そろそろ寝なくちゃ そういって君は通話を切った

その後に心にある何とも言えない寂しさ
そうだ、本でも読もうかな
手に取ったのは源氏物語をモデルにした小説で

開くとそこには様々な花たちの物語

潔癖で純粋な葵 幻のように淡く儚げな夕顔
無邪気な日に日に成長してゆく紫草…

それぞれの花たちの恋物語
清らかで 可愛らしくて いじらしくて

とても甘酸っぱい

まるで、オレンジ味の飴を舐めているようで
少しずつ私の心を満たしていく

花たちは一つの光に照らされ生き生きと輝いていて瑞々しい

この物語の外側から 見ているだけで 聡明な気持ちになれる
そんなきらきらした恋をする花もあって

君と話せない そんな時間も忘れさせてくれるような

とてもまどろっこしくて、少し危うげな そんな恋物語



また明日も話そう そういって眠った君を思い出す

その後に心に滲む泣きたいくらいの切なさ
そうだ、本の続きを開こう
私はまた指先で静かに本のページをめくっていく

開くとまた、様々な花たちが現れる

花園で一番美しい枝垂桜 女らしいいじらしさの中に棘を隠す末摘花
孤高で背筋を伸ばした、凛として咲く朝顔…

それぞれの花たちの恋物語
鮮やかで 美しくて 危うげに妖艶な

とても甘苦い

まるで、チョコレートを食べているようで
少しずつ私の心に響いてくる

花たちは一つの光に照らされ艶やかに舞って魅せ 華々しい

この物語の外側から 見ているだけで 華やかな気分になれる
そんな艶やかな恋をする花もあって

君を想い眠れない そんな時間も夢のように思わせる

とてもドキドキして、甘い そんな恋物語


次は、どんな恋物語が待っているだろう
まだまだたくさんの花たちの恋が気になって

私はまた、ページをめくる

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

私たちの花物語 序章

源氏物語はたくさんの花たちの恋を描いた物語です。
紫式部さんはホントに素晴らしい文才をお持ちだったと思います。
女の子ならではの気持ちの浮き沈み、しぐさ、帝への想い方…等々、とても共感しやすく視写されていて読んでいて自分もその花の恋をしているような感情に浸れます!
みんなそれぞれ帝に恋をして、たくさんの物語を紡ぎ出していく。
女性も花同様に華々しく咲き誇り見ている者たちを作品の虜にしていったんだと思います。
皆さんも一度、源氏物語をお手に取ってみてはいかがでしょうか?
数ある花の数ある恋物語を、一度拝見してみては…

閲覧数:129

投稿日:2013/01/22 14:59:56

文字数:759文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました