西山貴文 記
音楽青年の憂鬱 リライト
目次
第1章 或女. (5ー13)
第2章 Decoy(1ー10)
第1章 或女
第5話
歌詞を書くときに、人生の切り売りしてる気分に成る。
恋の渦中に恋の詩を書けば其は生々しいものに成る。
ビビットといえば良いが、痛い時は痛い。
ドアを開けて現れてたのは、昼間の女の子だった。
所在無げに同僚の後ろに隠れてしまう。
「何だ、知り合いか?」
「知り合いってほどでもないですが」
「さぁ、入って入って」
席に着くとお出迎えとは別の女の子が付いた。
結局、昼間の女の子とは話さずじまいだった。
気には成ったが。
落ち着かない、柄じゃなかった。
「ああ言う所に沈んでる女を救うのも仕事の内だ」
「沈めるんじゃなくて?」
「仏法で衆生救済」
「理想ですよね」
「何だ、確信無いのか?」
家に帰ったのは十一時ぐらいだった。
結局自転車は置いて帰った。
自転車置場に移動できたのが幸いだった。
6話
「グラスどう?」
「次は未だみたい」
今日のサクリファイスは二名。
組織のアジトはマンションの一室だった。
近くに小学校がある。
昼を過ぎると子供の声で賑やかだった。
床に転がってる女子はもっと年嵩だ。
「未だ何か考えなきゃ成らない?」
「......」
「グラスってこう言うの?」
「全然だめだな」
「で、入れ替え、と」
ミュージシャンは意外と金持ちに成れる。
ヨウツベmの再生回数如何で月100ぐらい。
稼げるお金はオリジナルの著作物による。
が、著作者の特定は難しい事もある。
収奪襲名すれば、一儲けだった。
サクリファイス二名を吊るしたまま外へ出る。
「新しいサクリファイスが必要ね」
「死ぬ訳じゃない」
第7話
カップラーの調子が悪いのかノイズが混じる。
虹の飛ぶ視界にライブラリーのシンボル。
接触する。
"検索領域に対象に無し"
マッチパターンのリザルトがでる。
今日は4エリア試したがノーヒットだった。
ゴーグルとイヤスキャナを外す。
仰向けに倒れて目を抑える。
耳鳴りが収まるまで目を閉じておく。
3万ほど有ると言うライブラリー。
研究機関に限定してそうなのだから。
ネットワークは広大だった。
サッシの窓枠が白み始める。
卓上時計は4:15。
カーテンの向こうは朝だった。
無くしものなら探し様がある。
失くなったものが判らなくては。
仕事まで未だ時間がある。
其のままsleep mode に移行した。
午後からカラオケに行こう。
第8話
一発録りの連中は作るの早いんだろうなぁ。
そう思いながらミディを打ち込む。
此のスタイルも既に古いと言う。
ダークブルーの画面に横棒の輝点。
カデンツと和音を考えながら打ち込んでいく。
最初は全部ピアノで打ち込むのだが。
楽器編成を変えると、此違うなぁと言う気になる。
楽器毎に特徴があって、単にハモってりゃ良い。
と言うわけでは無いからだ。
其で楽器から入ってアレンジし直す事もある。
疲れてきて途中で挫折。
曲がお蔵に成る。
深夜に曲を作ることが多い。
ヘッドホンを外す。
耳鳴りがするのは疲労のせいだけじゃない。
甘々なコーヒーを飲む。
朝まで2時間だった。
バイトに行くまで時間がある。
低反発布団を引いて寝ることにする。
何時に成ったらあがることやら。
第9話
東京ビックサイト。
音楽の、ボーカロイドの、大祭典。
ではなく文学マーケット。
ボーカロイドの祭典よりかなり巨大なスペース。
正直文学にこんなに力が有るとは思って居なかった。
......音楽が衰退しているとは、思いたくない。
二階四フロア有る会場を適当にぶらつく。
コミケと違ってあまりコスは見られない。
ビジュアルが確定していないからだろうか。
企業ブースに音楽畑のブースがあった。
並びに音楽畑の店が出ている。
一件ミクの店があり。
「偶然ですね」
不審そうな目。
「歌じゃなくて写真?」
「いえ。歌です」
良く見ると歌ってみたのDVD bookだった。
一枚買って帰る。
「1,000円です」
「......帰り、さーー」
第10話
「無くなってる」
陽炎の立つコンクリートの坂を下る。
右手に広い駐車場があった。
駅前のマックに避難する。
アイスコーヒーを頼みポテトのMをつつく。
「何処ヘ辿り着くつもりだった?」
「知人の家」
「親戚の家?」
未空は頬杖を付いてそっぽを向いた。
暫く店内を茫様と眺めて呟く。
「あたし、壊れモン何だよね」
「?」
「弁護士でも紹介しようか。」
「要らない」
「医者も、必要無さそうだな」
「なおらないの、今のとこ」
「知り合いの病院も有るが?」
薄幸の美少女を発酵前に食べたかったが。
電車の方向がホーム違って別れた。
反対側のに未空は見つからなかった。
第11話
PostStreemを眺めながら今日一日を振り返る。
