8.間章
「ねーえ。レンカおばあちゃん」
岬の端のサンダルの像の前に、老人と少女は並んですわり、真っ青に澄み渡る海を眺めていた。
「おばあちゃんは、ここから海に飛び込んだの?」
孫娘がこわごわと、這って崖ににじりより、ひゃっとすぐに悲鳴をあげて戻ってくる。
三階建ての建物くらいの高さはあるように思える。
「下は浅そうだよ?」
少女の言うとおり、白い波が岬にあたって薄く砕けている。
「そうでもないさ」
そうレンカは笑った。
「水が綺麗だから、底まで良く見えるんだよ。ちゃあんとたっぷり、深さはあるさ。
それに今は引き潮だからね。月が良い位置にありさえすれば、2メートル近く深さが変わるよ」
レンカは遠くを望むように視線を水平線に向けた。
そのまなざしは、若かりしころと変わらずに青い海を映してきらめいている。
「リントくんは、女神様を彫り上げたんだよね? それで、おばあちゃんは、海の底から石のかけらを集めて謎を解いたの?」
レンカの口元が、ふ、と持ち上がる。
「……解いたさ」
「ホント?!」
孫娘が老人のほうへ飛びついた。
「なんて書いてあったの? 女神様がサンダルだけ脱いじゃってどっか行っちゃったのと関係ある?!」
レンカの手が、そっと孫娘を押さえ、そのまま抱きしめて草の上に降ろした。
「……あるといえば、あるかもしれない。ないといえば、無いかも知れない。
……それは、悲しい『歴史』だったよ」
孫娘が、首をかしげる。
「……若い娘だったあたしにとっては、予想外の結果だったんだ。伝わる伝説から甘い思いを抱いていたあたしの予想を覆す、『歴史』があったんだよ」
……滄海のPygmalion、後半へつづく!
滄海のPygmalion 8.間章
……レンカおばあちゃんの、昔語り。
発想元・歌詞引用 U-ta/ウタP様『Pygmalion』
http://piapro.jp/t/n-Fp
空想物語のはじまりはこちら↓
1. 滄海のPygmalion http://piapro.jp/t/beVT
この物語はファンタジーです。実際の出来事、歴史、人物および科学現象にはほとんど一切関係ありません^^
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天を仰ぎながら眠りに消える
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占いながら見据えて外宇宙
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限りなく進む夢々とこれから
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