5月1日、天気良好―――俺は自室のベッドに寝転がってアイスココアを飲みながら漫画を読んでいた。
ああ、暇だなあ…とかのんきに考えてるところへ、俺の彼女のリンがやってきた。
白いリボンを頭の上でぴょこぴょこと弾ませながら俺に抱きついてくるリンは世界一かわいい…じゃなくて。
「びっくりした。来るなら来るって連絡しろよ。で、何の用?」
「ごめーん。今日はレンにお願いがあってきました!!」
「えっとね。」
リンは一度、俺から離れてベッドの上に座りなおしてこう告げた。
「リンにね、きすまーく、つけてほしいの!!」
俺は思わず飲みかけのアイスココアを思わず噴き出しそうになったのを、間一髪のところでこらえ、なんとか ココアを飲み下して、リンに問う。
「リン。」
「なあに?レン。」
「キスマークってどういうものかわかる?」
俺の険しい表情につられて固くなっていたリンは、なあんだ、と笑い、
「そんくらい知ってるよー。クオ君に教えてもらったもん!!」
これはもう鏡音三大悲劇に数えるしかないであろうリンのつるぺt…じゃなくて、ふくらみの乏しい胸を張って見せる。
「クオに…? リン、なんて教えられたの?」
「んーとね。『仲がいい恋人同士が首筋にちゅーすることだよ』って教えてもらった!!」
「…。」
俺は心の中で後でクオをぶっ殺しに行くことに決めた。
クオの説明はあながち間違ってはいないのだが、純粋なリンにそんなことを教えたらどうなるかぐらいはあいつは分かっていたはずだ。
なのに、それをリンに教えた。つまり、俺に対する挑発。
「リン、クオはミクにキスマーク、つけてるの見た?」
「見たよー!! なんかミクちゃんが恥ずかしそうにしてたけど、クオ君が無理やりやってた!!」
あ の バ カ ッ プ ル が ! ! !
手の中のグラスを思わず割りそうになるのをこらえる。
「あのな、リン。こういうことは今やるべきじゃない。」
リンを諭すようになるべく穏やかに言ってみたもののリンは目に涙をうかべながら、
「ふぇ…レンは、リンのこと嫌いなの…?」
うるんだ瞳で俺のことを見つめるから思わず何も言えなくなってしまう。
「…っリン、痛くても我慢しろよ?」
「え…?」
ベッドの上にその小さな体を押し倒し、首筋に自分の唇を押し当てる。
リンの熱を持ったからだがピクリと震え、唇から吐息が漏れる。
そっと舌でリンの首筋をなめると、リンの甘い香り。
抑えきれなくなりそうな理性。
ふとリンの涙がシーツにシミを作っていることに気が付いて、体をリンからおこす。
「り、リン!?ごめんないたかったか?」
リンをやさしく抱き起してやると、リンは俺の胸に顔をうずめて、
「…大丈夫。」
と小さく微笑んで見せた。
そして、俺の首筋に小さくキスをすると、
「お返しだよ!!」
といって部屋を飛び出していった。
俺はただ呆然とベッドの上に座り込んでいた。
翌日。
「はよーっ!!!」
「おはよう。リンちゃん、レン君!!」
元気に俺とリンのもとに駆け寄ってきたクオとミク。
いつも通りの朝だ。俺たちは4人で学校に向かって歩き始めた。
リンにじゃれ付くかのように抱き着いてるミクがいきなり「あ!!」っと声を上げた。
「リンちゃん!!ここ、赤くなってる。」
ミクがリンの首筋を指さしてみる。
「えー?どれどれ見せて。」
クオがリンの首筋を覗き込む。
「これ、キスマークじゃね?」
クオが異常にニヤニヤと俺を見ながら、そう言った。
「なっ!!」
俺は自分の顔が熱くなるのを感じ、リンの手を引いて走り出した。
「リン!!いくぞ。」
「え、あ、うん!!」
後ろでクオの「あ、逃げた―」という間抜けな声が聞こえた。
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