「外しちゃった」
布団に仰向けに成る。
「おまえの資産価値ってさーー」
引退勧誘する友人Aはサイトをブラブラしていた。
「有るのか?資産価値。」
「なきゃ誰も居ない」
そう言うものかもしれない。
「金銭化可能か?」
Aは少し考えて。
「おまえが知らんだけだよ」
とスマホをテーブルに置いた。
ペナルティと称して飯を奢らされた。
予定が有ったのだそうだ。
4,000円ほど消費してファミレスを出た。
何故もっと通な店に行かん?と問われた。
素人何だ、と答えておいた。
帰りたがっていると。
「女が出来たって?」
何故ばれたんだ。
第12話
この前の二人はすっかり房中だった。
勿論新薬のお陰。
最近荒れているのは餌の魅力不足からだろう。
此の術の問題点は、薬物の使用時。
相手を沈めると同時に、時に此方の人員が沈む。
薬物→快楽の過程で自らも快楽を求める。
途端に自己も中毒に成る。
自制は可能だが其れだけだった。
やりたい奴は自分もやっちまう。
解毒剤は諸刃の剣で自分達に使えると言うことは。
相手も復使えると言うことだった。
房中術もそろそろ潮かもしれない。
「来月の出荷だけど」
ノートPCで在庫管理をして居た同僚が此方を見る。
「あまり気乗りしないな」
在庫の調教を頼みたいのだろう、
「最近品質の劣化を指摘されている」
「薬の使いすぎだ」
集合ポストを除き、ビルの出入り口から外へ出る。
ベランダよりは路上の方がいい。
「七夕。此処じゃ天の川も見得なかったな」
第13話
交差点の定点観測に此の店は最適だったが。
「表は歩かない、って訳じゃないだろうに」
3時間では結果が出なかった。
東、北側は結構怪しい感じのこの辺。
昔、配布物を配ったあたりは有る意味危うい。
表から二本入ると人影はまばら。
時刻は15時過ぎ。
パチンコ屋の前を通りすぎる。
例の姉妹店を横目にさらに先へ。
女子の地獄から悲鳴は聞こえない。
客の行列が有るわけで無し。
ネオンが無ければ無人と見紛いそうだった。
「あれ?」
未空はかな驚いていた。
「ーーもしかして、つけてた?」
「いいや。勘」
コンビニのお握り前で並ぶ二人。
「何で来んとこ来てんの?」
「楽器屋が在った筈だから」
下り電車は6分の乗車率だった。
******* *******
第2章 Decoy
第1話
未空は不機嫌に黙ったままだった。
隣では四人程の男がテーブルを囲んでいた。
ウェイターがハンバーグを運んできた。
食事に誘うのに目立って一般的な店を選んだ。
良くある選択肢だったのが災いしたのだろうか?
未空は最初から不機嫌だった。
水を取りにドリンクバーに行くと声をかけられた。
「あれが噂の女子?」
Aはジンジャエールを手に未空の方へと歩いていく。
「こんにちは」
にこやかに笑って男三人が座る隣の席に着く。
未空はAにこんにちは、と呟いた。
ハンバーグを口にしながら会話の内容を考える。
Aは取り立てて邪魔することも無く四人で談笑。
休日昼下がりのファミレス。
外は猛暑。
次の行く先を考えた。
「あのさーー」
駅を変えようと声をかけると未空は立ち上がって。
「帰る」
第2話
未空は立ち止まらなかった。
会計を済ませ見当を付けて走る。
改札前に立っていた。
「遅い」
未空はかなり不機嫌だった。
さっさと改札を抜けてホームへ向かう。
慌てて追いかけて隣に並ぶ。
「悪かった」
「何が?」
「なんか気分悪くしたかな、と」
「偶然でしょ?」
「ああ、まぁ」
登りの電車に乗った。
終点は例の店だが、途中で降りた。
「あれ?」
「当面時間は稼げるでしょ」
「追っかけては、来ないと思うが」
駅ビルのドーナツ屋に入る。
窓に背を向けて座る未空。
「幾ら持ってる?」
第3話
「こんなのどうして?」
奪取したログインのセットでアカウント操作。
「はい、ポチっと」
明け方の四時。
グラスが寝ているのを確認して作業。
勝手にログインしてアカウントをデリート。
直ちに消したアカウントネームで再エントリー。
「よし、と」
ダウンロードしておいた投稿作品を再投稿。
一部ファイルを改竄。
「此でこいつの作品は二次作品」
2年程作品成立年代がスライドした。
「犯罪犯す価値在るの?」
少し考え込んで。
「こいつの理論的発見に用事があって」
「何で?」
「作る時に必要なんだ、こいつの理論」
見張りから起床の連絡が入る。
「ログアウトして」
何事もなかったようにサイトを立ち去った。
第4話
結局、予算の都合でバスに乗った。
国鉄駅まで辿り着き、出会った町へと移動した。
ひょっとして鴨られてるのか、と思いつつ。
「あの店何で勤めるように成ったの?」
夕暮れの町ミラーグラスに夕陽が映る。
「ああ。歌えるから」
未空は古本屋で買った漫画を検品している。
「歌える?」
