行かれ、部屋には再び私一人になった。
手に残る、骨を砕く感覚。人を壊すことに快楽を見出してしまうようになってしまった。
私は部屋周辺に物音がなくなったことを確認すると、高らかに笑った。
「あはははは!!!!もっと動物を殺しなさい!!そしてお前たちを殺させておくれ!!!!」
唾液が口元を伝い、床にぽとりと落ちる。それは、これから始まる殺戮劇の始まりを告げたものだったのかもしれない。
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かたつむり
ご意見・ご感想
ふぉお・・・・リンが恐ろしいことに・・・!!
入試ファイトー!お~!!p(^^)q
2011/01/08 15:28:59
初音ミミック
ありがと?^^
受験終わったら顔出し回数ふやすね?。。
2011/01/09 21:33:19