「うん。此処殆どがJazz系だから」
「何歌うの?」
「ヴォーカロイド。」
「ああ」
にしても、girls bar で働くことも無いだろうに。
歌より別の要求が多そうな。
同伴出勤決め込んでいたら。
「じゃぁ今日は此処で」
あっさり肩すかされた。
「今度から気を付けて」
「何?」
「監視。」
第5話
「ユーチュが儲かると言って何れくらいかと言うと。一回再生当たり約1.3円でミリオン回して百円万超え。」
「何だか前の計算と違う」
「此に其の曲の著作権料が含まれる」
「其が取り分?」
「奴の理論で作られた曲の何%かが奴の著作権対象で、其の取り分をいただくとーー」
「無理なんじゃ無い?」
「何で?」
「成り済まし?」
「そう。ハイノリ」
「ばれるよ」
昼下がりのファーストフード。
芸大の学生が結構来てる。
「本気でやるの?」
周りは誰も気にした風でもない。
「先例が有るらしい」
踏み切りを列車が通過していく。
踏み切りが開いたら立ち止まって手を振る。
後方を確認されたら其のまま駅に向かった。
第6話
歌謳い。
歌を歌う者、聞かせる者。
歌う者だと自己完結して終わりだな。
聞かせる者だと聞かせるとどうなる?
何故聞かせる?
聞かせると自分が?他人が?
自分は、照れるなぁ。
他人はどうなるか判らない。
機械なら採点で反応が判るけど。
照れるって言うのは他人を意識するからだなぁ。
歌って自分のモンかな。
じゃぁ。
3卓あるテーブルに客は5人。
わたしの歌を聴いているのは?
少数の客だから時々気になることだけど。
あまり眩しくないライト。
次は奴も呼んでみよう。
「来週、出向してくれる?」
「応援ですか」
「まぁそうだけど」
第7話
「何だって」
未空は携帯をポケットにしまう。
「辞めていいって」
数時間前。
「出向?」
「他所へ応援だって」
「応援?」
夜の仕事の仕来たりはよく知らないが。
「ーー飲み屋?」
未空もよくわからないと言う。
御店の名前も未だ聞いてない。
当日案内すると言う。
「どうしよ」
「バイトWebでも見る」
「......ま、そうだよね」
「なんだよ」
甲斐性の話なのは解った。
土曜日の21時過ぎ。
ファミレスを出て駅に向かう。
「ナイトでも観る?」
第8話
「其でも上映は、続く、と」
映画館は終日上映はしていなかった。
「ーー帰る?」
バスは大変な混雑で寿司詰めに近い状態だった。
押し黙った状況。
何でもない日常なのに緊張感がある。
会話を諦めると、未空はカナルを装着した。
意外と音漏れしない。
何聴いてるの、と耳を指差すと。
携帯の画面を見せてきた。
ユーチュMでボカロを聴いているようだった。
地元まで30分強だった。
コンビニに寄って食料品を調達する。
どうする、と酒の前に来てたずねる
未空は少し考えて、辞めとくと答えた。
法的には逆なんだけど、と思いつつ。
歌詞とソフトドリンクを買って出た。
家の前に着くと、未空は開口一番。
「もう一寸お洒落な処に住もうよ」
と不満を表明した。午後十時だった。
第9話
「歌詞は?」
「曲先でね」
出来たベースラインにメロディを乗せていく。
メロディーが出来たところで未空に聴かせる。
「歌詞、つくってよ」
「やったこと無い」
「メロディにあわせて言葉埋めるだけでいいよ」
字脚を書き出して未空に渡す。
mp3に書き出したメロディーを再生。
未空が歌詞を書き出す。
プレーヤーとDAWと同時起動しながらアレンジする。
素品が出来上がるまで約3時間だった。
「あれ?」
「何?」
「VOCALOIDが......」
アクティベーションしてくれないと作動しない、と。
故障のようだった。
「ーー何?」
未空が自分を指差して言う。
「ボーカロイド。」
第10話
イベントは殆ど閑散とした印象だった。
夏場はコミケが盛況の筈だが音楽界隈は。
会場は冷房がよく効いていた。
「損した」
「Up load はしたから」
「買い専とは情けない」
4列に成った店舗を端から順に眺めていく。
未空は、挨拶周りで即別行動に成った。
ジャケットとタイトルで品定めをする。
此処の処のセンスは概ね曲のセンスに反映される。
と見ている。
時々試聴させて貰う。
試聴していた未空と再遭遇。
「どれ聞いてんの?」
未空は黙ってジャケットを見せる。
「好かったらどうぞ?」
「あ、お願いします」
「D12にいたよ」
「ああ、そりゃ居るだろ」
結構大手だった筈だ。
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ピノキオPの『恋するミュータント』を聞いて僕が思った事を、物語にしてみました。
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